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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 「友情結婚」を必要とする社会

『ねほりんぱほりん』「友情結婚」を必要とする社会に感じる世知辛さ

「友情結婚」は、かつての「お見合い結婚」に近い?

 現行の制度に則ると、ハルさんは本当に好きな人と結婚することができない。現状について彼はどう思っているのだろう?

「本当だったら自分のセクシャリティーをオープンにでき、本当に好きな人と結婚できたらいいなって思うんですけど、ただ、今の現状だったら、たとえ制度として同性婚が認められたとしても、周りからはまだ好奇の目で見られることが多いと思うんですね。だから、今の社会の現状で僕が友情結婚を選択したのは、自分にとってはベストの選択だったのかなと思います」(ハルさん)

 制度だけができても、周りの認識が追いついていなかったら結局は同じということ。あと、独身が大手を振って歩いていける世の中になれば、しなくてもいい結婚をする必要もなくなると思う。つまり、男女が結ばれる結婚じゃないと保証されないものが、現代もまだ確実にあるということだ。こうなると、なんのための結婚かがわからなくなってくる。

「もし自分に子どもができたとき、そして、もしその子どもがセクシャルマイノリティであったとき。その子が好きな人と結婚しやすいような社会になってたらいいなと思います」(ハルさん)

自分が望んでも手に入れられなかったものも、次世代の頃には叶えられたらいい……と、願うハルさん。果たして、それは数十年のうちに変わるものなのだろうか? ハルさん世代が確かめられるうちに変わるのか? どうにも心許ないのが悲しい。

 

「今日は友情結婚ってことで来てもらったんだけど、友情結婚だから難しいのか、結婚が難しいのかは、聞けば聞くほどわかんなくなってきた」(YOU)

 いや、根っこに恋愛がある結婚より、やはり友情結婚のほうが難しい気がする。恋愛感情というガソリンがなく、結婚生活で起こる問題を理性で乗り越えなければならない。そのためには、ガチガチの政略結婚にする必要があると感じた。

 あと、「友情結婚」のシステム自体はまったく新しいものではないのもわかった。かつて、主流だったお見合い結婚に近い印象だ。夫と妻の両者が我慢を強いられるこの結婚の形は、革新的でもなんでもない。

 いろいろなしがらみから脱するための友情結婚なのに、また別のしがらみが生まれてしまうのもしんどい。ならば、1人で死んでいくしかない? という結論がよぎるのもしんどかった。今回は、「結婚とはなんぞや」という回だったと思う。

 最後に、YOUがハルさんに言葉をかけた。

「これはちょっと、あなたは“定期検診”ですね」(YOU)

 番組への継続出演をYOUから望まれたハルさん。でも、数年後に出演するとき、彼はもう奥さんと別れている気がする。恋愛感情でなくとも精神的に相手を求めていなければ、その夫婦関係にはいつか無理がくる。どんな形の結婚であれ、夫婦である以上は信頼関係が大事だ。

 結局のところ、今回は友情結婚ではなく契約結婚の話だった。夫婦間に愛も友情もないし、そこにあったのは「打算」の2文字だった。だから、ハルさんは夫婦揃って出演できなかった。彼は、奥さんの目の前で言えないことが多すぎる。逆に、ハルさんの奥さん単独の話も聞いてみたいと思った。

 友情結婚にはいろいろなケースがあるらしい。ほかの夫婦の話も掘り下げてほしいと期待している。友だち同士の関係性から結婚に至ったご夫婦、きちんと割り切って関係性が成立しているご夫婦、アセクシャル同士のご夫婦……などである。

 

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2023/03/10 09:00
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