かまいたちも被害に…マネージャーが芸人のギャラ着服、数百万円全額横取りで退社
#かまいたち #檜山豊
20日にお笑いコンビ「かまいたち」の山内さんがYouTubeチャンネル「かまいたちチャンネル」において、若手時代に営業のギャラを当時のマネージャーさんにくすねられたという話を語った。
「あのアホンダラいまなにやっとんねん!~かまいたちの忘れられない人」というタイトルで、過去にトラブルのあった人物ついてトークする企画。数あるエピソードの中、かなり若手の頃にファッションイベントの営業に行ったという話になった。そのイベントのギャラがいつまでも振り込まれないので、マネージャーさんに確認してと何度もお願いし、最終的に「イベントで劇場の告知をしたのでギャラは相殺です」と言われたそうで、確かに告知をすることと引き換えにノーギャラで営業に参加するということはあり得る。
それ自体は不思議な話では無いが、山内さんは事前に聞かされていなかったことに違和感を感じ、営業のつてを辿ってイベンター側への接触へ成功。そしてギャラの件を直接聞いたところ「ギャラは払っている」と言われ、マネージャーさんがギャラをくすねていたことが発覚したが、当のマネージャーさん本人は吉本を辞めてしまい、問い詰めることは出来なかったようだ。
こういった話は何も珍しいことでは無い。僕が芸人時代にも同じような話を聞いたことがある。今回は僕の周りで起こったちょっとしたギャラ関係のゴシップ話を、問題にならないよう芸人や事務所の名前を具体的には出さずにイニシャルコラムしていく。
これは、とあるお笑いコンビHから聞いた話だ。彼らがまだ駆け出しの頃、初めてお祭りの営業に呼ばれた。会場にはちょっとしたステージが設けられ、10分程度のネタを披露するというスタイルの営業だった。お祭りはお酒が入っている人が多く、出店やお神輿などネタに集中しづらい場所なので営業の会場としてはあまり良いとは言えないが、営業にしては短いネタ時間10分、しかもギャラは振り込みではなく取っ払い、つまり当日に手渡しでもらえるのだから、営業としてはかなり良い営業と言えるだろう。
予想通りあまりネタに集中するお客さんはいなかったものの、特に酔っ払いに邪魔されるなどのアクシデントもなく、無事に10分のネタ披露が終わり、先輩たちのネタを見学し、営業は終了。
若手コンビのHはギャラを貰う為にマネージャーの元へ急いだ。マネージャーは笑顔でお疲れ様と言い、2人にぽち袋に入ったギャラを1つ手渡した。ぽち袋の中身は1万円。営業ギャラとしては格安だが、当時のHたちにとって10分で1万円のギャラは破格であり、大喜びで帰路についた。先輩たちに挨拶をし、最寄りの駅へ向かっている最中、営業の元締め的な位置にいる所属事務所の社長に出くわした。深々と挨拶をしたHたちに社長が驚きの発言をしたのだ。
社長「2人ともギャラ貰った?」
H「はい」
社長「良かった。1人1つずつもらったのね。お疲れ様」
H「?」
立ち去る社長の背中を目で追いながら、Hたちの頭は混乱していた。落ち着きを取り戻した2人は今の発言を話し合い、ある答えに行きついた。たぶんギャラは1人1万円貰える予定だったのだが、マネージャーさんが1万円をくすねたというものだった。これが本当なら文句のひとつも言いたいところだが、立場的に言える状態ではないし、もしかしたら社長の勘違いかもしれない。結局、真実はわからないまま2人は泣き寝入りすることとなった。
もうひとつ他のコンビの話だが、そのコンビが少しずつ知名度が出始めて忙しくなってきたころ、ある月に15本程度営業が入ったことがあった。自分たちのギャランティを知っていた2人は、数か月後にいくらギャラが入るとわかっていたのだが、何か月経ってもギャラは入ってこなかった。
明らかに遅いと思い、担当マネージャーに確認してくれと言うと「振り込みが遅れている」と言われ、再度待つことになった。待てど暮らせどギャラが入らず、痺れを切らした芸人が自分で所属事務所に確認するとマネージャーに言うと「お金にうるさい芸人は嫌われるから言わない方がいい」と諭され、とにかく待つように言われた。
後で判明したことだが、待てと言っていた担当マネージャーがイベンターに自分の振込先を教え、ギャラを全額自分の懐に入れていたのだ。先述した1万円というかわいい金額ではなく、数百万円を着服するというシャレにならない出来事になってしまったのだ。結果的にそのマネージャーは退社することとなった。
このような担当マネージャーによるギャラ着服問題から、営業先のギャラ未払い、お客さんの入りによってライブのギャランティが予定より安くなってしまったり、最悪無くなってしまうなど、芸人のギャラ問題は、身近な問題として起こっている。
ギャラを貰えるようになるまでにほとんどの芸人は苦労しており、たった500円だとしてもギャラをもらうことにより「プロの芸人」としての自覚が芽生えてくるのだ。
たかが500円、されど500円。
芸人にとってのギャラはネタの対価ではなく、芸人を芸人として育てる為の栄養なのだ。芸人を愛し、お笑いを愛してる全関係者の皆様。芸人の培養よろしくお願いします。
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