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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > 「友情結婚」を必要とする社会

『ねほりんぱほりん』「友情結婚」を必要とする社会に感じる世知辛さ

妻が作った「具なし焼きそば」

 結婚してよかったと思えることが、ハルさんにはいくつかある。

「休日に気軽に2人で遊びに行けるのは楽しいって思えるし、1人や男同士だと行きにくいパンケーキのお店も、奥さんとだったら行きやすいので」(ハルさん)

 お見合い結婚は一緒になってから“愛情”を育む形だが、ハルさんご夫婦の場合は結婚してからまさに“友情”を育んでいるように見える。

 逆に、結婚生活を始めてから感じる不満もあった。

「お互いが恋愛感情がないので、物事をシビアに考えちゃう部分が多くて。例えば、僕のほうが収入が多いので家賃や生活費を多く出してるんですね。だからその分、『家事については奥さんのほうが多めにやりましょう』って最初は決めてたんです。ただ、僕のほうが先に帰ることもあって、そういうときは『料理してあげようかな』と思ってするんですが、『平等じゃなくない?』と考えちゃうので、たまにモヤモヤを感じることはあります(苦笑)」(ハルさん)

 家事の分担や生活費の負担に関してのイザコザは、普通の結婚や同棲でもよくある話だ。損得感情が強いハルさんのようなタイプは、他人と暮らすのが向いていないとも言えるが……。

 まだ、ある。

「ここ(冊子)に書く条件って『選んでもらいたい』という気持ちがあるから、盛って書いちゃうところがあるんですね。奥さんは、冊子の中に『一般的な料理なら作れます』みたいな感じで書いていたんです。ただ、実際に生活を始めて3日目ぐらいのときに、麺に粉末スープをかけただけの焼きそばが出てきたので、『あれ。これ、料理できねえんじゃねえか……?』って」

「お互い、好きな気持ちがあれば3日目でそれ(具なし焼きそば)って出てこないと思うんですよ。自分でも矛盾だなと思ってはいるんですけど、僕の中で好きな人だったら『料理を自分から作ってあげたい』『食べてほしいな』って思えるんですよ。『恋愛感情を持ってほしい』と思ってはいないんですけど、『好きな人にこれ(具なし焼きそば)は出さないよな』って思うと、ちょっとモヤモヤはしちゃうんですよね。恋愛感情は持ってほしくはないですけど、もうちょっと大事にはしてほしいみたいな」(ハルさん)

 本当に奥さんがプロフィールを盛っていたかは、不明だ。具体的に言うと「一般的な料理なら作れます(でも、友情結婚の相手に本気は出さない)」かもしれないし、ハルさんにそこまで義理を感じていないだけかもしれない。「恋愛感情は持ってほしくはないけれど、もっと大事にしてほしい」というハルさんの言い分も、ちょっとわがままに聞こえる。

 ただ、ハルさんのモヤモヤもわかる。事前に家事の分担は決めておいたし、プロフィールには「一般的な料理は作れます」と書いてあった。なのに、3日目にまさかの具なし焼きそばが出てきたら、そこはやっぱりモヤっとする。家族や友人ならここで話し合いが行われ、すり合わせしながら解決していくはずだ。「自分たちは割り切った関係だから黙って食べろ」「嫌なら自分で作れ」で済ませたならば、それは友情結婚ではなく契約結婚である。

 つまり、このご夫婦には恋愛感情や友情どころか、情があるかさえ疑問なのだ。世間体を気にし、婚姻届という紙切れを目的とした者同士が行った、自己満足の結婚に思える。情が欠落しているから「不平等だ!」というモヤモヤが湧くし、相手のために何かするのが苦痛だから遠慮なく具なし焼きそばを出せてしまう。

 もし、どちらかの体調が崩れたら、このご夫婦はパートナーの面倒が見られるのか? 友人としての関係ありきの結婚なら、そこは友情で乗り越えられるかもしれない。だから、ハルさんご夫婦の場合は「友情結婚」以外の名称が必要だ。

 難しい問題である。大地真央的に言うと、「そこに愛はあるんか?」的な。2人ともお互い尊重し合えていなさそうだし、いつか別れてしまいそうな予感がプンプンする。ましてや、10年20年連れ添うなんてとても……。

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