R-1ファイナリストがいまいちブレイクできない理由とは?元芸人が全ネタレビュー
#R-1 #檜山豊
3人目は「ラパルフェ都留」さん
3人目は「ラパルフェ都留」さん。その名前の通り普段は『ラパルフェ』というコンビで活動している都留さん。阿部寛さんやトイストーリーのウッディを代表とする数々のモノマネレパートリーを持つ都留さんは、モノマネ界でも注目を浴びる超新星だ。モノマネに求められるのは「似ている」という部分。そしてR-1に求められるのは「面白さ」。これを上手く掛け合わせることが出来るのか。モノマネとコントの融合に期待していこう。
ネタはとてもシンプルで阿部寛さんがとにかくでかく、怪獣と戦うというコント。これだけふざけているネタは設定だけでも十分笑える。しかし設定が面白いとその後のボケ次第では出オチ感が出てしまい尻すぼみという印象になってしまう。ネタの後半にどれだけ勢いのあるボケを持ってこられるか、視聴者の予想をいかに裏切れるかが鍵となる。しかし残念ながら今回のネタは心配した通り尻すぼみ感が出てしまった。
なぜそうなってしまったのか僕なりに考察してみたが、ボケのクオリティが平均的ではなく、面白いボケとそうでないボケが極端で、笑いに高低差が出てしまったのが尻すぼみの原因だ。笑いづらいボケの部分でお客さんのテンションが下がってしまうことにより、テンション感のアベレージが全体的に低くなり、面白いボケを繰り出したところでテンションが上がり切らないという状況になってしまうのだ。
ネタは時間が進むにつれて笑いのテンションを上げていくのが好ましく、テンションが上下してしまうのはよろしくない。さらに最高潮に面白いボケを羅列してもお客さんは疲れてしまうので、最初の掴みである程度面白いボケ、そして一度落ち着かせて徐々にボケの面白さも上げていくという形が望ましい。ネタのクオリティも大事だがお客さんのテンションをコントロールする力もかなり大切なのだ。
ちなみに2人目の寺田さんの審査とこの都留さんの審査で、バカリズムさんとハリウッドザコシショウさんの評価が真逆なのが印象的だった。
4人目は「サツマカワRPG」さん。R-1グランプリ2年連続決勝進出。ユニットを組んでいる「Yes!アキト」さんと同じくサツマカワさんもギャガーのイメージがあるが、実はギャガーではなくシュールなショートコントを得意とするタイプ。そんなサツマカワさんだが昨年はショートコントを封印し同じフレーズを繰り返すことにより笑いを起こすという高度なテクニックを披露しインパクトを残した。今年は芸歴10年目ということでラストイヤーとなる。果たして今回はどんなネタを見せてくれるのか。原点のショートコントに戻るのだろうか。楽しみである。
今年のネタはサツマカワさんの原点回帰、「ショートコント」を披露する方法を選んだ。しかしショートコントの羅列にならないように、ショートコントに登場したキャラクターが入れ代わり立ち代わり、次のショートコントへと移行し、ショートコントに繋がりを持たせ、そして最後は最初に披露したショートコントに戻るというとても綺麗な展開をみせた。
ショートコント自体のクオリティには何の問題も無かったのだが、オムニバス形式のネタはどうしても笑い自体が繋がらず、話が途切れるたびにリセットされてしまい、イマイチ盛り上がりに欠けてしまうものだ。今回のサツマカワさんのネタはまさにそれで、ショートコント自体を繋げてはいるのだが、ネタ自体は繋がっておらず、ショートコントが始まるその都度、笑いが0からスタートしてしまうので、盛り上がりの最高潮までは行くことが出来なかった。
さらに繋がり自体が直接笑いに関係してこないので、ただ繋げただけに見えてしまい、繋げている意味や重要性が感じられなかった。繋ぎの部分でも笑いが起こせたなら、もしかしたらテンションがリセットされず継続して笑えたかもしれないが、たぶん無理だ。それほどオムニバス形式は笑いを維持するのが難しい。
そして本来なら物珍しいショートコントを繋げるという手法なのだが、トップバッターで「Yes!アキト」さんが披露したギャグをコントで繋げて披露するという手法といささか似ており、新鮮味が薄れてしまったように思える。普段ユニットを組んで一緒に活動している「Yes!アキト」さんのネタがサツマカワさんのネタに悪影響を及ぼすなど皮肉な話である。
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