『ぽかぽか』の『いいとも』っぽさ、お笑い生態系への影響は
#テレビ日記 #ぽかぽか #ウエストランド #マルコポロリ!
ハライチ・岩井「やっぱ『いいとも』みたいにしたいってことなんですかね?」
先週から放送が始まった『ぽかぽか』(フジテレビ系)。ハライチの2人(岩井勇気、澤部佑)と神田愛花がMCの、平日お昼の帯番組である。
『笑っていいとも!』(同前)が終わって以来、この枠は試行錯誤が続いてきたと言えるかもしれない。曜日ごとにMCが変わっていた『バイキング』(同前)は、当初バラエティ色が強い形ではじまったものの、坂上忍の単独MCとなり、次第に時事問題を扱う番組へとシフトチェンジしていった。時事問題を扱うぶん、坂上をはじめとした出演者の言動や番組自体への批判は絶えなかった。『ポップUP!』(同前)は情報番組なのかバラエティ番組なのかどっちつかずの印象があり、どこまで予定通りなのかはわからないが9カ月で放送終了となった。そんななかでの、全編バラエティの『ぽかぽか』である。
現在、約3時間の生放送という長丁場の放送となっている同番組は、実にさまざまなコーナーから成る。どの曜日にも共通のコーナーとしては、ゲストを招いてトークする「ぽいぽいトーク」、都内の肉料理専門店をゲストが巡る「ライオンちゃんと行く!肉食さんぽ」、フジテレビ系列の各局で放送されているローカル番組を紹介する「日本中に知ってほしい!FNSおすすめジモTV」が今のところある。
それ以外の曜日別のコーナーは多種多様だ。先週は、菊地亜美と野呂佳代が平愛梨をゲストに招いてお酒を飲みながらトークしたり、ネコ好きで知られるハライチ・岩井がネコに興じたり、おいしいワンスプーンの料理を食べたり、赤ちゃんのハイハイレースが中継されたり、柔道家の松本薫が手押し相撲対決をしたり、プロレスラーの本間朋晃が最新家電を取扱説明書なしで使えるか検証したり、一般のお父さんが家族のために麻雀牌を積んだりしていた。どれが毎週やるコーナーなのか今のところよくわからないが、放送開始からしばらくは、どれが成功するのかいろいろ試されるのかもしれない。
で、この番組、すでに指摘されていることではあるけれど、全編バラエティのお昼の生放送という点からして『いいとも』を想起せずにはいられない。収録スタジオではないところ(フジテレビ本社7階の屋上庭園にある特設会場)から放送されている点や、視聴者から出演者を募集するコーナーがあったりする点、放送冒頭でゲストを迎えたトーク(「ぽいぽいトーク」)が行われる点も『いいとも』っぽいかもしれない。
あるいは、伊集院光や島崎和歌子といったバラエティ巧者のレギュラーがいる一方、貴乃花光司と河野景子を両親にもつ白河れいだったり、落語家の桂二葉だったり、バラエティ番組での立ち回りが読めない人がレギュラーにいる感じもそうかもしれない。深夜のバラエティ番組で「腐り芸人」と言われていたハライチ・岩井がお昼の顔になっていることは、密室芸で知られていたタモリがお昼の顔になったこととパラレルかもしれない。
もちろんそんな『いいとも』っぽさは、初回(9日)の冒頭、MCの岩井が率先して自虐的に笑いにしていた。
「お客さん入れてこういうスタジオじゃないところでやるっていうのは、やっぱ『いいとも』みたいにしたいってことなんですかね?」
いや、『いいとも』だけではないかもしれない。出演者にはゴリエ(ガレッジセール・ゴリ)がおり、サイコロではなくルーレットを使ってトークをするライオン一社提供のコーナーがある。先週は『アウト×デラックス』(同前)の出演者がロケをするVTRを、マツコ・デラックスと一緒に見る時間があったりした。
視聴率なり人気なりが下降線をたどって打ち切られるバラエティ番組は、最終回が物悲しいとはよく言われるところだ。『ぽかぽか』はそんな最終回を迎えたフジテレビのバラエティの、再生工場のような側面もあるのかもしれない。
――と、第1週を見たときにはそう思ったけれど、さて、これからどんな番組になるのだろう。繰り返しのなかで“おもしろ”は育つ。お笑いビオトープのなかで『ぽかぽか』はどういう位置を占めることになるのか、あるいは『ぽかぽか』が生態系にどういう影響を及ぼすのか。視聴者としてしばらく楽しみにしたいし、そういう楽しみになる番組がこの枠で始まったことが嬉しかったりもする。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事