『タモリ倶楽部』ドクターイエローでタモリ大ハッスル、JR東海の思惑
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番組終了が発表され、残すところ数回の放送となった『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)で、タモリが大喜びする企画が放送された。2月24日と3月3日の2回にわたって出演者たちが潜入したのは、日本が世界に誇る新幹線を陰から支える「ドクターイエロー」。新幹線が安全に走行できるように検査する黄色の新幹線は、「見られたら幸せになる」とも言われているレア車両だ。
「当日はタモリのほか、市川紗椰、土屋礼央、伊藤壮吾、南田裕介が東京駅に集まり、まずは新幹線を貸し切って大井の車両基地まで移動。そしてドクターイエローと対面し、先頭カメラを使ってジェスチャーゲームをしたり、さまざまなアングルから撮影してカレンダーを作ったり、パンタグラフをチェックする観測室に入ったりとさんざん楽しんだ末、タモリと市川は運転席まで入る大サービスでした。
新幹線特集はここ数年、バラエティ番組で鉄板企画となっており、NHKや民放でもドクターイエローの潜入企画は何度かありましたが、いずれもゴールデンタイムの番組ばかり。深夜枠での登場は極めて異例で、『タモリ電車クラブ』(※番組内で発足。会員は鉄道好き芸能人たち)の有終の美を飾る企画としてピッタリでした」(テレビ情報誌記者)
タモリ倶楽部は1982年にスタートし、放送期間は実に41年。当日の放送はJR東海の全面協力だったが、同社の“変節”に関係者は驚きを隠さない。
「ドクターイエローは、JR東海の収益の大半を稼ぐ新幹線を支える最高機密。運行スケジュールは公にされず、停車中も窓の日除けは降ろされたままで、詳細はベールに包まれていますが、近年、ドクターイエローの存在が世間に広く知られるようになり、情報が小出しされるようになってきました。その背景に、同社が社運をかけるリニア工事の停滞があるのは間違いありません。
JR東海はもともとメディアに対して無愛想で、キツイ言い方をすれば高飛車。国鉄は1987年に分割民営化して6つの会社になりましたが、超ドル箱の東海道新幹線を持つJR東海は、“我々がJRの中心である”という意識が強く、プライドの高さは相当なものです。なんせ社名は『東海』なのに、英語では『Central Japan Railway』を名乗るほどですから。リニアの建設費はどんどん膨らみ、総額10兆円に達するとの予測もありますが、JR東海は自前で作ることに拘っています。
ところが、静岡県の川勝知事が県内の工事にストップを掛け、2027年の開業は絶望的な状況になりました。このまま超ビッグプロジェクトの進捗が遅れれば、会社が傾きかねません。そこで、“早くリニアを”という機運を盛り上げるべく、メディアへの愛想が良くなっているのが現状です」(ビジネス誌記者)
リニアの建設に反対しているのは、ほぼ静岡県だけ。周りからプレッシャーをかけて工事を進めようという腹づもりのようだが、メディア側もこれを断る理由はない。
「マスコミ各社が一番大事なのは視聴者や読者ですが、同じぐらい大事なのがスポンサー。JR東海の広告宣伝費は莫大で、各社に大量出稿しており、テレビも雑誌もJR東海に足を向けて寝られないような状況です。テレビならCM、雑誌なら広告を入れて、なんとか報道に手心を加えてもらえるようにマスコミ懐柔策を行っているのです。ここ数年はテレビでも頻繁に『JR東海全面協力』という番組を見かけるようになりました。
ただ、静岡県との関係がここまでこじれてしまったのは、JR東海がずっと静岡を軽視し、工事に対して県民が抱える不安について、誠実に対応してこなかったツケが一気に噴出したという見方もあります。世論工作をするのも結構ですが、反対している静岡県の知事や県民に対して、丁寧に不安を取り除く作業を行うのが本筋でしょう」(同上)
タモリが「早くリニアに乗りたいね」とでも言ってくれれば影響力は絶大だろうが、静岡県的には「できなくていいとも!」かもしれない。
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