『ナワリヌイ』国家がいかにして国民の毒殺を図ったか本人が追うスリル
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「僕をどうやって殺そうとしたんだ?」と電凸
映画が面白くなるのはこれからで、なんとナワリヌイは殺害チームのメンバーに片っ端から電話をかけて「もしもし、ナワリヌイだけど……僕をどうやって殺そうとしたんだ?」と電凸する!
その辺の迷惑系YouTuberも裸足で逃げ出すレベルだ。自分を殺そうとした連中に突撃するんだから。
もちろんほとんどの人間は電話がつながっても沈黙、即切りでロクに会話が成り立たない。ここでナワリヌイは作戦を変更、リストから「一番口が軽そうなやつ」を狙って殺害チームメンバーの部下だと偽り、殺害計画が失敗した理由を探る報告書を作っているから……という名目で毒殺作戦の内容を聞き出す。
すると彼は拍子抜けするほど、あっさりと計画について口を滑らせるのだった……。
殺害未遂事件の顛末を聞き出すことに成功したナワリヌイとクリストは、笑顔でハイタッチ……って、喜んでる場合じゃないよ! これは政府が一人の人間を抹殺しようとした証拠なのだから。
恐ろしい話だが、当のナワリヌイはニコニコ笑顔を崩さない。劇中、彼は常に笑顔を絶やさず、命がけの反体制運動をしているとは思えないユーモアに溢れた態度を見せており、だからこそプーチンは彼を恐れているのだろう。
彼の電凸映像は動画サイトにアップロードされるや否や、反響を巻き起こす(そりゃそうだ)。権力者寄りのジャーナリズムはこの動画を一笑に付すが、ロシア政府はさまざまな難癖と罪状をつけ、逮捕しようとする。するとナワリヌイはやましいことなど何もない、と堂々ロシアへ帰国して、現在は服役中の身である。
ナワリヌイの支援団体はプーチン政権の闇を暴露する動画や情報を公開し、ナワリヌイの収監に反対するデモを何度も起こしている。
日本にも「国会の闇を暴く」「政治家の不正を暴露する」と息巻いて国会議員に当選したガーシーこと東谷義和という人物がいるが、彼は国会に一度も姿を見せず、やっていることは芸能人の誹謗中傷(そのほとんどがデタラメ)にすぎず、警察に捕まるのが嫌だから外国に逃げているといった有様。本当に命がけで政治家の不正、政権の闇を暴くという行動は、ナワリヌイがやっているようなことをいうのではないか。ガーシーにはナワリヌイの爪の垢でも煎じて飲めと言いたい。
映画『ナワリヌイ』はアカデミー賞長編ドキュメンタリー受賞も納得の傑作。これと比較すればガーシーはせいぜいゴールデンラズベリー賞がいいところですね。
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