『名探偵コナン』の犯人はなぜ一生懸命メッセージを現場に残すの?見事な回答
#名探偵コナン #金曜ロードショー #しばりやトーマス #金ロー
劇場版シリーズ初の興行100億円を目指し史上最大の504館(IMAX、MX4D、4DX、Dolby Cinemaで同時上映、通常版と合わせて合計504館)で公開される最新作『黒鉄の魚影(サブマリン)』を記念して、2週連続で放送される日本テレビ系『金曜ロードショー』のコナン祭り。
2週目は第13作目『名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)』をオンエア。主人公コナンにとって因縁の宿敵である“黒の組織”との対決が最新作でも描かれるため、同じ“黒の組織”との対決を主軸にした13作目を鑑賞して最新作に備えよう!
東京・神奈川・静岡・長野(これまでの原作・アニメに登場した各県の警察)にまたがって6人が殺された連続殺人事件。現場にはいずれも麻雀牌が一つ残され、牌には縦線が一本刻まれ、アルファベットが一文字書いてあった。牌は筒子の一と七で、七は別の位置の丸が赤く塗られており、被害者は必ず所持品の一つを持ち去られていた。これは何を意味するのか?
合同捜査本部に参加した探偵、毛利小五郎にくっついてきたコナンは会議に参加した警部のひとりが童謡「七つの子」を口ずさむのを聞き、問いただすとトイレに行ったときに「七つの子」のメロディのプッシュ音を聞いたからだという。それは黒の組織のメールアドレスを示していた。
窓の外を見ると黒の組織の車が走り去るのを目撃する。合同捜査本部に黒の組織のメンバーが潜り込んでいたことを悟ったコナンは、調査を開始。
7月6日、容疑者のひとりがデパートに現れ、警察の不手際から騒ぎを起こすがコナンの機転により逮捕される。だが容疑者の人質にされた女性が黒の組織の幹部、ベルモットであることを見抜き、彼女から連続殺人事件になぜ黒の組織が関わろうとしているのか、問いただす。
ベルモット曰く事件の被害者に一般人に紛れ込んだ組織の工作員がおり、犯人が持ち去った所持品に工作員のリストが記録されたメモリーカードがあるため、警察の手に落ちる前に回収したいのだと。
ベルモットは捜査本部の警察官として紛れ込んだ何者かが組織の工作員、コードネーム「アイリッシュ」であることだけを告げて立ち去る。
事件の背後で暗躍する黒の組織の関係を知らない捜査本部が振り回される一方、コナンは独自の捜査網で真相に少しずつ近づいていく。アイリッシュはコナンと彼の正体である高校生探偵、工藤新一の指紋を照合し、二人が同一人物である事実をつかんでいた。
このことが組織にバレてしまえば、コナンも、周囲の関係者も命を狙われてしまう。コナンは連続殺人事件の真相を追いつつ、黒の組織の目的と正体に迫ろうとするが……。
13作目『漆黒の追跡者』は、当時の劇場版シリーズ最高の興行記録(35億円)を達成した話題作。黒の組織との対決、警察側も歴代のキャラが多数登場するオールスター作品となっている。序盤から緻密に張り巡らされた伏線もしっかり回収されており、ミステリーモノとしても見応え抜群。
コナンでは定番の「現場に残された犯人からのメッセージ」が劇中、徐々に解き明かされていく過程も秀逸だ。あくまで筆者の個人的な意見だが、犯人からのメッセージものは、あまりやりすぎると逆効果になる。いかにも「解いてみろ」と言わんばかりのメッセージを残す犯人が、真相が明らかになったときに「なぜバレたんだ」みたいな態度をとるとき、たまにあるけどそりゃ、メッセージ残したらバレるよ! 捕まりたくなかったらメッセージ残すなと思う。
今回の犯人も各県にまたがって殺人を起こし(しかも殺害と遺体を放置した場所は別だったりする)、メッセージを残し、警察(やコナン)に気づかれるようにするという……人を殺めるより困難だよそれ! 普通の人だったら殺害するだけで大変な労力だというのに。
ところが『漆黒の追跡者』では犯人が「几帳面な性格だったから」という驚きの理由をつけている! なるほど、几帳面な人間であれば一生懸命麻雀牌になぞられたメッセージを考えたり、犯行現場をある図になぞらえたりするのも理解できる。几帳面な人でなきゃ、こんなことできやしない!
そう考えるとミステリー作家や本作のスタッフ、コナンの原作者、青山剛昌先生とか相当、几帳面だと思う。筆者など「こんなの、考えているうちにバカバカしくならないのかな?」なんて思っちゃう。
黒の組織のメンバーはジン、ウォッカ、ベルモット、キャンティ、コルン、アイリッシュなんて酒の名称で呼ばれてて、人殺しも厭わない組織が酒の名前をメンバーに当てている行為を考えると、なんか可愛らしいな。
今回の映画のタイトルになっている「追跡者(チェイサー)」は強い酒を飲んだあとに口直しで飲む度数の低い酒、チェイサーのことで、「後から追いかけてくる」酒ということで、ああ、だから追跡者=チェイサーなんだねって、「うまい!」「お見事!」って納得するけど、こういうの、一生懸命考えてるってもう、几帳面そのものですね! って別にバカにしてるわけじゃないんですよ?
来年で連載30周年を迎える原作マンガは登場人物同士の複雑な関係や、思惑が絡み合い、どう考えたって一筋縄ではいかない完結を迎えると思われる。真偽不明の噂として「すでに最終回の原稿は書かれており、金庫に保管されている」というものがある。そういえば『ゴルゴ13』も同じこと言われてたけど、さいとう・たかを先生は鬼籍に入り、連載はさいとうプロが今も続けている。金庫に入れた最終回はどこいった。コナンの最終回は果たして……?
最後に本作の話題をもうひとつ紹介しよう。
レギュラーキャラの毛利小五郎役を演じていた神谷明さんは映画の公開半年後に降板を申し出て、現在は小山力也さんが小五郎役を担当している。神谷さんの小五郎は本作が最後なのだ。
配役の変更まで後からやってくるとは、タイトルどおりの追跡者だった!?
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