『ラヴィット!』オードリー春日を見たときの“多幸感”の正体
#テレビ日記
テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(2月5~11日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。
ダウ90000・蓮見「当て書きの究極体だと思うんですよ、春日さんって」
オードリーの春日俊彰は「当て書きの究極体」である。8日の『あちこちオードリー』(テレビ東京系)で、ダウ90000の蓮見翔はそう評した。
この日の同番組は、蓮見と小籔千豊がゲストだった。8人組ユニット・ダウ90000を主宰する蓮見と、2006年から2022年まで吉本新喜劇の座長を務めていた小籔。なんらかの組織を率いる経験をもつ2人である。組織の運営や人材の育成といったテーマにも及んだ彼らの話は、テレビの世界や芸能界をどのように渡り歩いていくか、心身の健康をいかに健やかに保つかといったいつもの同番組のトークとは少しちがった内容で、とても興味深かった。
が、それはそれとして、記事冒頭の発言が出たのは、オードリーに会うことへの緊張を蓮見が語り始めたときである。ダウ90000のほぼすべての脚本を書く蓮見。演じる本人のイメージにあわせて脚本を書くこと、いわゆる当て書きがこれまで多かったという蓮見は、オードリーが大好きなのだという。なぜなら――。
「当て書きの究極体だと思うんですよ、春日さんって。若林さんの根底に愛があるじゃないですか。同級生じゃないとたぶんここまでの当て書きにはならないし。若林さんが1個すごいってことと、あと、それを20何年ずっとやってる春日さん怖すぎる」
なるほど、人前に出る芸人やタレントは大なり小なりなんらかのキャラクターを設定しているはずだが、他人からあてがわれたキャラクターと本人の素のようなものの境目が春日ほどわかりにくい人は、同時代の日本にあまりいないかもしれない。
そして何より、それを貫徹し続ける人も春日のほかにほとんどいない。他人からの指示をやり続けることで知られる春日だが、春日は何よりも春日をしてきた。木村拓哉がキムタクをしてきたのと同じである。いや、本人を取り巻く環境や本人自身が変わっていくなかで、10数年前の春日と今の春日は確実に違ってきているはずだ。マイナーチェンジを図っているはずだ。番組内でも語られていたが、ラジオとテレビの春日も違うだろう。が、私たちのイメージのなかで春日は春日であり続ける。春日というシステムのホメオスタシス。
そんな春日が8日の『ラヴィット!』(TBS系)に出演。芸人がゲストで来る場合、特になんの番宣も告知もなく出演する場合が多いが、今回の春日は告知があるようだ。では、なんの告知かといえば、明日の『ラヴィット!』である。春日は笑顔でテレビのこちらに語りかける。
「明日の『ラヴィット!』の告知で来ました」
エンディングでもしっかりと、明日の『ラヴィット!』を告知する春日。だが、同じ番組に出演する告知のために出演するということは、告知の告知の告知の……という具合にならないか。
時間を遡行して『ラヴィット!』に出演し続ける春日を想像してみる。SFチックな妄想だが、なんだか面白い。もちろん、その妄想のなかで、春日はずっと変わらず春日である。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事