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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 「霊が出る」三茶のビルが観光スポット化?
映画『三茶のポルターガイスト』監督×オーナー対談

心霊撮れ高100%? “新時代ホラードキュメンタリー”『三茶のポルターガイスト』

心霊撮れ高100%? “新時代ホラードキュメンタリー”『三茶のポルターガイスト』の画像1
写真/二瓶彩

 心霊ドキュメンタリー作品は数あれど、これほどガチンコの映像があっただろうか――。

 “心霊撮れ高100%”と噂の古ビルが、東京都三軒茶屋にあるという。そんないわくありまくりのスポットに、オカルト映画を制作するサイゾーのホラー映画プロジェクトが目をつけた。そして触れ込みどおり、不思議な現象が次々とカメラに映し出されるのだが……。

 映画『三茶のポルターガイスト』はただ“心霊現象を撮る”だけではなく、その現象を検証して“その真偽を確かめる”ことにも重きを置いた、“新時代ホラードキュメンタリー”として3月24日に公開する。その真偽は読者がおのおの劇場で確認してもらうとして、今回は、本作の監督を務めた後藤剛氏と、舞台となった俳優育成スタジオのオーナー、横澤丈二氏を招いて心霊現象をテーマとした対談が実現。意外な撮影の裏話も語られた。

 

心霊撮れ高100%? “新時代ホラードキュメンタリー”『三茶のポルターガイスト』の画像2
写真/二瓶彩

――企画発足の経緯は?

後藤 エクストリーム(サイゾーが運営するホラー映画配給会社)の新作企画を考えるときに三茶にヤバイ物件があるから、それをテーマに映画を作れないかという話がきたんです。で、せっかく幽霊が出るんだったらドキュメンタリーでやったほうが面白いんじゃないかと。

 そこで、(オカルトメディア「TOCANA」元編集長で現在フリーランスの)角(由紀子)さんをキャップにして、『川口浩探検隊』のような心霊ドキュメンタリー作品にすることに決定したんです。

――すでに有名な心霊スポットだったんですね。

横澤 私がラジオ関西で共演した木原(浩勝。『新耳袋』シリーズの著者)さんにうちで撮れた心霊映像を見せたら、「これはただ事じゃないからメディアに出したほうがいい」とすすめられて、ふたりでニコ生を放送したんです。そこで子供の手が出てしまい……。

後藤 “100%幽霊が出る”という触れ込みで、当時私が調査員(Gメン)として撮影していた『怪談新耳袋Gメン ラスト・ツアー』(2021年8月公開)というドキュメンタリー映画で取り上げることになりました。

横澤 そんな触れ込みで撮影スタッフがうちに来られてたので、「これは参ったな。出なかったらどうしよう」と思いました(笑)。スタジオを借りて約30年。それまで日常的に出てはいたんですが、本格的に外部の人が撮影に来るのが実は初めてで。でもちゃんと出てくれて安心しました。本番に強いんです、うちの幽霊は(笑)。

後藤 実際に行ってみると「こんなとこで出るの?」という感じだったんですけどね。

横澤 演劇やってるから壁中に暗幕を張ってはいるけど、そういう雰囲気はないですよね。ところが、時間が深くなって照明を落とすと、一気に足元が冷たくなってきて、お香のにおいが漂ったり。

後藤 そうなんです。急にし始めるんです。それがさまざまな怪奇現象が起こる引き金になるんです。鏡から水が吹き出たりいろんなものが揺れたり……。最終的には隙間から手が出てきました。

――その様子は本作でも捉えられていました。そんなシチュエーションでコックリさんをやるという暴挙……。

横澤 降霊術はご法度ですよね。最初にコックリさんをやったのはうちに劇団員でした。スタジオを借り始めたころから「声」や「足音」といった心霊現象が出ていたんですが、その劇団員は好奇心が勝ってしまったのか、降霊術をしてしまい……。

 本当に出てしまったものだから怖くなって電気をつけたら、『呪怨』に出てくる俊雄くんのような白い裸体の少年がのたうちまわって鏡にバン!と入っていった。それから本体が出るようになっちゃったんです。

後藤 今回も角さんがいろいろと試しましたが、一番心霊とコンタクトできたのがコックリさんだったので、本編でも多めに使ってます。会話が成り立ったのがなかなか衝撃でした。

 

心霊撮れ高100%? “新時代ホラードキュメンタリー”『三茶のポルターガイスト』の画像3
写真/二瓶彩

――角さんはどんな人?

後藤 すごい変わった人ですね(笑)。

横澤 いい意味でスーパーレディ。ここ30年であそこまで壁から物音がしたことはなかったんですが、それでも彼女は壁のほうをジッと見てる。何回も経験してる私ですら身の危険を感じて見られなかったのに。好奇心の塊だし、ジャーナリズム精神に溢れている。

――でも、怖がって監督のほうに身を寄せるシーンがありましたよね。

後藤 あの角さんが。あれは貴重なシーンかもしれませんね(笑)。

――まさか女を出すとは(笑)。ところで、そもそもそのビルにはどのようないわくがあるんですか?

