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高市早苗大臣の「暴走」に自民党内で不信感強まる…維新大躍進の実態

高市早苗大臣の「暴走」に自民党内で不信感強まる…維新大躍進の実態の画像1
高市早苗大臣(「gettyimages」より)

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 4月は各地で統一地方選挙が行われましたね。投票には行きましたか? 統一地方選は知事や市区町村長、議会選といった地方自治体の選挙を4年に1度、一斉に行うもので、前半(道府県知事・政令指定都市市長、議員・道府県議員)は4月9日の投開票で終わり、あとは23日の投開票に向けて各党、候補者が奮闘中です。

 選挙区によっては3種類(国政補選・市区首長、議員・町村首長、議員)の投票用紙に記入するので、混乱せずにそれぞれの支援したい候補者名を覚えるだけでも大変ですよね。

維新は躍進していない

 結果の正式な分析にはまだ時間がかかりますので、前半について神澤個人の感想を書かせていただきます。報道によりますと、41道府県(岩手、宮城、福島、茨城、東京、沖縄以外)の道府県議選の政党別の当選者数は自民党が1153議席で、前回(2019年、1158議席)から5議席減らしたものの、総定数の過半数を守りました。

 立憲民主党は185議席で自民に次ぐ第二党となり、公明169、共産75、日本維新69、国民民主31、参政4、社民3、諸派(大阪維新含む)78、無所属493議席。れいわ新選組は議席を獲得できませんでした。

 また、17市の政令市議選(仙台、静岡、北九州を除く)は自民292、公明171、立民112、共産93、日本維新72、国民14、社民4、参政3、大阪維新を含む諸派が92、無所属が152でした。

 こう書くと自民が敗退して維新が大躍進しているようですが、そうでもないです。自民の地方議員はほぼ横ばいで、減ってはいないのです。とはいえ「昔の自民党」とは違ってきたな、という感じはありますね。

 神澤もお手伝いに行きましたが、各党、各候補に「ドラマ」があるんですよ。今回は6期以上も務めた70代以上の超ベテラン候補の半数近くが落選していますし、大物議員の二世も落ちています。親の威光をふりかざすようなことをすればやっぱり嫌われるんだなーと実感しました。

 大阪の府・市ダブル選挙は維新が勝利しましたが、これは自民が降りたからでしょう。地元では吉村洋文知事の人気は不動ですから、知名度の低い大阪市長選に集中すべきだったと思います。自民党大阪府連は自民党市議の女性候補には推薦を出さずに「自主支援」として、女性候補は離党して選挙に臨んでいましたね。

 奈良県知事選挙は維新の候補が当選しましたが、これは自民の内紛ですよね。維新の新人・山下真候補は26万6404票、自民奈良県連推薦の平木省候補は19万6729票、そして自民党の二階俊博元幹事長と茂木敏充幹事長が推した現職の荒井正吾候補は9万7033票の得票でした。

 自民が平木候補だけなら「19万6729票+9万7033票=29万3762票」で勝てたのに、そんな算数もわからず、党内で調整ができずに自滅したのです。奈良県は自民党が強いといわれているので、これは痛手だと思います。

 あとは高市早苗大臣の「暴走」も気になりましたね。「総務省文書捏造問題」で自民党支持層の票を減らしたようですし、何より党内で「統一候補擁立」をがんばるべきではなかったでしょうか。平木候補は総務相時代の高市大臣の秘書官を務めたこともあるそうで、まあ身内ということでしょうが、党内での不信感は強まってしまいましたね。

自民党より議席を減らしたのは

 神澤は、自民党よりも共産党が議席数を軒並み減らしていることに注目しています。前回の総選挙では共産党は立憲民主党と選挙協力しましたが、うまく共存できず、どちらも痛手を負った結果、協力関係を解消しています。その「後遺症」から立憲民主党は復帰できていませんね。その背景には、「立憲」という言葉のイメージと現実の政策のミスマッチがあるからでしょうね。

