いしだ壱成、宗教コミューンの思い出や人気絶頂期の不思議体験を語る「このままいくとヤバいよって」
#映画 #インタビュー #いしだ壱成 #三軒茶屋
映画『三茶のポルターガイスト』(3月24日公開)は、心霊現象と幽霊のリアルな姿を“ガチ”で捉えたというセンセーショナルなホラードキュメンタリーだ。そんな激ヤバ・ムービーに出演を快諾したのが、俳優のいしだ壱成だった。
トルコでの薄毛治療や離婚、新恋人との破局などで、何かと話題に事欠かないいしだであるが、今回は、その身に起こった驚くべきスピリチュアル体験や、少年期にオレゴンのコミューンで過ごした思い出などを振り返り、語ってもらった。
登山中のチャネリングでスピリチュアルに目覚めた
──『三茶のポルターガイスト』で、いしださんは「スピリチュアル好き」として紹介されていましたが、そうなんですか?
いしだ壱成(以下、いしだ):神社仏閣巡りは好きですね。滝にも打たれたり、伊勢神宮も行ったりしています。
──2018年、炎上をきっかけに滝行を敢行して話題になっていましたね。神社仏閣に興味を持ったきっかけはなんですか?
いしだ:10数年前に、広島県の宮島に旅行に行ってからですね。厳島神社の裏にある弥山(みせん)に登ったら、誰かに話しかけられたんです。こう言ったらなんですけど、チャネリングみたいな状態に入ってしまって。いろいろと声を聞いたりして……。誰の声かはわからずじまいだったんですけど、女性のものでした。
とにかく「やっと会えた!」って歓迎してもらって、後ろから抱きつかれる感触があったんです。どんな神様なのかも名乗らずに去られて。あれは神様なのかな、と思って、それから信心深くなって、お参りするようになりましたね。あの体験は、いろんな人に聞いてもよくわからないままです。
──弥山はそういう超常現象がよく起きるスポットなんでしょうか。
いしだ:いや、そんなことないと思います(笑)。たまたま、めずらしいパターンだったと思います。
──いしださんは、もともとレゲエだったり、お母様で市民運動家の星川まりさんの影響でヒッピームーブメントと近しい印象が強かったので、少し意外なエピソードでした。いしださんとスピリチュアルの関連でいうと、小学生の頃にはお母様と一緒にオレゴンの宗教コミューンに行ったこともあるそうですね。
いしだ:10歳頃ですね。オレゴンに、インドの指導者であるバグワン・シュリ・ラジニーシという方の作ったコミューンが砂漠の中にあって、そこを訪ねました。コミューンといってもバカでかくて、ひとつの都市みたいなものなんですけど。滞在期間は1週間くらいだったと思いますけど、すごく楽しかったですよ。
──どんなふうに過ごしていたんですか?
いしだ:大人たちは大人たちでいろいろと……。ヨガだったり瞑想だったりカリキュラムがあったみたいですけど、子どもたちはディスコで踊ったりゲームしたりして、遊ぶだけだったんで、楽しかったですね。
──指導者のラジニーシにも会いましたか?
いしだ:目の前を通り過ぎただけですけどね。パレードがあって、彼が車に乗って通り過ぎるのを、僕らは沿道から見ていたっていう。あとに、僕は「スワミ・プレム・ラジ」という洗礼名をもらいましたけど、それもただ通知が来るだけでした。身内からは「ラジ」と呼ばれるようになっても、それでなにか特段、僕の意識が変わったっていうことはなかったですね。そのあたりのカルチャーに多少影響を受けつつ、そこまでのめり込みはしなかったんです。
──昨年出版された自伝『未中年~栄光と転落、再生への挑戦~』(大洋図書)では、「伯父の星川淳は翻訳家でもあって、バグワン・シュリ・ラジニーシ氏の著作を多数、梵語から和訳している」と書かれていました。
いしだ:そうですね。母も伯父からはけっこう影響を受けてて、ヒッピーカルチャーに熱心でしたね。僕がオレゴン旅行からしばらくして、伯父のいる屋久島で暮らしたのも、それからしばらくして中央線沿いにベジタリアンのレストラン開いたりしたのもの、そういう活動の一環だったとは思います。
──それにしても、女手一つでいしださんを育てたお母様もすごいです。
いしだ:そうですね。母はいつも忙しくしていて、日中はAV機器のショップに勤めて、夜はピアノを弾いたりしていました。だから普段はほとんど会えなくて寂しかったですね。でも、父親代わりといいますか、いろんな大人が常に近くにいてくれたなとは思いますね。母も恋多き女性でしたから(苦笑)。
超常現象が教えてくれたのかもしれない
──2001年には大麻取締法違反で逮捕され、2011年からは石川県に移住されていたいしださん。2020年には、2年前に双極性障害(躁うつ病)の診断を受けたことも明かされていました。一昨年からは東京での活動を再開されましたが、芸能界の酸いも甘いも知っているいしださんは、なぜまた同じ世界に戻ってきたのでしょうか。
