のだめ? 韓ドラ? 門脇麦×田中圭『リバーサルオーケストラ』は“既視感の嵐”を超えられるか
#日本テレビ #リバーサルオーケストラ
門脇麦が主演する日本テレビ系水曜ドラマ『リバーサルオーケストラ』が11日よりスタートした。元天才ヴァイオリニストと変人マエストロが地元のポンコツオーケストラを立て直すという“一発逆転の音楽エンターテインメント”を謳う同ドラマだが、先行きはあまり芳しくないようだ。
『リバーサルオーケストラ』第1話の世帯平均視聴率は6.8%、個人視聴率は3.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。同枠のドラマで初回の世帯視聴率が7%台を切ったのはこの20年で史上初めて。水曜22時台の視聴率争いは、テレビ朝日の『報道ステーション』が世帯2ケタ台で圧勝しているほか、ネットでの反響も大きいTBSの『水曜日のダウンタウン』などの強豪が並び、日本テレビの水曜ドラマは、2021年7月期の『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』を除いて、この2年以上も世帯視聴率の全話平均ひとケタの作品が続いている。
それでも『ハコヅメ』のようなヒットや、2021年12月度ギャラクシー賞月間賞に輝くなど高い評価を集めた『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』といった作品も生まれており、門脇麦の民放ゴールデン・プライム帯連続ドラマ初主演となる『リバーサルオーケストラ』にも期待は寄せられていた。
だが、そのあらすじや設定から、放送前から“作品の類似”が指摘されるという“逆風”が吹いた。『リバーサルオーケストラ』は、『最愛』『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)などを奥寺佐渡子と共同で手がけてきた清水友佳子単独脚本のオリジナル作品だが、人気マンガの実写化作品となったフジテレビ系月9ドラマ『のだめカンタービレ』(2006年)や、韓国ドラマ『ベートーベン・ウィルス』(2008年)などの名を挙げて、“パクリではないか”などと騒がれたのだ。
完璧主義のエリート指揮者と天才演奏家の組み合わせという点では『のだめカンタービレ』、市職員が傲岸不遜な指揮者とオーケストラ立て直しを図るという点では『ベートーベン・ウィルス』と似ていると言えなくもない。が、この手の“オーケストラ再建モノ”は多く存在し、人によっては、松坂桃李演じるヴァイオリニストと西田敏行演じる指揮者がメインの映画『マエストロ!』(2015年)などを思い出す向きもいる。また、オーケストラに限らなければこうした“一発逆転の音楽エンターテインメント”はさらに数が多く、ある種の定番といえる。『リバーサルオーケストラ』は、『のだめ』とも『ベートーベン・ウィルス』とも『マエストロ!』とも設定や展開が異なり、あらすじだけを見てパクリと言うのはお門違いだろう。
だが、初回放送を見るかぎり、そのストーリー展開は既視感が強い。主人公・谷岡初音(門脇麦)はかつては神童の名を欲しいままにしていた天才ヴァイオリニストであるものの、10年前の出来事をきっかけに表舞台を去り、地元の広報広聴課の職員として働きながら、ヴァイオリン教室でこっそり指導している。妹の奏奈(恒松祐里)は姉がヴァイオリンを辞めた原因が自分の持病にあったことに責任を感じており、また演奏してほしいとの思いを抱いていたことを知って、初音はふたたびヴァイオリン演奏に向き合うことに。その初音をポンコツオーケストラのコンマスに抜擢する常葉朝陽(田中圭)はドイツで指揮者として活動していたが、市長である父親・常葉修介(生瀬勝久)に母親が倒れたと騙される形で帰国、地元オーケストラの再建をなかば強引に引き受けさせられる。地元オーケストラの楽団員は遅刻したり、パート譜を忘れたりとやる気がなくのほほんとしており、実力も「最低」だが、しかし弾く音は「悪くない」というところから再建は始まり……。
正直言ってストーリーは“既視感の嵐”であり、相当にベタとも言えるが、見どころはやはり演奏シーンだ。俳優陣はそれぞれ演奏や指揮の練習を何カ月もして準備を進めており、第1話の終盤、初音と音を合わせていく場面は音楽ドラマならではの快感があった。楽団員たちを演じるのは、瀧内公美、坂東龍汰、濱田マリ、平田満、前野朋哉ら。ドラマの脇を固めるほかのキャストも、永山絢斗、恒松祐里、岡部たかし、津田健次郎、原日出子、生瀬勝久、石野真子、 奥貫薫、利重剛など実力派ぞろい。最後の門脇麦と恒松祐里の姉妹の言い争う場面も、いいシーンだった。演奏シーン以外でも“見せる”ドラマでもある。
視聴率だけでなくTVerのお気に入り登録者数も伸び悩んでおり、TVer総合ランキングでもふるわないなど、いまひとつ話題に欠ける『リバーサルオーケストラ』だが、今後の展開によっては“化ける”可能性もある。ドラマ自体も“一発逆転”劇があることを期待したいが、はたして……。
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