真似る芸人が続出した笑い飯の衝撃…同じ伏線回収漫才でも麒麟とブラマヨの違い
#笑い飯 #ブラックマヨネーズ #麒麟 #馬鹿よ貴方は 新道竜巳
毎年『M-1グランプリ』がお笑い芸人界に影響を与えます。ウエストランドの優勝で、今年は毒舌漫才がライブで多くみられることが予想されます。『M-1グランプリ』は毎年終了直後から、エントリーライブ(お金を支払って出場する芸人の卵)に出演する芸人さんのネタに大きく影響します。
特に影響したのが、笑い飯の漫才ではないでしょうか。両ボケツッコミの形式が芸人たちの間で衝撃が強く、アマチュア以外でもリスペクトされることで、プロの芸人でも両ボケ両ツッコミの笑い飯が頭によぎるぐらいの表現が多くありました。そして、現在の漫才の基本ベースとすらなっているブラックマヨネーズの漫才構成が、現在の漫才でも多くの芸人に影響を与えています。前半に振っておいた部分が後半にもう一度登場することにより、お客さんの笑いが大きくとれやすいという現象、いわゆる伏線回収。
当時、松本人志と高須光聖のラジオ『放送室』でも大絶賛でした。それが、ブラックマヨネーズ以降の漫才師にさらなる影響を与えました。そして、ブラックマヨネーズのような漫才師も増えました。そこでよく思われるのが、なんで昨年の漫才師を真似るの? ということです。
これは漫才を作るのが上手か下手かで大きく変わってきます。明らかにブラックマヨネーズだなと思われると、パクリとして見られ、興醒めされることもありますが、伏線回収という部分はブラックマヨネーズが作ったものではなく、昔からあったものです。そこを真似てもパクリとは思われません。『M-1グランプリ2001』で初登場した時の麒麟は、完全に伏線回収の形式でした。しかし、ブラックマヨネーズを見て麒麟に似ているなと思った人は誰もいないと思います。
それは、麒麟が互いの喧嘩で漫才を運んでいく演出ではなく、「小説のように漫才をする」という演出がブラックマヨネーズとはまったく違ったからです。ボケ方の演出を自分らしく演出しているため、伏線回収という部分だけが使用されているにすぎません。
ただ、ブラックマヨネーズの優勝から伏線回収がネタに入り込むことが圧倒的に多くなったのは間違いなく、それをいかに自分のものにするかが醍醐味になってきているようにも感じます。エントリーライブになると、ブラックマヨネーズをリスペクトしすぎて2人が喧嘩をして伏線回収し、片方が相方を叩く描写まで真似てしまったりする芸人もいます。そうすると、偽物ブラックマヨネーズとしての印象が強くなり、お客さんもさほどついてきません。
後に和牛のM-1グランプリでの活躍で、伏線回収がより芸人の間で広がりました。和牛はコントの中で非常に演技力の高い表現によって引き込み、絶妙のタイミングで伏線回収があります。そして、それを引き継ぐかのように昨年の『M-1グランプリ2022』でカベポスター、ロングコートダディ、オズワルド、さや香、などなどが伏線回収を各々で表現されて、非常にレベルの高い闘いだったと評判も上々です。
この流れで見ると、麒麟→ブラックマヨネーズ→和牛→オズワルド、が似ていると思う人はほとんどいないでしょう。これは似ているというよりも漫才の進化の過程で徐々に表現が巧みになり、オリジナリティの高い中で伏線回収「も」使用されているといった方が正しいかもしれません。歴史は引き継ぐものであり、その途中経過である芸人の漫才はいろいろな表現があり、パクリもいればオリジナルもあり、影響を与える漫才もあれば軽蔑される漫才もあります。
歴史のバトン渡しの役割を現在の芸人がしていると考えると、進化の過程で昨年の漫才師を真似るという部分は大事だということです。そして、漫才を作る上で上手か下手かで、見え方がまったく変わってくるということです。また、現代の漫才の流れが見えてくれば、そこをまったく違う演出で挑戦すると、よりインパクトが高くなり、ハマると大爆発を起こすのです。それがウエストランドでもありました。
ウエストランド、M-1優勝後も“応援されづらい”事情と、それも追い風になる理由
『M-1グランプリ2022』の優勝はウエストランドで幕を閉じました。M-1優勝者は人気者への階段を確実に登れるはずなのですが……。M-1グランプリの公式チャンネルの漫...サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事