『インフォーマ』に賭ける夢…Netflix TOP3と登場人物が与えてくれる喜び
#横浜流星 #沖田臥竜 #インフォーマ
先週、Netflixの人気コンテンツのランキングで『インフォーマ』がトップ3入り。いよいよ頂点が見えてきた!
ランクアップのきっかけは第6話が配信されたことだったが、ここに突如登場したのが、横浜流星演じる「河村愛之介」。特徴的なこの名前には、原作者である沖田臥竜氏の想いが込められているという。
もちろんそれは他の登場人物にも通じることだが、沖田氏には自ら生み出したキャラクターを名付けるにあたって、代えがたい喜びを感じることがあるという。果たしてそれは何なのか。そして、名前を付ける際にも想いを強く込める理由はなんなのか。
沖田氏による恒例のコラム。今回は10代を述懐しつつ、『インフォーマ』のアウトサイド・ストーリーが展開される。
横浜流星の出演が決まってから書いた第6話
車を運転しているときだった。まだ、ドラマのクランクイン前のことだ。『インフォーマ』は当初、映画化に向けて書いていた。それを色濃く残しているのが、どちらかというと小説『インフォーマ』のほうだろう。映画化に向けて書いていた一本のシナリオを一度全部バラして、10話分のドラマの脚本に書き直したのである。2年前から書き始めていたので、一年くらいは隙あれば『インフォーマ』に手を加えていた。
キャスティングも決まっていき、10話分をざっくり整え始めた頃、急遽、横浜流星さんの出演が決まった。
それを受けて書いたのが、ドラマでは横浜さんが出演した第6話にあたる「エピソードゼロ」だった。そして、車を運転しながら、私の中でそのキャラクター像や横浜さんのイメージにコミットしたのが「河村愛之介」という名前だった。私の作品に登場する人物の名前には、いろいろな想いが込められていて、もちろん「河村愛之介」という名前にも、たくさんの想いを込めていた。
私は登場人物の名前には、それぞれすごい想い入れがあって、映像化されたときに、出演してくれた俳優部の人たちには、演じた登場人物の名前で呼ばれてほしいという想いが強くある。
ドラマ『ムショぼけ』放送終了後、主人公を演じた北村有起哉さんが別作品での関西ロケ中にファンの人から、『ムショぼけ』の主人公名である「陣内さん!」と声をかけられると聞かされたときには、登場人物の名付け親として、なにものにも代えがたい喜びがあった。
このときこそが、作り手と視聴者が一体になる瞬間ではないだろうか。そして、両者が一体になった作品は、やはり強い。
1991年にフジテレビで放送された世紀の名作『東京ラブストーリー』の主人公を演じた織田裕二さんは、あのとき確かに、カンチだった。ヒロイン役の鈴木保奈美さん演じるリカが「カンチ!」と呼ぶ声は、観る者すべての心を突き刺した。あの瞬間、2人は確かに「カンチ」と「リカ」だった。
その時、私はというと中学3年生で、鑑別所に収監されていて、「少年院に行かされたらどうしよう」という思いで頭がいっぱいだった。ただ私は、まあまあただでは転ばない。脳裏は不安でいっぱいだったが、鑑別所の部屋の中で壁に描かれた落書きに衝撃を受けていた。そこにはこう書かれていたのだ。
―少年院の半年や1年、笑いながら行ってやる!―
14歳の私には衝撃であった。1カ月の鑑別所生活でべそをかいているというのに、落書きの主は誰だか知らぬが、半年でも1年でも笑いながら少年院に行ってやるというのだ。その落書きの言葉は、小さな胸を大きく刺激したのだ。そして30余年のときを経て、ドラマ『ムショぼけ』の冒頭で活かされることになった。
―懲役の15年や16年、笑いながら行ったら!―
―笑いながら行くのは、兄貴だけにしてくれよ~!―
もしも、鑑別所でべそをかいていたあの頃の私が、このことを知れば、クスッと笑ってくれるだろうか……。
Netflixで第6話を配信した後、横浜流星ファンの人たち、そしてドラマ『インフォーマ』を応援してくれている人たちが、SNSで「愛之介!」「河村愛之介!」とたくさん書き込んでくれていた。私の中で想い入れの強い名前だった。なぜ、「河村愛之介」という名前にしたのか(ここではあえて触れないが)、撮影現場で横浜流星さんに直接伝えると、彼は「そうなんですか⁈」と驚いてくれた。そうした一つひとつが、作品作りにおける宝物になるのである。
世の中に当たり前なんてことはなくて、私はいつでも「これが最後になっても」という思いの中で、作品を生み出すことに情熱を燃やしている。そこは謙虚なくらい自分自身の中で言い聞かせている。
「よくがんばった。これで終わったとしてもよくやったよ」
その想いは小説家としてデビューしてからずっとあるものだ。その反面、Netflix TOP3で満足しているかといえば、身の程知らずですまない。王者に君臨しにやってきたのだ。満足してはならないと思っている。
物語は後半戦に入り、ここから一気に加速していく。一瞬たりとも見逃さずに追いかけ続けてほしい。きっと10話が終わったとき、まだまだ『インフォーマ』を観ていたいと思ってもらえるはずだ。
作り手と視聴者が一体になれるドラマが今、世の中にはどれだけあるだろうか。インフォーマは回を重ねることに力を増し続けている。
(文=沖田臥竜/作家)
小説『インフォーマ』
沖田臥竜/サイゾー文芸/税込1320円
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週刊誌記者、三島寛治の日常はひとりの男によって一変させられる。その男の名は木原慶次郎。クセのあるヤクザではあったが、木原が口にした事柄が次々と現実になる。木原の奔放な言動に反発を覚えながらも、その情報力に魅了された三島は木原と行動をともにするようになる。そして、殺人も厭わない冷酷な集団と対峙することに‥‥。社会の表から裏まで各種情報を網羅し、それを自在に操ることで実体社会を意のままに動かす謎の集団「インフォーマ」とはいったい何者なのか⁉パンデミック、暴力団抗争、永田町の権力闘争、未解決殺人事件…実在の事件や出来事を織り交ぜ生まれた「リアル・フィクション」の決定版!
ドラマ『インフォーマ』
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ドラマ『インフォーマ』予告映像
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