トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『大病院占拠』日本エンタメのお手本へ?

トンデモドラマ『大病院占拠』の“ネタ化”はお金のない日本エンタメのお手本に?

トンデモドラマ『大病院占拠』のネタ化はお金のない日本エンタメのお手本に?の画像1
『大病院占拠』(日本テレビ系)公式サイトより

 2023年1月期のドラマの中で“ネタドラマ”として人気となっているのが、櫻井翔主演の『大病院占拠』(日本テレビ系)だ。

 鬼の面をかぶった謎の武装集団に占拠された病院を舞台に、櫻井が扮する刑事が奮闘するこのドラマ。放送を重ねるごとに、鬼を演じるキャストが徐々に明かされていくなどの仕掛けもSNSで話題だ。

「SNSでは鬼のキャスト予想なども行われていましたが、結構早い段階で正解を叩き出すネットユーザーもいたこともあり、運営サイドによる”リーク説”も流れるほど。一方で、アクションシーンなどがとにかくチープで、そこをイジるネットユーザーもたくさんいます。SNSで実況しながら楽しむタイプのドラマとして意外やウケているようです」(ドラマ関係者)

 作中では毎回櫻井が「嘘だろ?」というセリフを放ち、そこがお決まりのシーンとなっている。番組公式ツイッターが「嘘だろ?」シーンを集めた動画を投稿するなど、キラーフレーズを公式自らネタにする状況だ。

「櫻井さんが『嘘だろ?』と言うと、ツイッターが盛り上がるという構図になっていてますよね(笑)。物語の内容や謎解きよりも、そういったネタ部分を楽しんでいる視聴者のほうが多いでしょう」(同)

 そんなネタ要素が多く含まれているということもあり、10代、20代での視聴率が上昇中だという。

「実況で盛り上がれるドラマなので、自ずとリアルタイムの視聴者が増える。制作サイド狙い通りかどうかは別として、結果オーライであるのは間違いないでしょう」(同)

 Netflixなどでの配信ドラマや海外ドラマに比べると、日本の地上波テレビのドラマは予算も少なく、アクションシーンなどがチープなものになりやすい。だからこそ、“ネタドラマ”が日本の地上波ドラマの有力コンテンツになりうるとの意見もある。

「地上波ドラマにお金をかけられないのは、もはやどうにもならないこと。低予算でいかに面白いものを作っていくかが課題になっているわけです。そういったなかで、視聴者を巻き込んで楽しめるような仕掛けを入れていくのは、ひとつのテクニックとして王道になりつつあります」(テレビ局関係者)

 日本のドラマ界では、いろいろな意味で“ネタ要素”が多い作品が愛されてきた歴史もある。

「たとえば『今日から俺は!!』や様々な実写化映画などを手掛ける福田雄一さんなどは、ボケ要素も多く“ネタドラマ”の一種と考えることもできます。そして、宮藤官九郎さんの作品も、意外なキャスティングや過去のエンタメへのオマージュも多く、それらを“ネタ要素”として捉えることもできるでしょう。さらにいえば、一部の三谷幸喜作品も、ボケ展開が多いだけでなく、別作品同士でリンクする部分があるなど、ネタ要素は満載。こういった部分が、視聴者に刺さり、作品に対する愛情を深めていく効果があるのは間違いない」(同)

 もちろんネタ要素を狙いすぎて、視聴者が冷めてしまうという最悪の展開も考えられる。そうならないようにさじ加減が難しいのも事実だ。

「『大病院占拠』は当初、アクションがチープだということで嘲笑の対象になっていたものの、公式ツイッターがイジり始めるなどして、“ネタドラマ”として楽しまれるようになったという流れです。これをちょうどいい塩梅で、狙ってできるようになるのがベストですよね。

単純にチープなだけだとクソミソに言われて終わってしまいますし、悪ノリがすぎると視聴者もシラケる。視聴者にウケるドラマを作るには、ネタに対する絶妙なチューニングが重要でしょう。もはや地上波ドラマでお金をかけてアクションシーンを撮るのは不可能に近いのだから、いかにして“ネタドラマ”としてのクオリティーを高めていくかを考えるのも、一つの手ではありますね」(同)

 グローバル化するエンタメ界で、日本の“ネタドラマ”が世界で愛される未来もある……のか?

手山足実(ジャーナリスト)

出版業界歴20年超のベテランジャーナリスト。新聞、週刊誌、カルチャー誌、ギャンブル誌、ファンクラブ会報、企業パンフレット、オウンドメディア、広告など、あらゆる媒体に執筆。趣味はペットの動画を見ること、有名人の出没スポットパトロール。

てやまあしみ

最終更新:2023/02/15 20:00
ページ上部へ戻る

配給映画