宮下かな子、初の作品集が発売!アートと映画を愛する俳優インタビュー
#宮下かな子
2023年3月末日で芸能界を引退することを発表した、本誌連載陣でもある女優の宮下かな子。そんな彼女が、作品集「MUSEUM」を発売する。本作は宮下もデザイン・ディレクションに関わり、“宮下かな子とアートが融合”したビジュアルが楽しめる内容だ。
【宮下かな子と観るキネマのスタアたちの記事一覧】
https://www.cyzo.com/category/cat8/miyashita_cinema
やりたいことなどを詰め込んだ作品集
ーー作品集はどのようなコンセプトで作られているのですか。
宮下 私がやりたいことをそのまま、やらせていただいています。刺繍を入れたり、アートとしてやりたいことを詰め込んでいています。スタッフの皆さんからアドバイスも適宜いただいて、手描きで「こういうのをやりたい!」と自分から言うと、「じゃあプロジェクター使ってやってみますか」などと提案していただいたりもしました。ありがたいですし、とても楽しかったです。
ーーアートのインスピレーションはどんなところから受けられているのですか。
宮下 美術館に行ったり、本を読んだりするのが好きなので、そこからですね。そして、好きな人のことを詳しく知りたくなるので、その好きな人の本やインタビューを読むのも好きなんです。例えば、「ヒグチユウコさんみたいな絵を書きたい」と思ったらヒグチさんの本を読んだりしていますし、そのインタビュー記事に「ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』の挿絵が好きで、そこからインスピレーションを受けている」と書かれていて、私も『鏡の国のアリス』がすごく好きだったので、すごく共感したりもしました。
また、清川あさみさんにあこがれていまして、その頃から刺繍をやりたいと思ったんです。小さい時に読んでいた刺繍の本に、今もすごく影響されていて、やっぱりそういうことが好きなんだろうと。今回の作品集の制作過程で自分を掘り下げていく中で思いました。
ーー子どもの頃からの教養を今になって発揮させているという感じですね。
宮下 そうですね。ただ、アートや刺繍について、今もそれほど詳しいわけではないので、これからもいろいろと学んでいきたいです。
ーー写真を撮るだけでなく、モチーフとなるアートと融合する試みになっていて、単なる写真集としてだけではない、付加価値を与えているのが素晴らしいです。
宮下 そう言っていただけるのであれば、本当に嬉しいです。そして、私自身、こうして形にする、やってみるというチャレンジが、やっぱり好きなんだなと再確認できました。もうデザインを考えるだけで一生終えるくらいですね(笑)。しかも、やっているうちにいつの間にか時間が経っていて、全く苦じゃないんですよ。自分にはそういうところがあるんだと、気が付きました。もちろんこれまでやってきたお芝居とアートは本質的には違うとは思いますが、「表現」ではという点では同じですから。
優等生的と言われて悔しかったからこそ成長できた
ーー日刊サイゾーの「宮下かな子と観るキネマのスタアたち」の記事も非常に濃密な思いがつまった連載でした。例えば、『蜜蜂と遠雷』の回では劇中のセリフを、タイトルと文の中心に据えて構成されていて、上手いと思いました。
宮下 2年前くらいから連載をはじめて、その『蜜蜂と遠雷』の記事のあたりから自分の文が変わった印象がありました。最初の頃は「ありがちな文章」っぽくて、実際に担当編集のかたから「優等生的」と言われてしまってムッとしたのですが、その気持ちがあってこそ今のように書けているのだと思います。
ーーNetflix映画の『シニアイヤー』の記事で、まさにタイトルから「優等生で言われると腹が立つ」と描かれていましたね。
『シニアイヤー』”優等生”などと言われると腹が立つ話
私の書く文章は優等生みたいだと、この連載の担当編集者HさんとKマネに言われた。腹が立ったが、文の終わりにかけてイイ感じにまとめようとしているのが自分でもよく分かるので...宮下 それがまさになんですよ。とても悔しかったのですが、もっともなご意見でしたし、それがあってこそ成長することができました。
ーー優等生的と言われて悔しいとおっしゃられていることから、ドラマ『チャンネルはそのまま!』で宮下さんが演じられた、そつなくこなしているように見えるために、逆に軽んじられてしまうアナウンサーの花枝まきというキャラクターを連想しました。
宮下 記事でも書いていますが、今までの私自身に、そういうところが確かにあるんですよね。
