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オードリー春日の炎上、加藤浩次の「落ちるなよ」フリの本当の意図を元芸人が分析

オードリー春日の炎上、加藤浩次の「落ちるなよ」フリの本当の意図を元芸人が分析の画像1
オードリー春日俊彰

 ベテランから若手まで芸人の炎上が日常茶飯事になりつつある今日この頃。また、とある芸人が炎上した。それは「オードリー」の春日俊彰さんだ。

 事の発端は24日に放送された朝のワイドショー「スッキリ」(日本テレビ系)での出来事だった。関東で一番人気がある動物園として紹介された栃木県那須郡にある「那須どうぶつ王国」を春日さんが訪れ、生中継でロケを行い、動物たちと触れ合うといった内容のコーナーだった。

 オープン前ということもあり、春日さんはペンギンたちを厩舎からペンギンビレッジ内にある池に誘導するという仕事をすることになった。ペンギンたちを無事に誘導し、餌をやっていると、スタジオからMCの加藤浩次さんが「春日、池に落ちるなよ!」「春日、足元気をつけろよ!」などと注意していると見せかけて、池に落ちることを催促するようなフリともとれる呼びかけがあり、春日さんはこれを受けて、わざと池に落ちるというボケをした。

 ネタフリがあり、それを受けてボケるというのは芸人の世界では王道であり、当たり前の行為だと思えるのだが、いかんせん池に落ちた状況が良くなかった。足元には餌を求めて多くのペンギンが集まっており、一歩間違えればその場にいるペンギンを傷つけてしまう可能性がある。そうならないとしても驚いたペンギンたちの逃げ惑う姿が放送されたのだ。不快に思う視聴者がいるのは当然だ。さらに春日さんの水没してしまったピンマイクを心配する姿が放送されており、ネット上ではペンギンよりマイクを心配しているという声も上がっており、炎上が加速してしまった。

 番組終盤で、改めて動物園と中継を結び、春日さんが「先ほどはやり過ぎて水の中に落ちてしまって、ペンギンちゃんたちを驚かせてすみませんでした」と土下座をして謝罪。スタジオの加藤さんも「俺も『落ちるな』って言っちゃったから」と責任を感じている様子だった。続けて「ペンギンちゃんはみんな大丈夫なんだよね?」という質問に対し、春日さんと一緒にロケをしていた伊藤遼アナウンサーが「はい、大丈夫です」と答えた。

 たぶん生放送中にテレビ局へ直接の抗議や、ネット上で批判的な意見が多く見られ、それをみたスタッフサイドが慌てて謝罪をさせたものだろう。

 ちなみに番組の公式サイトでもこのアクシデントについて下記のように謝罪している。

 「本日3月24日(金)、那須どうぶつ王国からの中継で、出演者が園内の池に入る場面がありました。動物がいない池に入る可能性は事前に打ち合わせしておりましたが、本番ではペンギンのいる池に入ってしまう放送となりました。動物への安全配慮が不足しておりました。改めて那須どうぶつ王国および視聴者の皆さまにお詫び申し上げます。今後はより一層動物の安全に配慮し、番組制作をして参ります」

 那須どうぶつ王国サイドも同日、公式ツイッターにて「本日のテレビ生中継について」と題して下記のようなコメントを掲載した。

 「ペンギンビレッジからの中継について事前打合せには無かった状況で、タレントの方が、ペンギンのいる池に入るシーンが放映されました。当園としては誠に遺憾であり、テレビ局側に厳重に抗議いたしました。今後は取材ロケ受け入れについては報道側に動物の尊厳を傷つける様な行為が無いように厳しく対応してまいります。不快な思いを抱かせてしまったことを深くお詫び申し上げます。何よりも飼育スタッフ、関わった広報スタッフも心苦しく思っております。まずは取り急ぎご報告させていただきます」