いしだ:やっぱり、自分にできるのは役者しかないのかなっていうのが一番大きかったんです。双極性障害も患ったりして、長らく右往左往してたんですけど、自分の生き方をいろいろ詮索してみて、俳優がしっくりきてまたやりたいなと思って、イチかバチかでやってみました。
──最新出演映画『三茶のポルターガイスト』の中では、三軒茶屋のとある古ビルが“出る”ということで、実際にいしださんがそこへ行き、「怖い話」をして霊をおびき寄せていましたね。
いしだ:はい。本当に“出た”んで、驚きましたけど……。詳しくは映画を観ていただきたいです。
──いしださんが話されたのは、高層ホテルでのエピソードでした。
いしだ:2000年くらいの出来事で。高層ホテルの部屋で、ケータイでコージくんという友だちとしゃべってたら、突然混線しちゃって、別の友だちのトモミちゃんが出たんですよ。なんだこれは、と思いながらトモミちゃんに聞いたら「家の電話が突然鳴って、出たら壱成君だった」って言うんですけど。僕はトモミちゃんの家電の番号は知らないし、もちろんケータイのメモリにも入ってない。不思議な体験でした。
──2000年頃のいしださんは人気絶頂期ですよね。『未中年』でも、タレント・俳優としての自分が抱えるプレッシャーに、等身大のご自身が押しつぶされかけていたと綴られていました。それを踏まえると、この時期のいしださんに超常現象が起こったことは示唆的な気がして。
いしだ:たしかにそうですね。なんらかの存在が「このままいくとヤバいよ」って伝えてくれてたのかもしれない。
──人気絶頂期から、双極性障害の兆候はあったそうですね。
いしだ:そうですね。ただ、当時はまだメジャーな病気じゃなかったので、ちょっと話しても不思議がられるというか……。周りの人に理解してもらうのは難しかったですね。
──コロナで、芸能界でもメンタルヘルスの問題が取り沙汰されました。いしださんが双極性障害について発信することで、勇気づけられた人もいるのでは。
いしだ:自分がなかなか助けてもらえなかったぶん、僕の発信でラクになる人がいたらいいなとは思いますね。精神疾患は完治するというものでもないですけど、少しでも気が紛れたらうれしいなと思います。たまに悩み相談をしてくれる人もいますけど、僕もまだまだ成長中なので、なかなかうまくはいかなくて。でも、話してくれる限りは聞かせてもらっています。
──俳優活動と並行して行っているDJ活動はどうですか?
いしだ:今でも月に1~2回くらいやらせてもらってますね。ギャラはピンキリで50万円もあれば、10万円くらいのものも多いので、DJだけでやっていこうとすると難しいです。そもそもコロナ禍では、DJ仕事もないし、石川で進めていた舞台公演の企画も全て飛んじゃって、ほんとに大変でした。今はありがたいことに舞台と映画でスケジュールも埋まっていますね。自分で映画を撮りたくて勉強もしています。
──昨年はトルコでの薄毛治療でも話題になっていました。そもそも、中年になって見た目が変化することに戸惑いはありましたか?
いしだ:いや、特にそういうのはなかったんです。ネットで「いしだ壱成がハゲてる」とか書かれても、自分ではとっくに気づいて変化を受け入れてたので、なんとも思わなかったですね。ただ「トルコで治療してみないか」って誘われたので、やってみたらまぁいい感じだなっていうだけで(笑)。女性からのモテも、実感としては変わらないかもしれないです。
──仕事の面では加齢による変化を感じますか。
いしだ:若い頃と比べると、台本を覚えるのは時間がかかりますね。こないだご一緒した同年代の女優さんも「おかしいよね、全然入ってこないの」って言ってましたから、みんなあるのかもしれない。でも、僕は体力的な不安はほとんどないです。
本当に当たり前のことをやってれば、体も心も安定するんだなって思いますよ。粗食と十分な睡眠、あとちゃんと日の光を浴びる。やっぱり精神的に参っちゃうのって、そういう当たり前がいつの間にかおろそかになってるからで。ほんとは深酒もやめたいんですけど、お酒だけはどうしても飲んじゃいますね(笑)。
映画『三茶のポルターガイスト』
2023年3月24日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、新宿シネマカリテ 他 全国ロードショー!
監督:後藤剛
出演:角 由紀子/横澤丈二/やくみつる/いしだ壱成/海老野心/石川翔鈴 他
制作プロダクション:シャイカー/製作:REMOW/配給:エクストリーム
2022年/日本/カラー/DCP/サイゾー映画制作プロジェクト
©️2023 REMOW
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