NHKまでも「ルフィ」連呼…『ワンピース』風評被害に対する出版社のホンネ
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ニュース番組やワイドショー、新聞や雑誌など、目下あらゆる場で話題になっているのが、首都圏を始めとして全国を股にかけた連続強盗事件だ。
大胆な手口と残忍な犯行、「闇サイトで勧誘」「スマホで犯行を指示」「黒幕はフィリピンの収容所に滞在」など、犯罪小説も顔負けの事件には大きな関心が集まっているが、どこか緊張感を削がれるのが「ルフィ」呼びの連発である。
ルフィといえば、尾田栄一郎氏の漫画『ONE PIECE』の主人公の名前。全世界の累計発行部数が5億部を超えた超大ヒット漫画だが、一連の強盗事件の首謀者が「ルフィ」と名乗っていたことから、ワイドショーはもちろんNHKのニュース、新聞のテレビ欄までも「ルフィ」「ルフィ」「ルフィ」――と飛び交う事態になっている。
この状況を、大手新聞紙記者は次のように解説する。
「こういった報道については明文化されたルールがあるわけでなく、あくまでもケース・バイ・ケース。例えば、首謀者が名乗っていたのが実在する有名人の名前だったり、公序良俗に反するようなニックネームだった場合、その名前は伏せられたでしょうし、まったく特徴のない仮名だった場合も、同姓同名の人間に迷惑がかかる恐れがあるので、こちらも伏せられた可能性が高いです。
しかし今回の場合、大型犯罪組織の主犯格が超人気漫画の主人公を名乗っていたというのは、これも立派なニュースです。一部の報道機関は当初、“人気漫画のキャラクターを名乗る…”といった表現をしていましたが、徐々に『ルフィ』と名乗っていたことが明かされ、隠す意味がなくなってしまった。報じる側の都合ですが、『連続強盗事件が…』と報じるより、『ルフィが…』と報じる方が、引きが強いという事情もあります」(大手紙記者)
報道には常に客観性が求められるが、インパクトを求める上で情報を取捨選択するのは致し方ないということ。情報の受け手としても、事件のストーリーを掴む上では、そのほうが有り難いかもしれない。
しかし『ONE PIECE』のファンにしてみれば、凶悪事件のニュースに主人公の名前が登場するのは腹立たしいはずだ。『ONE PIECE』の版元の出版社はなぜ動かないのか。
「確かに出版社にとって喜ばしいことではありません(笑)。でも、今回のニュースで『ONE PIECEはけしからん漫画だ』と思った人はまさかいないでしょうし、『ONE PIECEが犯行のヒントになった』とか『ONE PIECEの関係者が犯人だ』と考える人はいませんよね。そういう意味では、ONE PIECEの名誉はなんら汚されていません。
より本質的なことを言えば、報道機関が『犯人がルフィを名乗っていた』と報じるのを止めることは、表現の自由を標榜する出版社にとっては自殺行為です。身も蓋もない言い方になりますが、『ONE PIECE』は海賊たちの物語。泥棒が出てきたり、戦いを挑んだりするストーリーは“犯罪的”ですが、それが許されるのは、誰もがフィクションだと理解しているからです。今回の件も同じ。誰もがONE PIECEは事件とは無関係だと理解しているなら、動く必要はありません。
泥棒が捕まった際に“ルパン”や“キャッツアイ”と報じられたりするのは、報道ではよくあること。作者もファンもまあ不愉快でしょうが、犯罪集団がルフィと名乗ったのは一種の“有名税”のようなものでしょう」(出版関係者)
近々訪れるであろう「ルフィ逮捕」のニュースで、一件落着か。
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