テレ朝はドラマを「1年5クール」に増強、ドラマとバラエティの光と影
#テレビ #ドラマ
テレビ朝日系の人気ドラマ『科捜研の女』の新シリーズが今年8月から放送されると、3月9日の「週刊女性PRIME」が報じた。昨年10月に木曜夜8時の放送枠から、火曜夜9時に移動して放送された第22シリーズは視聴率が低迷。シリーズ終了の噂もあった中で、新シリーズ放送の情報が浮上した形だ。
また記事では、テレビ朝日の火曜9時のドラマ枠については、通常1年間で4クールとなるところ、1年間で5クールの計5本のドラマを放送する予定だと報じている。
「昨今の地上波では、放送するドラマを増やす傾向にあります。フジテレビでも、4月から火曜夜11時からの30分枠をドラマ枠にリニューアル。深夜帯でも、各局がさまざまなドラマを放送しています。今回のテレビ朝日の“1年間5クール”のリニューアルも、できるだけ放送するドラマのタイトルを増やしたいという狙いがあったからこその施策でしょう」(テレビ局関係者)
各局がドラマ枠を増やす背景には、ネット配信の隆盛も関係している。
「TVerや各局の配信サービスにおいて、再生数を稼ぎやすいのがドラマです。放送終了後に話題になる作品もあり、そういった作品を目当てに有料配信サービスに加入するユーザーも少なくない。また、ドラマが当たれば映画化などの形でビジネスを広げることもできる。テレビ局にとって、収益をあげるためにはドラマがオイシイわけです」(同)
さらに、ドラマはバラエティ番組よりも、意外と“安上がり”になることもあるようだ。
「深夜帯の30分くらいのライトな内容のドラマだと、低コストで撮影されることがほとんど。キャストも若手を中心にして、出演ギャラを抑えることもできます。バラエティよりも効率がいいという見方もあります」(同)
ドラマ枠が増える一方で、地上波での存在感が徐々に薄れているのがバラエティだ。地上波で活躍していた人気ディレクターたちが、こぞってネット配信番組を手掛けるようになっている現実もある。
DMM TVでは、元テレビ東京の佐久間宣行プロデューサーによる『インシデンツ』、TBSの藤井健太郎ディレクターによる『大脱出』が配信。Netflixでは、『有吉の壁』などを手掛けた元日本テレビの橋本和明ディレクターによる『名アシスト有吉』が配信中だ。また、フジテレビ系『全力!脱力タイムズ』の総合演出である名城ラリータ氏がプロデューサーを務める『有田哲平の引退TV』はABEMAで配信されている。
「ネット配信番組のほうが地上波よりも表現の幅が広く、だからこそバラエティ番組はネットへの進出が盛んになっている。バラエティの場合、ヘタに攻めた内容を地上波でやると、炎上騒ぎしやすい傾向もあり、それなら最初からネット配信でやったほうがいいという判断になりやすいんです。
一方、ドラマであれば、地上波での放送時にSNSでの“実況”が盛り上がりやすく、リアルタイムの放送に向いているともいえる。地上波でのドラマ放送をある種の“宣伝”として活用し、そこからネット配信での再生数を稼いでいくというパターンもありますね」(同)
ドラマもバラエティもネット配信を重視している点では変わらないが、地上波放送により向いているのはドラマということなのだ。視聴スタイルが多様化する中で、地上波におけるドラマ重視の流れは、今後も加速していくかもしれない。
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