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ゴールデンから都落ち『ジャンクSPORTS』の絶望的な“時代錯誤”

ゴールデンから都落ち『ジャンクSPORTS』の絶望的な時代錯誤の画像1
『ジャンクSPORTS』(フジテレビ系)

 新年度を迎える4月はテレビ界も改編期。今年も多くの番組が3月で終了した中で、業界に衝撃を与える左遷劇があった。ダウンタウンの浜田雅功が司会を務める『ジャンクSPORTS』(フジテレビ系)が、日曜19時から土曜17時へ移動。放送時間も1時間から30分に短縮されることに。

「2000年にスタートした『ジャンクSPORTS』は、2010年に一旦終了しましたが、2018年にレギュラー番組として復活。しかし、『ザ! 鉄腕! DASH!!』(日本テレビ系)や『ナニコレ珍百景』(テレビ朝日系)など、強豪揃いの時間帯で苦戦が続き、視聴率は5~6%をウロウロする低迷ぶりでした。

 レギュラーで復活したのは東京五輪を見据えたものでしたが、番組は盛り上がりの機運に全く乗れず、コロナ禍で五輪が延期になったり開催反対の声が上がったりと、踏んだり蹴ったりの状態。数字が一向に伸びないので予算が削られ、コストコや家電量販店で浜田がアスリートにおごる“爆買い企画”ばっかりやっていました。

 それでも東京五輪が終わり、これで番組も終了だと誰もが思っていましたが、天下のダウンタウンということで、なんとか打ち切りは逃れたようです。土曜17時台は視聴率が問われる時間帯ではないのである意味で“聖域”ですが、完全な都落ちです」(テレビ関係者)

 五輪延期に関しては不運だったとしか言いようがないが、アスリートがスーパーで買物をする姿に視聴者の強いニーズがあるとは思えない。しかも、最近のお気に入り企画は、「部活の思い出」という名の「しごき・体罰自慢」だ。

「アスリートには厳しい練習が付き物で、番組では名門校ならではの不思議なしきたりや、地獄の練習のエピソードが紹介されていますが、当然出てくるのは体罰の話。出演者はしきりに過去の話だと強調していますが、結局は笑いのネタとして消費されているわけで、このご時世に体罰を茶化すような番組を放送するセンスには言葉を失います。部活動における体罰は現在進行系の問題で、つい先日も春高バレーの優勝校監督の暴力行為が問題になったばかり。タイミング的にも最悪です。

 都道府県や教育委員会は暴力根絶に向けて指導を行っていますが、現場レベルでは、威圧的な指導が効果的であるという認識の指導者がまだまだ少なくありません。番組に出演するアスリートはその競技で成功した選手ですが、そのうしろに体罰やしごきで部活を辞めた多くの生徒がいることに、番組関係者は想像が及ばないのでしょうか。

 体罰は熱心さの表れでも成長に必要な道具でもなく、100%犯罪であるという認識のない人間が番組を作っているということです」(フリーのスポーツライター)

 その無神経さがテレビ離れを招いていることに気付く人間は、フジテレビにはいないのだろうか?

石井洋男(スポーツライター)

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

いしいひろお

最終更新:2023/04/08 09:00
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