「ジャニーズ事務所はもっと冒険を」衝撃のキンプリ脱退劇を志茂田景樹が斬る
#ジャニーズ #King & Prince
直木賞作家の志茂田景樹さんがブログやSNSでジャニーズ系グループへの愛情に満ちた文章をつづり、ネット上で話題を呼んでいる。かつてド派手なヘアカラーとファッション、独特のキャラクターでテレビでも大活躍していた志茂田さんは現在83歳となり、病魔やけがに襲われて「要介護4」の車いすユーザーとなったが、そうした生活の中でジャニーズの魅力に目覚め、10~20代の女性たちにも負けないほどの熱烈なジャニーズファンとなっていた。
リモートでご本人を直撃したインタビューの前編では、ジャニーズにハマったきっかけをはじめ、志茂田さんの「推し」であるTravis JapanとジャニーズWESTへの思いやメンバーに対する評価、ジャニーズファンになったことによる自身の変化などについて語ってもらった。
今回のインタビュー後編では、ジャニーズ事務所から退所者が相次いでいる状況や令和のアイドル像、注目のジャニーズタレント、ジャニーズの今後などについて話を聞いた。
――King & Princeの平野紫耀、岸優太、神宮寺勇太の3人が5月22日にグループを脱退し、それぞれジャニーズ事務所を退所すると発表していますが、志茂田さんは、この脱退劇に元SMAPメンバーの影響があったのではと推察されていますね。
志茂田景樹(以下、志茂田) SMAPが解散して、香取慎吾、草なぎ剛、稲垣吾郎の3人が「新しい地図」として、荒野に道を切り開いていったと思うんですね。彼らはジャニーズ退所後に苦労しながらいろんな壁を乗り越えて、本当に覚悟とやる気があればできるんだぞ、という姿を見せてきたじゃないですか。たぶん、キンプリの3人は「新しい地図」が開いた道筋に憧れたんだと思うんですよね。
ある意味でいえば、すでにある程度は道が開けているので、キンプリから脱退する3人は元SMAPの3人が味わったつらさや厳しさと比べると、退所後の活動が比較的スムーズにできるんじゃないでしょうか。ただ、SMAPは国民的グループになって5人それぞれが完成していましたから、ジャニーズを辞めたとしてもソロで十分にやっていける雰囲気があった。キンプリの脱退メンバーたちはそこまで到達できるのかが課題になると思いますが、みんな歌とダンスだけではなく、ドラマ、舞台、映画などの幅広い活動が予見できますから、「新しい地図」が切り開いた道を、さらに広げて伸ばしていく役割を期待したいですね。
――「新しい地図」以外にも、ジャニーズ退所後に活躍しているメンバーが増えていますね。
志茂田 僕が「退所組」で特に注目しているのは、それぞれ単独でジャニーズを退所した手越祐也、赤西仁、錦戸亮の3人ですね。3人とも根強いファンをつかんでいて、テレビなどでの活動が多かったジャニーズ時代に比べれば地味に見えるかもしれないけど、コンサートツアーを成功させたりしてアーティストとしてしっかり存在感を示している。むしろ、これからは彼らのように単独で新しい世界に飛び込んで、ソロでやっていこうという覚悟と自信を持って、苦難の道をいとわずに突き進んでいくべき時代ではないかと思います。
そういう意味でいえば、ジャニーズ事務所のアイドルグループはソロ活動ができる人間を養成しているような一面もあると僕は考えているんですね。ジャニーズ事務所のパワーや存在感は今でも大きくて、その中で知らないうちにソロで活躍できるタレントを育てているように見えるんです。だから、タレントはジャニーズ事務所をもっともっと利用して、いずれはソロで世界に挑むという夢を胸に秘めながら、アイドルグループとして活動するのもいいんじゃないですかね。
――時代と共にアイドルの形が変わっていくのでしょうか。
志茂田 平成期は何十人もメンバーがいる大所帯の女性アイドルグループが全盛となっていましたが、大人数の歌と踊りによる迫力で魅せる時代はもう終わったのかなという気がしますね。そういうグループでも、女優になったり、モデルになったりとソロとして巣立っていく人がいたでしょうが、令和のグループはもっと少人数、3~5人、あるいは最初から1人というような感じになっていくのかなと。そうした時代の変化によって、これからはソロのアーティストが雨後の筍のように現れてくるんじゃないかなと思いますね。
