『怪盗グルーのミニオン危機一発』に込められた水野晴郎イズム
#しばりやトーマス #金ロー
ミニオンはどんな残酷な目に合わせてもOK!?
前回も宇宙空間に放り出されたり(空気がなくても生きていられるのだった)と無茶苦茶な目にあっていたミニオンは、今回も紫色にされて化け物として暴れたり、残酷な目にあったりもする。一歩間違えたらクレームがくる描写だが、このミニオンというキャラクターは特異で、どんな生き物にも似ていない。
今や動物を傷つけるような演出(作品情必要な描写であっても)があるだけで「この作品は動物を傷つけていません」といった表記が必要だったり、特定の人種をからかったようなギャグは絶対に許されない時代だ。
ところがミニオンはどんな動物や人種にもそぐわないので(言語ですら何を言っているのか誰にも理解できない)何をやらせてもOK! なのだ。このミニオンというキャラクターを誕生させたことがこのシリーズ最大のセールスポイントだ。
実際の生き物をデフォルメすることでは右に出るものがないディズニーでは、ミニオンはつくれなかった。ここに制作会社イルミネーションの類まれなセンスを感じてしまう。
そんなイルミネーションの新作は任天堂のゲーム『スーパーマリオ』のCGアニメ。予告編からも怪盗グルーシリーズの独特のノリが感じられ、楽しそうだ。
最後に気になる点をひとつ。邦題の「危機一発」という言葉は正確には「危機一髪」。この表現は1963年公開の映画『007/危機一発』(現在では『ロシアより愛をこめて』に改題)から浸透するようになった。そしてそれは当時、配給会社のユナイト映画にいた水野晴郎先生の考案によるものなのは有名な話。
なんで本作で使われているのかというと今回は、スパイアクション的要素があり、ミニオンが絶体絶命の危機に陥るのと、冒頭に出てくる「北極圏の研究所」ってありゃ、ロシアだね。
60年経っても別ジャンルの映画に影響を及ぼしているという、水野晴郎先生の慧眼に恐れ入るばかりです。
いやあ、映画って本当にいいものですね!
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