『R-1グランプリ』は夢があるを証明したか? 賞レースで優勝する、その後
#テレビ日記 #R-1
テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(2月26~3月4日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。
霜降り明星・せいや「見てますか、ウエストランドさーん!」
M-1にあってR-1にないもの、それは夢。2022年の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)は、そんな断言というか暴言のようなものも含まれたネタを披露したウエストランドの優勝で幕を閉じた。そこから約3カ月。『R-1グランプリ』(フジテレビ系)の決勝が6日に開幕した。
番組は、前回チャンピオンのお見送り芸人しんいちや、2021年に優勝したゆりやんレトリィバァなどがR-1を振り返るオープニング映像から始まった。そこで焦点があたっていたのも“夢”である。しんいちは、R-1後の仕事量の増加をふまえて「R-1にも夢ありますよ」と語った。ゆりやんは「ホントに夢の舞台で、ホントにほしい称号」とR-1を評した。
考えてみれば、ウエストランドはM-1の漫才でいろんなものに言及していた。が、今から振り返るとR-1のくだりが一番印象に残っている気がする。それはおそらく、そのくだり自体のインパクトに加え、M-1後のバラエティ番組でピン芸人とウエストランド(特に井口浩之)がやり合うシーンを何度か見たからだろう。
さまざまな番組で繰り返し取り上げられるネタのくだり。それはいつしか「R-1には夢がない」といったフレーズとして定着していく。今回のR-1決勝のオープニングも、そんな流れのなかにある。
R-1には夢があるのか? そんな問いは、26日に関西ローカルで放送されていた『桃色つるべ』(関西テレビ)でも投げかけられていた。ゲストはR-1チャンピオンのあべこうじと佐久間一行、ファイナリストの常連だったおいでやす小田だ。彼らとMCの笑福亭鶴瓶やももいろクローバーZのトークが繰り広げられるなか、やはり問われたのは「R-1に夢は?」である。
問われたあべは「まぁ……ないなと思いましたね」と一旦ボケつつ、「実際はありますよ」と返した。
「細かいこと言わせていただくと、ないのほうが重めになるかもしんないけど、大まかに言うと夢はありますよそれは」
その上で、R-1と夢の関係を語る。
「(優勝したあと)そっからどうやって自分が夢を形にしていくかっていうだけなんで。どのように歩めるかという切符もらえたとか、免許もらえたぐらいの感覚だと思いますよ」
R-1に夢があるというよりも、自分の夢を形にするきっかけがR-1である。そう言い換えることができるだろうか。たしかに、R-1にしろM-1にしろ他の賞レースにしろ、チャンピオンのその後はさまざまだ。テレビで活躍したいという夢のもと、バラエティの真ん中を歩いている芸人もいる。舞台でトリを任される芸人になりたいと語り、劇場で活躍している芸人もいる。チャンピオンになったけどその後はイマイチ、みたいなポジションをネタにしている芸人はどの賞レースにもいる。
あべの言葉をふまえれば、チャンピオンの称号は自分の夢を形にする際の「切符」や「免許」である。そういう意味でR-1には夢がある。そういえば、当のウエストランド・井口も語っていた。
「僕、マジでM-1優勝して泣いてる人、あんまり意味わかんないんですよ。それが人生のゴールじゃないじゃないですか」(『人志松本の酒のツマミになる話』フジテレビ系、2023年2月10日)
では、今年のR-1チャンピオンは誰になるのか。夢への「切符」を手に入れるのはどの芸人なのか。オープニング映像が終わると、司会のせいや(霜降り明星)が叫んだ。
「見てますか、ウエストランドさーん!」
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