令和という時代は、たとえば会社勤めの人でも、仕事上の集団のことより私生活の自分ときっちり向き合わなきゃいけない時代だと思うんです。つまり、個人を大切にする時代です。だから芸能界においても、アーティストの活動はグループよりもソロの方が脚光を浴びるんじゃないかと僕は見ています。
――時代の変化というと、最近はアイドルをはじめとした「推し活」がブームになっています。
志茂田 ある意味でいうと、「推し活」というのは手っ取り早いんですね。高齢者の方はともかくとして、今はスマホ一つあればいろんなものの申請なんかも簡単にできる。その手軽さと「推し」を持つことが結びついている気がしないでもないですね。胸の中に「推し」を入れておいて、つらいときに推しが歌ってくれたり、話しかけてくれたりして元気をもらえる。それがネットやスマホのおかげで手軽になった。そういう部分で、今の人たちは「推し」を大事にしているんじゃないかと思いますね。
僕もそういうところがあるんです。今は車いす生活だから、誰かが僕の好きそうな服を教えてくれても、それを着て外出する機会がないわけですよ。だから僕も人には言えない「推し」を胸に秘めていて、頭の中でその服を「推し」に着せて僕の代わりに外出させている。そういう代理人作用もあるので、「推し」というものが社会で人々から求められているのかなと思います。
――アイドルに話が戻りますが、改めてジャニーズのパフォーマンスの魅力を教えてください。
志茂田 コンサートを見ているとわかるんですけど、これは2通りあるんですね。こうなるだろうなと予想してその通りになってくれる様式美的なものと、まったくの意表を突かれる場合の2つです。特に意表を突かれる場合は、そのグループを推している人にとっては「未知の感覚」が味わえる。そういう感覚を刺激される心地よさ、そこに大きな魅力があるんじゃないですかね。僕はコンサートが終わってから後で観賞するという感じなんですけど、今年はコンサートの生配信視聴にも挑戦してみたいですね。
――最後に、現在注目しているジャニーズタレントをお聞かせください。
志茂田 Travis Japanの松倉海斗くんとジャニーズWESTの神山智洋くんですね。松倉くんのファッションが僕を彷彿とさせるという話があったのと、神山くんが上から下まで柄物の個性的なファッションをしていて「これいいじゃない」と思ったことがジャニーズに目が向くきっかけになったのですが、彼らには自分のファッションをもっと世の中に発信していってほしいですね。それにはジャニーズ事務所を説得しなきゃいけないかもしれないですけど、そういう今までのアイドルとはやや違った面での活動もいいんじゃないかなと思います。けっこう、この2人の独特のファッションを気に入っている人たちもいると思うんで、彼らの世界観を世に提供することで、ひとつの特別なテンションのある空間をつくれるんじゃないかなと。ジャニーズ事務所はそのくらい視界を広げて、もっと多角的な活動をしていった方がいいんじゃないかと僕は思いますね。殻を破ってほしいということです。
K-POPがあれだけやれるんだから、ジャニーズ事務所もこれからの時代はもっと冒険をしてほしいですね。ジャニーズはあまり世界とのパイプがないですが、だったら新しく作ればいい。いい意味で「後は野となれ山となれ」で、これはと思うアイドルグループを、新たに作ったパイプでどんどん世界に売り出していけばいい。ダメだったら「またやり直せばいい」って、事務所が面倒を見ればいいと思うんです。そのくらいやったら、ジャニーズ事務所はもっと弾けて、ニューヨークでも中国でもパリでも知られるような存在になるんじゃないかなと思っています。令和の時代は、そういった新しい道を切り開いていこうという精神がないとダメなんじゃないかなと思います。
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