『闇金ウシジマくん』の中毒性を芸人が分析、他人事とは思えない登場人物の心理
#闇金ウシジマくん #馬鹿よ貴方は 新道竜巳
真鍋昌平先生の漫画「闇金ウシジマくん」が公式YouTubeチャンネルで漫画の絵に声優さんの声を入れて2、3日に1度動画が更新されている。元々は「ビックコミックスピリッツ」で連載しており、後に出たコミックは全46巻で2000万部以上の売り上げを記録し映画化もされた。
金融屋をやっているウシジマが10日で5割の異常な金利でお金を貸すのだが、借りに来る人間は後を絶たない。ギャンブル中毒者、見栄でブランド品を買い続ける女、ねずみ講にハマる男、株、人は金を求め続ける。人生1度は見栄だらけの人間に会う事があるので、物語に吸い込まれてしまう。
連載が始まった2004年から現在まで根強い人気を誇る闇金ウシジマくんは、なぜこんなにも中毒性があるのだろうか。決して内容は後味のいいものではなく、ハッピーエンドで終わる事はめったにない。人間が誰しも直面する金欠。主人公が「金」だからというのが1つインパクトを与えている。
ようするに金で全ての日常を牛耳られている事がよくわかるストーリーに、誰しもがどこか共感をしてしまうというのは大きいのかもしれない。人間の生活は、金によって生かされている。アルバイトで時間を切り売りし、就職し安定した収入を得る。身分相応の生活が出来る事は凄く大事な事で、見栄やプライドが高いと、収入よりももらっているように見せる。そして、嘘によって自分の首を絞めてしまう。人はどこかそういう部分があるので凄く共感をしてしまう。
殆どの登場人物が金を使う時の理由がプライドにまつわる。お金を持ってしまうと、その金で人によく思われたくなる心理が起きる。そして、より大きな自分を演じてしまう。その心理が他人事とは思えない。生きているうえで必要となる金が、ここまで人間を奈落の底に陥れるのか。
金が無くて実の母と娘が同じ男に同時に体を売るシーンは頭から離れない。「ママと一緒に3Pしてくれない」。ストーリーを追わずにはいられない台詞が飛び交う。本来ならしない筈の行動が、つねに金がなく、積み重ねでどうなってもよくなってしまい承諾してしまう話の運びが自然で不自然な日常に共感を生んでしまう。
この漫画の魅力は、いつか自分もこの漫画の登場人物になってしまうという恐怖感ゆえ、自分の落ちぶれる未来を覗き見るように、じっと見てしまうことだ。
そして、肉蝮(にくまむし)というキャラクターが印象深い。体がやたらとでかく、夏でもコートを着ている。これだけでも普通ではない人間への魅力がある。自分の言っている事に反応しなかったら耳を引きちぎる。金が無かったら、人から金をたかり、また無くなったらまた同じ人に金をたかる。逆らったら2度と逆らわないように、とことん追い込む。何度牢屋に入っても反省しない。時間がたてば法律の下で肉蝮は釈放になりまた同じことを繰り返す。看守もシャバに出すのは危険だと知りながらも、自分らは法律を全うするだけの仕事なので悪党が牢屋で何も反省しないままでも釈放される。
この悪魔のような人間が普通に生活し、運悪く関わってしまうと人生奈落の底に落ちてしまう。目立つと金をとられ暴力を振るわれる。こんな凶悪な人間には会ったことないが、どこか肉蝮のような人間は時々遭遇する。自分の思うようにならなかったらとにかく高圧的に出て従わそうとする。人という部分について向き合わされ、気づけば魅了されているのが、この闇金ウシジマくんである。
『闇金ウシジマくん』の完結とともに消える!? ヤミ金業界の裏事情
2004年に連載が始まり、長期にわたり人気を集めていた裏社会漫画『闇金ウシジマくん』(小学館)が3月4日発売の「週刊ビッグコミックスピリッツ」(同)で最終回を迎え、およそ1...サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事