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マヂラブ村上もNSC生に憤慨―なぜお笑いには時代錯誤な上下関係があるのか?

マヂラブ村上もNSC生に憤慨―なぜお笑いには時代錯誤な上下関係があるのか?の画像1
マヂカルラブリー(吉本興業ウェブサイトより)

 芸人の世界は、一般の人がそうと思っているよりも体育会系で、上下関係はかなり厳しいものだった。そしてその上下関係の詳細は、各ジャンルにおいて分け方が異なる。

 例えば小劇場界やYouTubeなどは年齢で上下を分けており、新人だとしても年齢が上であれば上下の上という扱いになり、下の人が敬語で話すことになる。

 芸能界においてこれはそこまでメジャーな上下関係ではなく、基本的には芸歴が長い方が上である。なので年が下であっても。芸歴が一年でも早ければ先輩であり、上下の上なのだ。

 この芸歴の上下関係は芸人の世界が一番顕著で、10歳年上であっても後輩ならば先輩に対し絶対に敬語であり、後輩は後輩然としていなければならない。その代わり先輩は後輩とご飯にいったり飲みにいったりした際は、自身がどれだけ売れていなかろうとも代金をしはらわなければならないし、後輩の世話をするのが当たり前であり、ただ偉そうにしていれば良いというものではない。

 余談だが昔、僕が所属事務所のライブが終わって帰ろうとしているときに当時同じ事務所の後輩だった「ナイツ」の土屋さんに、「檜山さん飲みにいきませんか?」と言われ、あまり後輩から誘われることもなかったので「いいよ」と応えた。

 すると土屋さんが「ほかの後輩も誘っていいですか?」と言われたので軽い気持ちで「わかった」と言うと、10人以上の後輩がついてきてしまい、ちょっとした打ち上げになってしまった。もちろんそれだけ人数がいると会計は10万円近くなっていて、肝を冷やした思い出がある。

 それ以来後輩と飲みに行くときはある程度、財布にお金を入れるようになった。

 時代の変化もあるので、今の芸人界の上下関係がどれほど厳しいかどうかはわからないが、数年前までは間違いなく厳しい世界であり、それが当たり前だった。

 ちなみに上下関係の厳しさは所属事務所によっても異なっていて、僕が所属していたマセキ芸能社は芸人界の基本的なラインでの厳しさはあったにしろ、そこまで厳しいほうでは無かったと思っている。

 話を聞く限り一番厳しいのは「吉本興業」さんだ。

 例えば先輩との食事が終わり、先輩が帰ろうとしたときに後輩は「お疲れ様でした」や「ご馳走様でした」というと怒られるらしい。何故なら先輩が一軒目で帰ろうとしたとしても、二軒目の催促をしなければならないからだ。

 つまり正解は「えぇ~もう帰っちゃうんですか? もう一軒行きましょうよ」なのだ。そうすれば先輩は面目が立つし、本当に一軒目で帰りたい場合は断れる。つまり先輩に対して上手に選択肢をふるのが後輩の務め、というわけだ。

 さらに先輩が帰るときにジャケットを羽織らせるなど、細かい決め事は相当数あるらしい。もちろんその厳しさには個人差がある。最低限の礼儀さえあれば良いという先輩もいるが、上記のようなルールを持っている先輩がいたのは紛れもない事実だ。

 この芸人の上下関係も時代と共に変化しているのだが、それでも変化していない最低限の礼儀があり、それを知らない若手芸人に対して憤慨している芸人がいる。

 それは「マヂカルラブリー」の村上さんだ。

 ニッポン放送で7日に放送された「マヂカルラブリーのオールナイトニッポン0」で、とある後輩芸人に対してキレたことを明かした。

 後輩芸人と言っても、吉本興業の養成所NSCに通ってる子らしいのだが、村上さんが飲んでいた焼き鳥屋さんの隣の飲食店でその若手の子が働いており、焼き鳥屋さんの店長さんが何かしらのきっかけになれば、と若手芸人に挨拶をさせる為に村上さんのもとへ連れて来たのだ。

 するとその若手の子は村上さんを見るなり、小声で「うわっほんとにいる」と驚き、挨拶に至っては「おねしゃす」という目上の人に使ってはいけない挨拶を繰り出した。村上さんは挨拶に対してダメ出しはしたのだが、若手の子は理解できていなかったという。

 さらにその後、その無礼をすっかり忘れて、後輩を連れてその店に行ってしまったのだ。するとその若手の子は挨拶もせずに「覚えてます?」とぶしつけに聞いてきたのだ。相変わらずの無礼。そして村上さんが連れて来た後輩芸人はいないものとして完全に無視している状態……。

 その後輩というのは「かたつむり」の岡部さんと「ダイヤモンド」の小野さんなのだが、確かに村上さんに比べれば知名度は低い。だからと言って間違いなく事務所の先輩である二人を無視するのは明らかにおかしい。それに「ダイヤモンド」の小野さんに関しては「M-1グランプリ2022」で決勝進出をしているのだ、まだ養成所に通っている段階とはいえ芸人の端くれで、しかも同じ事務所なのだから知らないなんてもってのほかだ。

 芸人界だと、知らないだけで怒られてもおかしくない状況なのだが、追い打ちをかけるようにその若手の子は「何期さんですか?」「名前なんすか?」などと謝りもせずに質問したのだ。

 

 

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2023/04/16 11:27
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