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ウエストランド河本の「新しさ」に光を当てる「新しい」文章

ウエストランド河本の「新しさ」に光を当てる「新しい」文章の画像1
『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)TVerより

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(3月12~18日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

ウエストランド・河本「たぶん女性としては見てないと思います。お笑いでやってる」

 テレビは新しさを求める。昨日はなかった情報を求める。ニュース番組だけではない。バラエティもそうだ。新しい出演者、新しい企画、新しいトーク。日々何かが更新されている。明石家さんまは定型的なやり取りを好むけれど、それは同じトークの再生産というより、むしろアクシデントなどの形で新しさを呼び込む仕掛けだ。

 新しいものが古くなり、その古さからの差分で新しさが生まれる。そんな循環がテレビのそこかしこに見られる。別にテレビだけでなく、インターネットも含んだメディア一般の特性だろう。

 たとえば、14日の『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)。この日は、毎年恒例のM-1ファイナリストの「中間報告」が放送されていた。前年のM-1ファイナリストが、その後の仕事やプライベートの変化などを報告しあう企画である。出演していたのは、チャンピオンのウエストランドのほか、さや香、ロングコートダディ、男性ブランコだ。

 番組では、ファイナリストたちの素顔や裏側を暴くという趣旨で“タレコミ情報”が発表されていた。出演者は相対的に新しいが、企画自体は以前から『ロンハー』で放送されてきたタイプのものだ。決して新しくはない。

 最初にターゲットになったのはウエストランドの井口浩之。情報提供者は、以前『ロンハー』の企画で井口が恋心を寄せているのではないかと指摘されていた、パーパーのあいなぷぅである。彼女は2人の関係について新情報を供する。あいなぷぅいわく、井口のアプローチは番組の企画だけではない。プライベートでも、料理好きの彼女を井口は「いいお肉もらったから家に来て料理してよ」とよく誘うらしい。

 これに対し、井口は「ただの友だち」という方向で弁明する。もちろん、田村淳(ロンドンブーツ1号2号)や有吉弘行、ザキヤマこと山崎弘也(アンタッチャブル)らは井口を逃さない。誘ったのはあいなぷぅ1人だけなのか? グループで誘ったのか? そんな質問に、井口は「(ほかに人が)いてもいいし、別にあいなぷぅだけでも……」と曖昧な答えを返していく。

 その後も、井口への追求は続く(有吉が「いぐちんランド」の件を蒸し返しつつ)。が、そんな追求にも井口は逆質問で返したり、曖昧な答えでかわしたりを繰り返す。質問を重ね出口を塞いでいく淳や有吉らと、はっきりしない態度を示し続ける井口。そんなやりとりが、井口に対する“疑惑”をますます強めていく。

「河本はどう見てるの?」

 ここで淳が視点を変え、相方の河本太に話を振る。河本いわく、井口は「昔からそういうの出さない」らしい。色恋に関する心情は表に出さないということだろうか。それを聞いたザキヤマは「あー、シャイなんだ」。これまでのトークの流れに沿いつつ、河本の発言を状況証拠として“疑惑”を強める方向に話をもっていく。しかし、である。河本はそんなトークの流れがないかのように次のように続けた。

「ホントおもしろくないですけど、たぶん女性としては見てないと思います。お笑いでやってる」

 いや、井口の恋心をめぐる一連のやり取りが“お笑い”であることは、出演者がみんな知っているわけである。知りつつも“疑惑”を強める方向でトークを重ね、そのプロセスを“お笑い”にしてきたわけである。多くの視聴者も「もしかしたら……」を1ミリほど残す曖昧なトークを“お笑い”として楽しんできたわけである。が、河本はそんな構図を全部ひっくり返す。「王様の耳はロバの耳」と叫んだ少年のように。「芸人の本音トークはお笑い」とばかりに。

 こんな発言のあとでは、もう今までのように井口とあいなぷぅの関係を扱えない。これまでと同じように“お笑い”はできない。では、そんな河本のちゃぶ台返しで“お笑い”のトークは止まったのか。

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