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激闘の末のフィナーレ!『インフォーマ』ここに堂々完結! そして…

『インフォーマ』最終回より ©カンテレ

先週、一足早く、ドラマ『インフォーマ』の最終回が放送されたNetflix。それを受け、同サイトの視聴数ランキングのトップを狙うと、当コラムで打ち明けていた同作原作者の沖田臥竜氏。果たして、その結果は?  そして、ついにカンテレでも今夜、最終回を迎える。だが、これは次なるステップの第一歩に過ぎないのかもしれない――。沖田氏による『インフォーマ』を味わうための恒例エッセイ、初公開となるスクープ情報?も織り交ぜ、お届けする。

『インフォーマ』を愛してくれた人たちが望んているもの

 クソめ……。

 出だしから、「クソめ」から始まるコラムはそうそうあるまい。だが、クソめなのである。ドラマ『インフォーマ』も、残すところカンテレで今夜放送される最終話だけとなった。

 Netflixでは最終話がすでに配信され、全世界配信も開始。『インフォーマ』が世界へと飛び立っていったのである。

 肌感的にも反響は抜群だった。ここでしっかり日本を制し、世界へと飛び立つ……最高のシナリオではないか……ただ、それが届かなかったのだ。Netflixで最終話を迎えた後、満を持してのランキング……ちぃ、クソめの2位だったのだ。

 もちろん、2位がすごいことは十分に理解している。だけど、ここまでくれば普通に見ちゃうだろう、頂点を。王者の称号を得て、世界へと飛び立ちたかった……。

 と言いながらだ。だからこそ面白いのだ。頂きは高いほうがよい。『SLAM DUNK(スラムダンク)』が全国制覇したか? してないだろう。

 ここで2位だからこそ、後になって、さらに喜べる感動が待っているのではないだろうか。

 「クソめ…」と言うのは、半分、照れ臭さありきで、悪態をついていたほうが座り心地が良いのだ。表で憎まれ口を叩きながら、裏ではまた頑張る。人生とはその繰り返しではないだろうか。

 企画立ち上げから2年数カ月。いろいろなことがあったが、振り返るとあっという間だった。本当にこの2年、何をしていても、どこかで『インフォーマ』のことを考えていたように思う。

撮影現場への差し入れも「熱かった夏」の思い出

 ちゃんとクランクインができるだろうか、クランクインすれば、無事にオールアップできるだろうかと考え、実際に撮影が終わったら、編集チェックをしながら、小説を仕上げる作業に取り掛かり、同時にマンガ化への交渉を延々と続けていた。放送中は視聴率の分析をしたり、SNSの反響をデータ化してずっと見ていた。

 ただ、苦しいとか辛いとかはまったくなかった。書くという作業は苦しいことの連続だが、その先に見据えるものが原動力となり、どんなときも書くことができたのだ。

 実生活で辛いことがあっても、クスリと笑わすようなことを書かなくてはならないし、楽しい気分のときに、シリアスに描かなければならないときだってある。筆を握り始めて25年である。何をしているときも、心のどこかでは小説のことを考えてきた。それが報われた2年であった。

 物語を作る上で一応、漠然とした目標はある。例えばこの作家だけには負けたくないとか、この物語を超えていきたいといった漠然さである。

 だが内心、本音ではあまり、他者の作品との勝ち負けといったことに興味はない。面白い作品に出会えば、嬉しいし、刺激にだってなる。少年時代から、映画館やビデオ屋、本屋が私は大好きで、そこで新たな作品に出会えることを楽しみにしていた。

 本当に超えていかなくてはいけないのは自分自身だけで、これからもずっと自分で自分を超えていくのだ。満足なんて一生ないだろうし、作品を作ることに限界はないだろう。

 『インフォーマ』はみんなで作り、みんなに応援していただいたからこそできた作品だ。だから強い。強い作品はきっと世界でも旋風を巻き起こしてくれるはずだ。

 この春から小学館で始まるマンガ『インフォーマ』も楽しみにしてほしいし、小説『インフォーマ』がまだの方は、ぜひ手にとって読んでほしい。

 気がつけば、『インフォーマ』はひとつのプロジェクトとなっていた。そのプロジェクトは、カンテレ最終話でのプレゼント企画として初告知される、DVD &Blu-ray化で一区切りつく。もともとDVD化前提で進められていたのだが、それならばレンタルショップにも並ぶようにしてほしいと私から打診し、実現してもらった。さっきも書いたように、私は映画館とビデオ屋と本屋が大好きだった。それは今も変わらない。

 時代が変わり、ビデオではなく、DVDやネット配信が主流になった今でも、気分転換でTSUTAYAに行き、そこでまた物語を空想するのだ。商業的な問題ではない。レンタルDVD屋の棚に並ぶ『インフォーマ』の姿も見たかったのだ。

 あの夏、木原がいて、ポンコツがいて、冴木がいて、河村がいて、愛之介がいて、ナナがいて、キムがいて、オカがいて、ハコさんがいて、丸山刑事がいて、長澤がいて、有村がいて、相田がいて、クズオがいて、みんながいた。

 私はあの夏、日本で一番、熱かった夏だと思っている。

 みんなで、関西ローカルから地上波の限界に挑んでいった。『インフォーマ』を愛してくれた大勢の人たちからの反響はしっかりと受け止めさせていただいている。何を望まれているかも十分、理解しているし、それにはぜひ応えたい。

 一言でいえば、木原に「帰ってきたぞ~」、ポンコツに「ちょっと待ってくださいよ、またですか !?」と言わせることが、またできればなと考えている。

(文=沖田臥竜/作家)

小説『インフォーマ』

沖田臥竜/サイゾー文芸/税込1320円
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週刊誌記者、三島寛治の日常はひとりの男によって一変させられる。その男の名は木原慶次郎。クセのあるヤクザではあったが、木原が口にした事柄が次々と現実になる。木原の奔放な言動に反発を覚えながらも、その情報力に魅了された三島は木原と行動をともにするようになる。そして、殺人も厭わない冷酷な集団と対峙することに‥‥。社会の表から裏まで各種情報を網羅し、それを自在に操ることで実体社会を意のままに動かす謎の集団「インフォーマ」とはいったい何者なのか⁉パンデミック、暴力団抗争、永田町の権力闘争、未解決殺人事件…実在の事件や出来事を織り交ぜ生まれた「リアル・フィクション」の決定版!


ドラマ『インフォーマ』
毎週木曜深夜0時25分~0時55分放送中(関西ローカル)
見逃し配信:カンテレドーガ・TVer
Netflixでは全話配信中


『インフォーマ』予告映像

桐谷健太演じる主人公で、裏社会・政治・芸能など、あらゆる情報に精通するカリスマ的情報屋“インフォーマ”木原慶次郎と、佐野玲於(GENERATIONS)演じる週刊誌「タイムズ」記者・三島寛治が、警察・ヤクザ・裏社会の住人たちを巻き込み謎の連続殺人事件を追うクライムサスペンス。事件の背後に存在する謎の集団のリーダーで、木原の因縁の相手となる男を、事務所移籍後初のドラマ出演となる森田剛が演じる。

作家・小説家・クリエイター・ドラマ『インフォーマ』シリーズの原作・監修者。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)がドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)、『ブラザーズ』(角川春樹事務所)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

最終更新:2023/03/23 11:37
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