 立憲とは「憲法を制定すること」という意味です。「現代社会に合う憲法を制定する=改正する」ニュアンスがある一方で、他方で「立憲主義」という言葉がありますよね。これは「憲法に従うこと」「憲法」に則って政治権力が行使されるべきである」という考え方です。この違いを象徴するように、党内も意見は真っ二つに分かれていて、このまとまりのなさが支持率にも表れています。

 立憲の支持率は8%(2023年3月26日現在、以下同)、維新も8%で同じですが、衆参の議席数は立憲135、維新61なのです。

 これでは、野党第一党としての存在感を出すのは難しいですよね。ただ、政治家一人ひとりを見ていくと、圧倒的に立憲の方が維新より優れています。しかし、政党という組織で見てみると、維新のワンイシュー「身を切る改革」は長きにわたりぶれていなくて、とてもわかりやすく浸透しやすいと思います。一方の立憲はLGBTQのほかたくさんイシューを出していて、どれがメインなのかわかりにくいですよね。

 今はわかりやすく、透明性のある政治が求められているのだと思います。わかりやすいといっても、ガーシーこと東谷義和元議員のように、おもしろいだけのわかりやすさでは政治家は務まりませんが、元議員が29万票も獲得していたという現実は、各党が考えなくてはならないのではないでしょうか。

統一地方選が「統一」されていない理由とは

 ところで、地方議会の選挙がなぜ「統一」されているのか、ご存じですか? 1947年から始まった制度で、総務省によると「国民の選挙への関心を高めること」が目的だったそうですが、複数の投票を同じ日にすることで経費削減につながる効果もありました。

 1回目の47年は統一して選挙を行う自治体の割合は100%でした。これを「統一率」といいます。しかし、100%だったのはこの年だけ。第20回目に当たる2023年の統一率は、なんと27.43%になる見込みです。「うちの地元では選挙やってない」とおっしゃる方も多いですね。

 これにはいろいろな理由があるのですが、東北地方はなんといっても2011年の東日本大震災の影響ですね。復旧・復興作業などの都合で時期がずれていったのです。

 あとは市町村合併の影響も大きいですね。昭和と平成で大きな市町村合併が行われていて、事務的な理由でずれています。また、首長が在職中に亡くなったり辞職したりすると補選が行われるので、ここでもずれます。ムリに合わせようとして任期を延ばすことには議論がありますから、一度ずれてしまうとなかなか戻らないのです。

 この積み重ねで統一率が下がっているのですが、このままでは「統一」地方選挙とは呼べず、「わりかし選挙が多い時期」くらいの認識になってしまいそうですね。これは誰かのせいではないので仕方ないのですが、投票率の低下は憂慮しています。

 選挙はみなさまの貴重な税金が原資ですから、ムダにしてはダメなのは当たり前ですよね。

 大阪府の堺市(政令指定都市)は、市長選挙と市議会議員選挙の時期が2カ月ずれています。そこで、選挙管理委員会は、現在の市長が2カ月前に辞職すれば、選挙を同時期に行うことができるので「1億1000万円の費用削減につながる」という意見を出しました。

 その一方で、「単独で実施した方が円滑な選挙の運営につながる」と意見もあり、結局は別々に行うことになりました。費用削減よりも「別々に行うメリット」について、市民のみなさんは納得したのか疑問です。

 そんなことをやっているせいなのかどうなのかわかりませんが、投票率はどんどん下がっていますね。9道府県知事選が46%、41道府県議選は41%と、いずれも過去最低を更新しています。

 いつも書いていますが、投票に行かなければ何も変わりません。そして、各党にはもっと「投票に行きたい!」と思ってもらえるような明るい選挙を後半戦に期待したいです。

経験20年以上の現役国会議員秘書

かみざわしま

最終更新:2023/04/14 13:00
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