横澤 強いて言うならもともと井戸があった場所に建てたということでしょうか。あのあたりは戦後間もないころは闇市で井戸がふたつあったそうです。ただ、ふたつあると商売敵ができるという迷信があって、ひとつ塞いで、そこに中国人オーナーがビルを建てたらしい。それが水の現象が起きるいわれのような気がします。

 それと目の前のキャロットタワーが建っている場所はもともと墓地だったようです。

――監督はすでに『怪談新耳袋Gメン ラスト・ツアー』でここを撮影をしていたということで、本作を制作をするにあたりどのように差別化を?

後藤 『新耳袋』では「幽霊を撮る」のが目的だった。今回は出ることはわかっていたので、その現象を科学的に解明することをテーマにしていました。そうすれば、世の中の心霊ドキュメンタリー作品に新たなムーブメントを起こせるはず。どれだけ実証できるかわからないけど、そこを着地点にできるようにがんばる、というのが本作のコンセプトでした。

――そこでマジシャンや内装業など各界のプロフェッショナルが出演していたんですね。

後藤 本当は大学教授なども呼びたかったんですが、なかなかこういう非科学的なものに協力してもらえず……。

 ちなみに、検証のシーンでひとつ裏話があって、元埼玉県警でプロカメラマンの方が検証していたときに、コックリさんをやったらそのカメラマンさんがコインランドリーに行ってたことをズバリ当てられました。その方も「なんで俺の行動を知ってるんだ」と非常に怖がってましたよ。

――それは不思議……。

後藤 前後がつながらなかったので、なくなくカットしましたが、本当に使いたかった出来事でした。

横澤 いずれにせよ、映像として記録に残せたのは良かったです。もうその稽古場が入っているビルは築57年。老朽化も進んでいて早ければ3年で取り壊す可能性もあって、しっかりと密着した作品は最後になるかもしれませんから。劇団としてのイメージはダウンしてしまいますけどね(苦笑)。

後藤 今まで世の中に出たことがない心霊現象がしっかり捉えられたんじゃないかと思います。心霊業界の常識が変わるほどの。作り物ばかりつくってる叶井俊太郎(本作のプロデューサー)のせいでなかなか信じてもらえないと思うんですけど(笑)、これはホントにガチのガチです。

――でもちゃんと捉えてしまったせいで、場所を特定されたら見物客がこぞって来ちゃうかもしれませんよ。

横澤 すでに心霊ファンの間でかなりの噂になってるようで、現時点でかなり多くの人が面白半分で写真を撮りに来てます(笑)。

 でもビルの現オーナーが中国人で向こうに住んでいるので、こういう撮影をして場所を特定されても文句を言われないんです。だから、もし本編を見てビルの場所がわかったら全然来ていただいて構いません(笑)。

 

心霊撮れ高100%? “新時代ホラードキュメンタリー”『三茶のポルターガイスト』の画像4
後藤 剛(ごとう・つよし)
1973年宮城県仙台市生まれ。1997年、制作会社シャイカーを設立。テレビ、映画、ミュージックビデオなど、多くの作品制作に携わり、フロアDからプロデューサーまで様々な役職をこなす。今回初監督となる。最新作は、『怪談新耳袋Gメン』シリーズ(制作/出演)、『Sexual Drive』(プロデューサー)、23年3月公開『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』(プロデューサー)など。

 

心霊撮れ高100%? “新時代ホラードキュメンタリー”『三茶のポルターガイスト』の画像4
横澤丈二(よこざわ・じょうじ)
1964年生まれ、東京都出身。株式会社ヨコザワ・プロダクション代表取締役。
日本大学芸術学部、無名塾を経て、90年株式会社ヨコザワ・プロダクションを設立。同時に新人開発部ヨコザワ・アクターズ・スタジオを開設し、俳優・声優の養成、マネージメントを行うと共に、舞台演出・脚本・脚色等も手掛けている。1996年には、オカルト映画「エクソシスト」の原作者ウィリアム・ピーター・ブラッティ氏と会談。舞台上演権を世界で初めて取得。

 


映画『三茶のポルターガイスト
2023年3月24日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、新宿シネマカリテ 他 全国ロードショー!

監督:後藤剛
出演:角 由紀子/横澤丈二/やくみつる/いしだ壱成/海老野心/石川翔鈴 他
制作プロダクション:シャイカー/製作:REMOW/配給:エクストリーム
2022年/日本/カラー/DCP/サイゾー映画制作プロジェクト
©️2023 REMOW
poltergeist.jp

最終更新:2023/03/17 20:00
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