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【シリーズ】令和北海道開拓使

北海道ニセコで地域おこし協力隊からの起業が活発に

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 国内移住して新たな仕事や生活を手に入れる。先行きが見えない日本経済のなかで、これまでとは異なるライフスタイルを確立したいと願う人々が増えるなか、その入り口のひとつとして活用されている制度のひとつが地域おこし協力隊だ。

 近年、外国人観光客に人気のリゾート地である北海道・ニセコ町では、地域おこし協力隊を経て町内で起業する人々が徐々に増え始めているという。ニセコは言わずと知れたスキーリゾートの名所。近年では海外富裕層が土地やコンドミニアムを購買する動きが殺到し、シーズンになるとまるで外国に来たかのような異国情緒に包まれる。そんな“日本の中の外国”で新たな商機とライフスタイルを手にしようという人々が現れはじめている。

「最初に移住してきた人たちの話や生活に触れて、自分たちも移住したいと考える方々が増えていると聞く。また今後、新幹線の開通や冬季五輪誘致の流れに乗って、起業のチャンスが増えるだろうと考えている人もいるようだ。いずれにせよ、ニセコ町や周辺地域が活気づくことはうれしい話」(ニセコ町の近隣に住む住人B氏)

 総務省が発表している「令和3年度地域おこし協力隊の隊員数等について」という資料によれば、北海道は地域おこし協力隊の受け入れ隊員数が821人と、最も多い都道府県だ。同資料が発表された時点での隊員総数は6045人なので、全体の13.7%を占める計算になる。なお2位は長野県(428人)、3位は高知県(255人)となっている。

 ニセコ町にはそのうち29名の隊員がおり、これは北海道内では東川町(51名)に次ぐ第2位だ。なお地元メディアによれば、「ニセコ町が11年度に隊員採用を開始した後、卒隊した37人中18人が町内で起業したという。これは全国治体平均1.6人を大きく上回る数字とされている。なお業種は飲食業、食品製造、事務代行、林業」などで、なかには雪かきや清掃の委託を受けるサービス事業者もいるという。

 現在、リクルートなどの人材大手もニセコには注目している。2022年には同町商工会と連携して、人材採用&移住定住推進プロジェクトを始動することになった。ニセコ町の広報資料によれば、「コロナ収束を見据えてリゾート施設を中心に求人が急拡大。令和3年度の求人倍率は、全国平均1.05倍に対して、ニセコ町が含まれる岩内管内は1.10倍で、札幌(0.98倍)よりも多い倍率」だったそうだ。そもそも、ニセコ地域は道内でも有効求人倍率が高く、過去には冬季サービス業の有効求人倍率が4.56倍にまで跳ね上がったり、なかには時給3000円の求人情報も散見されたという。

 最近では、地域おこし協力隊で地方以上したものの、失敗してしまったというケースも聞かれる。北海道の場合、業種によっては夏と冬でビジネスモデルの違いを余技なくされるため、起業する際にはアイデアが必要となるだろう。地の利や気候の違い、シーズンを通した人流を理解するためにも、地域おこし協力隊などの社会インフラを活用することはとても有用だ。

 移住やリゾート起業で生活の質が一気に向上した――そんな実例がでてくることを期待したい。

 

 

河 鐘基(ジャーナリスト)

リサーチャー&記者として、中国やアジア各国の大学教育・就職事情などをメディアで発信。中国有名大学と日本の大学間の新しい留学制度の設置などに業務として取り組む。「ロボティア」「BeautyTech.jp」「Forbes JAPAN」など、多数のメディアで執筆中。著書に「ドローンの衝撃 」(扶桑社新書) 「AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則」 (扶桑社新書)、共著に「ヤバいLINE 日本人が知らない不都合な真実」 (光文社新書)など。

Twitter:@Roboteer_Tokyo

はじょんぎ

最終更新:2023/01/31 08:00
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