千鳥の番組はなぜ「千鳥色」に染まるのか?ABEMA『チャンスの時間』の企画を分析
#千鳥 #チャンスの時間 #ABEMA #吉松ゴリラ
「おもしろいものを作る」を目標に日々切磋琢磨している若手芸人。当然彼らが同業者のお笑いを見るとき、その目線は必然厳しくなる。そんな芸人間で流行る番組は、掛け値なしにおもしろいと言っていい。この企画は現役の芸人をゲストに呼び、「最近芸人が一番笑った番組」を紹介してもらう対談企画である。
今回のプレゼンターは、芸歴9年目の芸人Aさん。
チャンスの時間:湯気-1グランプリ!
Aさん 僕が最近一番おもしろかった動画は「チャンスの時間」の「湯気-1グランプリ」です!
ゴリラ これはおもしろかったね!「チャンスの時間」らしい企画というか、他で見れない独特の企画だった。
Aさん そうなんですよね!「チャンスの時間」は「ABEMA」で毎週放送されているバラエティ番組。今回の「湯気-1グランプリ」は「2人1組で、いかにカッコ良く体から湯気を出せるか」を競うもの。参加者は松竹芸能時代の先輩後輩「TKO・木下隆行&みなみかわ」ペア、「囲碁将棋」ペア、「きしたかの」ペアの三組。各々が各々の方法で、カッコ良い湯気を出すために体を張っていく。個人的には囲碁将棋さんペアが好きでした!
ゴリラ 囲碁将棋さんは「カッコ良い湯気を出すために、山頂で漫才をする」と言って、サウナスーツを着て、サンパチマイクを持ちながら登山をしていたよね(笑)。
Aさん 「山頂で漫才をする」という目的自体もおもしろいんですけど、道中、要所要所に入るボケやコメントが最高なんですよね。一つひとつが確実におもしろいし、ボケの精度も秀逸。それに囲碁将棋さんって、両方ボケもツッコミもできるから、一つのボケが単発で終わらないんですよね。文田さんのボケに根建さんがツッコんで、ツッコんだ後に根建さんがボケを重ねて、今度はそれに対して文田さんがツッコんでいく。
ゴリラ 確かに、お笑いのラリーが自由自在だよね。ダブルボケのしゃべくり漫才をそのまま聞いているかのようなトーク回しで、囲碁将棋さんならではの味がある。
Aさん そのやりとりも、とにかく自然なんですよね。「ボケ・ツッコミ」の掛け合いのおもしろさの他に、普段の会話を聞いているような心地良さが加わる。僕も含めてですけど、ああいう掛け合いは若手のコンビ芸人の憧れでもあります。コンビの一つの極地とも言えるやりとりがロケを通して繰り広げられる様は、おもしろいと同時に勉強にもなりました。
千鳥の魅力!
ゴリラ 今回の企画もそうなんだけど、千鳥さんの番組って「千鳥色」ともいうべき強いカラーがあるよね。そしてそれは、企画に対する千鳥さんの距離感から作られてるように感じる。
Aさん というと?
ゴリラ 普通MCをする時って「この企画はおもしろい」という前提で話を進めるけど、千鳥さんってそうはしないんだよね。常に「お笑いの軸」を自分達側に持ってる。だから「おもしろい企画」なら「おもしろい企画」として扱って笑いを作るし、「おもしろくない企画」なら「おもしろくない企画」として扱って笑いを作る。そうやって企画をフェアに扱うことで、千鳥さん独自のお笑いの価値観が見えてくるんだよね。千鳥さん自身がこの笑いを「おもしろい」と思っているか、「おもしろくない」と思っているか。
Aさん それは番組内で「ウケている・ウケていない」以外の、もう一つのお笑いの価値観になりますよね。極端な話、「ウケていないけど、千鳥さんがおもしろいと言ってるから、これはおもしろいんだ」となる。
ゴリラ その価値観が、千鳥さん独自の強いカラーを作ってるんだと思う。実際、千鳥さんも若手の頃から「白いピアノを山の頂上に運ぶDVD」なんかを作ったり、誰もやったことがないような頓狂な企画を多くやってきてる。自分達のお笑いに対するブレない価値観が、良質な企画を多く生む土壌になってるんだろうね。
Aさん ちなみに「チャンスの時間」では、この他にも「女性の本音ラブソング」や「ノブの好感度を下げておこう」など、人気シリーズもたくさんあります! ぜひそちらも併せて、ご視聴ください!
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