『アルマゲドン』NASAがテストに使うほど間違いだらけ!ツッコミどころ解説
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二匹目のドジョウ映画、ディズニーのPRがバッチリハマって大ヒット
当時、『アルマゲドン』に先行する形で酷似した内容の映画『ディープ・インパクト』が公開された。
これはスピルバーグが制作総指揮した映画で、地球に彗星が衝突し、人類滅亡の危機を回避するため彗星に核爆弾を埋め込み破壊する、というプロットも同じだ。映画は『アルマゲドン』の二カ月先に公開された。
ハリウッドではよくある話だが、大手の会社が超大作をつくるとなれば噂は一瞬で業界を駆け巡る。スピルバーグの作品となれば猶更だ。噂を聞いた他社は、類似作品の企画をすぐ立てる。相手に先んじるか、二匹目のなんとやらを狙うために。あの『ジュラシック・パーク』が公開されたときもパチモンの恐竜映画がレンタルビデオ店の棚を埋め尽くしていた。パクられたほうも気にしない。どうせなら似たような作品が出てくれると、相乗効果で市場が盛り上がるからだ。
先行した『ディープ・インパクト』のヒットを受け、市場では次の作品を求める土壌ができていたこともあって、日本で興行収入81億円だった『ディープ・インパクト』に『アルマゲドン』は135億円と大差をつけて圧勝。
この差の原因はプロモーションにある。『アルマゲドン』はディズニー傘下のブエナ・ビスタ作品。ディズニー日本支社のマーケティング部では、『アルマゲドン』の宣伝方法について頭を悩ませていた。先行する類似作と同じように宣伝しても、広がらないかもしれない。
宣伝部は『アルマゲドン』の試写を見たスポーツ新聞の記者が「パニックだけでなく、泣けるだけでもない、どちらもある映画」と評している記事を目にし、そこから「泣ける要素」をピックアップすることに。
『ディープ・インパクト』は『アルマゲドン』にない要素として政府が彗星破壊作戦と並行して、各国が「ノアの箱舟」を建造し、くじ引きで選ばれた人間を乗せて新時代を生きる人間たちをわずかながら残すことにする。映画では箱舟に乗る権利が登場人物が譲り合う、ヒューマニズム溢れる物語になっていた。
一方、『アルマゲドン』の政府が取る手段は、ウィリスたちをだまして吹き飛ばそうとしたり、ヒューマニズムの欠片もない。その代わりに強調されたのはウィリスと娘、タイラーの親子愛とタイラー、アフレックのカップルの愛という人類の滅亡に比べれば小さい愛の物語だ。
だが壮大な人類愛を打ち出した『ディープ・インパクト』よりもミニマムな親子、恋人の愛を強調して宣伝された『アルマゲドン』の ほうが日本人の観客の心に響いたのだ。
CM、予告編ではエアロスミスの主題歌「I DON’T WANT TO MISS A THING」が流れまくり、観客の涙をひたすら誘った。アメリカではこの主題歌、全然強調されてないのに。
『アルマゲドン』は映画におけるプロモーションの重要性を再認識させた。14週連続トップになるほどの大人気の理由は、宣伝のおかげが9割!
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