ワンオク『Luxury Disease』ダサくて最高!楽曲レビュー
#ONE OK ROCK #ショウムライター
何でもさ、良かったらしいじゃん。
めちゃくちゃに良かったらしいじゃん。
いいいなああああおっさんも行きたかったよ東京ドーム。
聴きたかったよ生Neon。
つう訳で此度の主題は昨年3年半振りのニューアルバム『Luxury Disease』のリリースに伴うツアーにて先日の4月4日並びに5日と2日間の東京ドーム公演を終えたばかりのONE OK ROCK略称ワンオク。
そんな彼等の上記リリースに伴い国内各メディアは各々の特集でもってそちらを迎えているのだが実はおっさんことショウムライターも僭越ながらそちらに1枚噛んでおり、ドラムのTomoyaが表紙を飾ったリットーミュージック出版の「Rhythm & Drums magazine」(略称ドラマガ)2022年10月号にて「Luxuary Disease」以前の過去アルバム(ミニアルバム含む)9枚全レビューを書かせて頂いておるのだ。
https://www.rittor-music.co.jp/magazine/detail/3122132006
上記執筆時は昨年晩夏でこりゃあ絶好の機会だと思いサマソニでワンオクも観た(裏被りのKula Shakerは泣く泣く諦めたけどどうせ単独で来るだろうと思ってたらやっぱりこないだ来たからそれ観に行った)。んですんげえ良かった。アルバムが俄然楽しみになった。出た。聴いた。すんげえ良かった。
ので、凱旋ツアーの今、リリースから暫く時間は経ってしまっているがそれ故に競合他者もおらんであろう今、多少ぶっ込んだ内容でも許してくれるであろう今、ここで改めてこうして筆を執っている次第だ。
で、いきなりぶっ込むつうか率直に申し上げると、おっさんは今作が大好きである。
更に本稿をもって一応ワンオクのアルバム10枚(繰り返しになるがミニアルバム含む)に対して少なくともこうして記事化出来るくらいには聴き込んだおっさんが一言で率直にぶっ込んじまえば、このアルバムは史上最も”ダサ”く、そして”おっさん臭い”。即ち”ダサカッコいい”から大好きなのだ。
所謂、音楽媒体でこんなん書いたら間違いなく大目玉からの出禁なのだろうか? でもこれこう表現するほかのライターさんが自分の見渡す限り皆無であるのも不思議なくらいに、本作はダサい。だからサイコーなのだ。まさかあのワンオクがこの路線からの一撃をぶちかまして来るとは思わなんだ。
「Eye of the Storm」で見られた肉感的な生演奏をかなぐり捨ててまで歌メロに全振った前作の挑戦(本人達からして見ればそれも挑戦だなんて大それたものではなく、もっと楽しみながらの制作であったかも知れないが)を経て、そのある種大仰とまで言える大陸的な歌メロに対して、素直にそして愚直に何ならちょっと、いや、堂々とベタで(即ちダサい)大陸的な生演奏を足し算掛け算してみせるだなんて、全く爽快極まりなく痛快無比である。もう一度言う。サイコーだ。
先ずは自身のロック回帰を高らかに宣言する「Save Yourself」の先制パンチより始まり、からのおっさんの推し曲、ワンオクで1番好きな曲となった「Neon」へと繋がる。おっさんにはアルバムではなく楽曲の方の「Eye of the Storm」のしゃくりまくるサビが最早、コブシを利かせている様にしか聴こえなかったのだが(再三繰り返すがこれもいい意味で言っているしここまで言って伝わらないのであればもうこの記事は読まないほうがいい)、この国内ロックでは余り見られないデッカいシャッフルビート、わざとチープに録ったであろうAメロBメロの合間に入るギターのブルージーというかハードロッキンというか開き直ったかの様な旧時代的なオブリ(オブリガート)はどうだ。そちらに乗せて朗々と、何なら芝居掛かってすらいるサビの歌メロはどうだ。”Burning brighter than the sun”の”sun”なんて正にコブシではないか。 全部わざとらしい。でも全部カッコいい。これを胸張って演れるだなんて最早羨ましくすらある。
ちと話は逸れるがそもそも欧米ロックには当曲の様なシャッフルのミディアムテンポはよく見られるが、国内ロックにシャッフルのミディアムテンポは余り出て来ない。得手不得手の話なのだろうか。とはいえだから海外の方が優れているという話では決してなく、むしろ海外では国内ロックによく見られる早いテンポの直線的なエイトビートの楽曲は余り聴かれない。
それこそ初期のワンオクがやっていたシンコペーションを多用する「内秘心書」的なリズムパターンは本当に少ない。なのでやはり得手不得手の話なのであり、こうしてその双方をやってのけたという意味ではドラム的及びリズム的な観点で見てもやっぱこの曲超カッコいいよなとおっさんは悶えてしまう訳なのである。繰り返す。サイコーだよ。
「Neon」が好き過ぎるので話を続けるがこの芝居掛かった大仰な歌メロは一聴してFOB(フォール・アウト・ボーイ)っぽいなと思ったが、おっさんの勘は半分正解で半分間違い。制作クレジットを見て”なあるほどね!”と膝を打った。何とそこにはPATD(パニック! アット・ザ・ディスコ)のブレンドン・ユーリーがコライト(共同作曲者)として名を連ねているではないか。
超乱暴に言ってしまえばFOBはPATDの元ネタみたいなもん(初期の曲調とか曲名が長いのとか歌い方とか端々に諸々つうか影響はモロで、そんなPATDのそもそものデビューの切っ掛けを作ったのもFOBのピート)であり、そんな両者と「Neon」に共通する要素こそ正に芝居掛かった大仰な歌メロであるからだ。道理で俺のドツボな訳だよ。大納得。
ここでPATDの曲を1曲、これ聴いて貰えれば散々言うとる「Neon」との共通点が伝わるのではないだろうか?
余談ながらアナ雪2もやってたりします。
更に余談ながらついこないだの3月10日のライブをもって活動終了との事でして、おっさんはお疲れ様でしたと思っています。ライブ観てみたかったぜえ。
ああ、幾ら好き過ぎるとは言え「Neon」だけで随分な長さになってしもうたよ。もう2500文字ぐれえだってよ。まだまだ語りてえんだけどこのまま続けると10000字の大台を突破しちまう危険性しかねえし、それはやり過ぎだから如何なもんか(ワンオクの新作はダセェからサイコーとか言ってる時点で超如何なもんかではあるのだが)とも思うので、取り敢えず一旦ここで留めておく事にするし、残るベルーナドームと札幌ドームに行かれる方はこんなおっさんに言われずともではあろうがどうぞ楽しんでってな!
羨ましいぜ!
GLAYとレゲエ~ビッグビート~R&B 進化し続ける「伝説のバンド」の音楽的挑戦とは
ビート&アンビエント・プロデューサー/プレイリスターのTOMCさんが音楽家ならではの観点から、アーティストの知られざる魅力を読み解き、名作を深堀りしていく本連載〈ALT V...サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事