誹謗中傷コメントを人気企画に変えた、霜降り明星・粗品のとてつもない才能
#霜降り明星 #粗品 #檜山豊
「誹謗中傷」という言葉は聞くだけで、若干ナーバスになってしまう。それは当たり前のことで、「誹謗」とは他人を悪く言う事で、「中傷」とは根拠のない事を言いふらして、他人の名誉を傷つける事。そんな2つが並んでいるのだから、嫌な気持ちになるのは当然である。
インターネットが一般普及され、ほとんどの人がSNSをやっている現代において、「誹謗中傷」は拡大傾向にあり、事件化するケースも増えている。この「誹謗中傷」は特に著名人や有名人になると避けて通れないものであり、人によっては人生が左右されてしまい、痛ましい事件や事故を引き起こすこともある。
そんなネガティブな印象しかない「誹謗中傷」を、見事にお笑いに変えている人がいる。それは「霜降り明星」の粗品さんだ。粗品さんは自身のYouTubeチャンネル「粗品 Official Channel」において、誹謗中傷をメインとした企画を作り出しているのだ。
「超爆笑鉄板エピソードトーク」というタイトルで自身のエピソードを語り投稿。その翌日にエピソードトークの動画に寄せられたコメントに対して「コメント欄が凄く荒れてまして……」と切り出し「芸能人やったら何言いわけちゃうぞ……(中略)気に食わないということで、昨日ついたいろんなコメントに反論して行きたいと思います」と宣言し、コメントにツッコミを入れるという人気企画「昨日の動画に来たカスのコメントに反論」という人気企画を定期的に配信している。上記は、その企画のお約束の流れだ。
本当の誹謗中傷もあるのだが、もはやコメント欄はファンと粗品さんのプロレス会場と化し、大喜利状態となる。粗品さんの芸風やキャラクターから思いついた企画なのだろうが、見たくもない「誹謗中傷」をファンが心待ちにするような人気企画にするのはとてつもない才能だ。最初は少なからず傷ついたり、怒ったり、落ち込んだはずだが、そこに屈せず笑いに昇華した姿勢には感服させられた。
先ほど「誹謗中傷」は著名人や有名人には避けて通れないと書いたが、特に有名でも著名でもない若手芸人も多かれ少なかれ「誹謗中傷」を受けている。「誹謗中傷」の方法は様々で、SNSなどでされる場合もあれば、ライブなどのアンケート用紙に書かれることもある。
僕が芸人をやっていた15年くらい前は、SNSもそこまで普及していなかったので、このライブアンケートが誹謗中傷する主な場所になっていた。
お笑いライブは出場者の順位を決めるパターンが多く、アンケート用紙には感想と点数をつけるものが一般的だった。さらに、お笑いライブは様々な芸人が様々なファンを呼ぶ場所であり、今でいう推し活をしているファンにとって、アンケート用紙は推している芸人を押し上げ、目立っている芸人を引きずり下ろす格好の場所だったのだ。
僕は芸人時代、他の芸人のファンの方にやっかまれることが多く、たぶん他の芸人より誹謗中傷アンケートを書かれた方だと思っている。正直「○○さんの方がツッコミが上手い」とか「檜山は声が聞こえづらいから○○さんにMCを代えて欲しい」などわかりやすい推し活アンケートや「面白くない」「つまらない」「良く分からない」などは個人的な好みが書いてあるアンケートに対しては何も思わなかったが、時々混じっている「中盤から後半にかけてボケとツッコミの色が噛み合っていない」とか「テンポが0.5秒遅いので笑えない」とか「ネタの展開が予測できた。○○の方向へ展開した方が面白い」など一端のお笑い評論家ぶったアンケートにはイラっとしてしまうことがあった。プロの芸人に対して何をほざいているのだ! と。しかも的を射ている場合は尚更いらつく。
数々のアンケートをもらった僕だが、今でも鮮明に覚えているアンケートがある。それは「右側の人(僕:ツッコミ)はすぐに注意したり、話を止めたりするから嫌だった。もっと左側の人(相方:ボケ)のように変な顔や動きをしたり、面白い事を言った方が良い」というものだった。
まあこれを書いた人がお子様なら、漫才を知らない可能性があるので百歩譲れるのだが、アンケートを書いた人の情報のところには46歳男性と記されている。「え?……お前漫才って見たことある?」という言葉を投げつけたくなった。
とにかく内容の大小に関わらず「誹謗中傷」というのは、受けた人の心が傷つく。そんな「誹謗中傷」を笑いに変えた粗品さんのバイタリティの高さには感服する。
皆さんはくれぐれも「誹謗」などせず「追従」するよう心掛けてほしい。人間は褒めて伸びる人しかいないのだから。
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