ーー記事で書く映画はどのように選んでいたのでしょうか。
宮下 かなり自由にやらせてもらいました。映画は日頃からよく観ているほうではあるので、その中で書こうと思える作品があったら、記事にするという感じです。少し前から、配信が始まったタイミングで紹介できればと思って書いたりもしています。
ーー『喜劇 愛妻物語』はNetflixの配信で映画ランキング1位となっていて、宮下さんの記事も多くの方から読まれていましたね。
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つい最近、どうしようもなく悲しい出来事があって。人生のベストスリーに入るくらいショックなことで随分気落ちしていたのですが「何か食べて元気つけないと」と思って、夜遅くに...宮下 おととしの2021年は映画館にもわりとよく行っていて、『喜劇 愛妻物語』はその中でも特に思い入れのある作品ですね。配信開始のタイミングで紹介できて良かったです。
逆に、『サマーフィルムにのって』など、映画館での公開時には観られなかったけれど、評判が良くて、実際に素晴らしい映画を紹介できたのも嬉しかったですね。話題になっている映画は、食わず嫌いをせずに観てみたいです。
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夏の終わりは突然ですね。朝夕空気が冷え込んできて驚いています。皆さんの夏は如何でしたか? 私は今更ながら、昨年の夏に公開された松本壮史監督の『サマーフィルムにのって...ーー反面、先ほどあげたNetflix映画の『シニアイヤー』の記事は、批判的なことも書かれていますね。
宮下 「わからなかった」から頭に残った、だからこそ書いたところもありますし、書いたからこそ溜飲が下がったところもありますね。自分には合わなかった作品であるからこそ、熱を持って書けたのだと思います。
ーー俳優としてのご自身のことを書いれているのも印象的でした。『蒲田行進曲』や『パワー・オブ・ザ・ドッグ』の記事は、俳優としての目線があってこその内容で素晴らしかったです。記事を書くのは大変でしたか?
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新年、あけましておめでとうございます! 宮下かな子です。 2020年は、世の中が大きく変動した忘れられない年となりましたね。まだまだ予断を許さぬ状況が続いております...『パワー・オブ・ザ・ドッグ』演技が難しい怒り―静かな怒りの描き方
気鋭の俳優・宮下かな子さんによる映画コラム『宮下かな子と観るキネマのスタアたち』。宮下さんが今自分の周りで話題になっている中で興味を持った作品を取り上げていただきます...宮下 大変ですね(笑)。映画を観終わってから「この作品にはこういう構造があって……」などと考えてから、なんとか書き始めるんですが、その書く内容そのものが決まらずなかなか書き進めないでいるばかりなんです。やっと記事を書いてみれば。「早くやればよかったのにな」「何に悩んでいたのかな」と後悔することも多々あります。それでも、最近はスムーズに書けるようになってきて、1日や2日で書いたと思えば、やっぱり直したりもして、最終的にこれでOK!みたいな感じでやっています。サイゾーの記事のことは、毎日考えているんですよ。
ーー記事を書くための具体的なコツはありますか。
宮下 お風呂に入っている時に、こういう流れで書こうとか思いつくことはありますね。あとは、ハンパなものは書きたくないという意志が最初の頃は強すぎて、それは少し勘違いでもあったと思うんです。今は自分の話を交えつつ、映画の内容をちゃんと咀嚼できている、いい内容が書けていると思います!
▼HMV&BOOKS onlineで作品集「MUSEUM」の発売を記念した、対面式イベントを開催!
好評につき、当日券の販売が決定! イベント当日10:00より、5Fレジカウンターにて販売。
※第4部 14:30開催回の参加券販売になります。他開催回にはご参加いただけません。
※規定数に達し次第販売終了となります。
「宮下かな子 作品集『MUSEUM』」
発売:2023年3月
仕様:A5縦/卓上カードタイプ/全14枚(両面印刷)/台座付き
発行元:株式会社アミューズ
価格:3,300 円(税込)
イラスト作品集HP https://mystknk.wixsite.com/miyakanakoillust
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