コットン西村が終止符を打つ、芸人界の陰陽合戦
#テレビ日記 #飲用てれび
コットン・西村「俺がこの陰と陽の戦いを終わらす」
15日の『あちこちオードリー』(テレビ東京系)に陣内智則とコットン(西村真二、きょん)がゲスト出演し、オードリー(若林正恭、春日俊彰)とトークをしていた。
この日の括りは「横MCのトップと、これからいろんなMCにハマらないといけない芸人」。横MCとは『あちこちオードリー』の造語で、メインのMCの横で進行をサポートするような立ち回りをする人のことである。陣内はそんな横MCの代表的存在だ。和田アキ子の横、所ジョージの横、南原清隆(ウッチャンナンチャン)の横など、数々のMCの横についてきた。番組では、そんな陣内の横MC人生を学生時代から紐解いていた。
対するコットン。2022年の『キングオブコント』(TBS系)で準優勝となり、テレビで見る機会が増えてきた彼らだが、特に西村は、これから横MCを経てMCを任される芸人になりたいと展望を語った。もともと野球部のエースで、大学ではミスター慶応に輝いたこともある西村。“陽”の気質を持った彼について、若林も「MCっぽいよね」と評した。
ただ、西村にも悩みはあるという。それはまさに彼が“陽”の気質を持っていることによるらしい。西村いわく「今ほとんどが芸人界って陰」。芸人もお客さんも、陽キャの芸人には厳しい目線を送りがちだ。そんな芸人界を「稀代の陽キャ」である西村は渡り歩きにくいのだという。
なるほど、ザキヤマこと山崎弘也(アンタッチャブル)など明るさが売りの芸人も少なからずいるけれど、どちらかといえばツッコミ芸人が場を回しがちな現在のお笑い(というかテレビ)の世界、斜め目線でのツッコミなど“陰”のスタンスが優勢かもしれない。それこそオードリー・若林が象徴的だろう。陣内も触れていたけれど、特に吉本興業ではある時代、ダウンタウンの松本人志に惹かれて芸人の世界に入ってきた人たちが多かったらしいから、その影響もあるはずだ。そんななかにあっては、“陽”の芸人のほうが日陰の存在になりやすいのかもしれない。
もっとも、西村はそういった“陰”や“陽”の対立をゆくゆくはなくしたいと語る。
西村「最終的には陰とか陽とかじゃなくしたいんですよ。この陰陽の戦いを止めにいきたい」
若林「終わらすんだね、西村が」
西村「俺がこの陰と陽の戦いを終わらす」
――と、西村の主張をパラフレーズしてきたけれど、このような立ち回り、面白いなと思う。“陰”と“陽”の対立という芸人界の地勢図を描き、自身を劣勢の“陽”の側に位置づける。そして、自身の孤軍奮闘ぶりを面白として見せる。もちろん若林などのフォローもありながらだけれど、自分で書いた自分の取扱説明書を自分で説明している感じ。その可笑しみ。“陰”と”陽”にこだわる姿がもはや“陰”の雰囲気を醸し出してしまったりとか。もちろん、実際このあとコットンが賞レースなどで優勝したりすれば、その説明書の筋書きどおりMC芸人になるかもしれないし。
私はそんな西村のテレビでの言動をとても楽しみにしているし、彼が今後どこにたどり着くのかも興味深く見ている。ただ、いまのところオードリーの若林がいる番組ぐらいでしか、今回のような立ち回りが見られないのが残念だ。いや、西村本人はこの立ち回りをテレビで積極的に見せていきたいのだろうか。もしかしたら、出しどころを戦略的に探っているのではないか。仮にそうだとしたらそれは“陽”なのか、それとも“陰”なのか――と、勘ぐってしまうのはあまりに“陰”かもしれない。
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