『パイレーツ・オブ・カリビアン2』にカリブ族抗議も ディズニーが拒否!
#ディズニー #金曜ロードショー #しばりやトーマス #金ロー
今週の日本テレビ系『金曜ロードショー』は視聴者のリクエストにお応えする企画第6弾、先週から引き続いて人気シリーズのパート2、『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』を放送だ。
前作から3年後、総督の娘エリザベス(キーラ・ナイトレイ)と元海賊の息子ウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)の結婚式がポート・ロイヤルで行われようとしていたが、そこに現れた東インド貿易会社のベケット卿(トム・ホランダー)は海賊ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)を逃がした罪で二人は逮捕されてしまう。ベケット卿はジャックの持つ「北を差さないコンパス」と引き換えにエリザベスを解放するとウィルに約束をし、仮釈放される。
一方のジャックは海賊船ブラックパール号を取り返し、船長の座に復帰していたがウィルの父、ビル(ステラン・スカルスガルド)と再会、幽霊船フライング・ダッチマン号の船長、ディヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)とジャックは13年間、ブラックパール号の船長になれる代わりに、契約が済んだら100年間船員として働くという契約の期限が迫っていることを告げる。
不死身のジョーンズとの契約を破棄するためにジャックは、ジョーンズの心臓を収めた宝箱デッドマンズ・チェストのありかと箱を開ける鍵の行方を探し求めていた――。
第一作目が世界規模の大ヒットを記録したことで、続編製作が決定したのが本作だ。ご存じの通り、誰も当たるわけがないと思った映画がヒットしたことで、ディズニー側もこの作品を全面的に推していこうというスタンスを取る。本作公開時には映画の「原作」であるディズニーランドのアトラクション「カリブの海賊」に本作の敵役、ディヴィ・ジョーンズ船長が登場した。映画のほうがアトラクションの「原作」になってしまったのだ。
続編は2と3を同時に撮って、二本に分けて公開する方式がとられた。一作目は1億4000万ドルという多額の制作費が投じられた。『デッドマンズ・チェスト』の制作費だけで2億2500万ドル!
一作目があんなに受けたんだから、続編はもっと金をかけてもOKというのが、いかにもハリウッドですねえ。日本なんて某低予算ホラー映画が大ヒットしたので続編が決まったが、会社は「前はあんな低予算で作れたのだから、今回はもっと安くてもいけるよな」と製作費が下げられたっていう話があるぐらいだから。
ケチケチした日本と違って、世界を相手にビッグビジネスを仕掛ける米国のディズニーによって大予算を宛がわれた製作陣は「何をやってもいいんだ!」とばかりに、前作以上のド派手な見せ場を用意した。前作は最新の映像技術を駆使して呪われた海賊たちをつくって、驚いたのは生きる死体と化した海賊たちが海底を歩いていく場面。これはルチオ・フルチの『サンゲリア』(1979)でゾンビとサメ(!)が格闘する場面を思い出させる名場面だ。
前作より金がかかってるのだから、それを上回るものを見せないといけない。どうするか? 派手で見栄えの良い映像を作る簡単な手段がある。とにかくデカくすることだ!
そして生み出されたのが海の怪物クラーケンだ。船に巻き付き、力づくで沈める巨大ダコ! 中盤から後半にかけて展開するクラーケンと海賊たちの死闘は本作最大のアクションシーンであり、屈指の見せ場である。
しかし、とにかくデカいやつを出してくるというのは、見栄えは良いが、安易でもある。前作で海賊同士の剣術アクションは見せてしまったのでそれに代わる見せ場が必要だったのはわかるが、デカくすりゃいいだろうというのは、やはり安易だ。その安易さは映画全体に影響していく。
序盤にはジャックがある島に住むカリブ族の祖先ペレゴストス族の族長に祭り上げられる場面があるが、彼らは野蛮な人食いの習慣を持つ人種と描かれている。これは映画のファンタジーに過ぎない、といわれればそれまでだが、カリブ族の人々は祖先がディズニーの映画で野蛮人、人食い族として扱われていることに抗議して脚本の修正を求めたが応じてもらえなかったという。
「島の原住民と揉めて脱出する」という展開だけなら、他にも描きようがあったと思うのだけど……大ヒットファミリー映画の続編にしては脇が甘いのでは?
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