 番組と動物園双方のコメントや「スッキリ」における加藤さんと春日さんの関係性、実際の映像などを踏まえて元芸人として分析してみる。

 今回炎上するポイントとなったのが、春日さんが落下する際に足元や池の水中にペンギンがおり、ペンギンにとって危険な落下をしたという点だ。番組サイドも動物園側も「動物のいない池への落下」は承認しており、動物がいたことで視聴者的にも動物園的にも抗議をする運びとなったのだ。事前打ち合わせでは「動物のいない池への落下」のみ明確に通達しており、それ以外の状況は了承していないということなのだが、そもそも「動物がいない池」という状況を作り出すことは容易だったのかどうかが気になってしまった。

 ロケの内容を見る限り、春日さんとペンギンたちは厩舎から池まで一緒に移動することになり、池に到着した時点で春日さんの周りにペンギンがいるのは想定されていたはずだ。そうなると「動物がいない池」という状況を作り上げるのは至極困難なのではないだろうか。

 実際の映像を見ると、春日さんは複数回、池に落下しているのだが、最初の落水が足元や水中にペンギンがおり危険行為として問題となった落下。そしてそれ以降の落下は、ペンギンを池ではないところへ餌で誘導し、池にペンギンがいないことを確認して落水している。つまり「動物のいない池」という状況は思ったより簡単に作れるものだったのだ。

 なので「動物がいない池」という状況を作り出してから落水しても良かったと思うのだが、なぜそうしなかったのか。もしかしたら元々落水する予定は無かったのかもしれない。

 というのも、今回の落水でワイヤレスマイクが故障するというハプニングが起きた。春日さんくらい経験値が豊富な芸人が池に入るのならば、事前にワイヤレスマイクを外すか、元々ワイヤレスマイクではなく、ガンマイクで声を拾ってもらうようにするはず。それがワイヤレスマイクをつけたまま落水しているところを見ると、その場の勢いで落水してしまっただけで、事前の打ち合わせでは落水しない方向で動いていたのかもしれない。

 しかし元々「スッキリ」内では今回のような加藤さんと春日さんの掛け合いは恒例になっており、視聴者の間ではドタバタする春日さんの反応が面白いとされており、加藤さんが「落ちるなよ」と何度も振ってしまったのでテンションが上がった春日さんは予定にはない落水を選んでしまったのかもしれない。

 ここからは全て僕の憶測だが、もしかしたら池への落下を促しているように見える加藤さんも「落ちるなよ」と煽ってはいるものの、落ちない前提の煽りだったと仮定するのはどうだろう。春日さんが落水する前、加藤さんがかなりしつこくネタフリをしているのだが、あそこまでしつこいのはかなり珍しく、加藤さん的には「どれだけ振られても無理なものは無理」と春日さんが断るというボケを想定しており、その流れにする為にムチャクチャ振ったという可能性もある。

 加藤さんの想定と、春日さんの芸人としての使命感がすれ違った結果、このような事態になってしまったのかもしれない。

 そして今回の炎上の一番の原因があるとすれば、落水するという面白さに注目し、他の部分への配慮が足りなかったことだ。そもそも相手はペンギンであり、どれだけ事前準備しても突然予期せぬ行動をする生き物だ。そうなると事前準備など無意味になり、ペンギンに傷を負わせる可能性が出てくる。

 もしその可能性が少しでも見えていれば、危険予測が出来て、加藤さんや春日さんに対して本当に落ちてはいけないと念押しするはず。芸人は目先の面白さに食いつくものだが、アホではない。本当にやらないでくれということはやらない。つまりスタッフさんの危険予知が出来ておらず、番組の面白さを追いかけてしまった結果だと言えるだろう。

 とはいえ相手は芸人だ。ペンギン同様予期せぬ行動をとる場合もある。本気でやらないようにお願いしたところで、状況によってはやってしまうという事も無きにしも非ずだ。今回の騒動で過去に笑福亭鶴瓶師匠が生放送で局部を出してしまうというアクシデントを思い出した。

 今回のことについて原因や真相が明らかにされることはないが、3月いっぱいで終了する「スッキリ」が、このタイミングで炎上するなんて、なんともスッキリしない終わりを迎えそうな気がしてならない。出来れば、その名にふさわしい17年間の集大成が見られるよう願っている。

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2023/03/30 06:00
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