ウエストランド、M-1優勝後も“応援されづらい”事情と、それも追い風になる理由
#M-1グランプリ #ウエストランド #馬鹿よ貴方は 新道竜巳
『M-1グランプリ2022』の優勝はウエストランドで幕を閉じました。M-1優勝者は人気者への階段を確実に登れるはずなのですが……。M-1グランプリの公式チャンネルの漫才動画では、圧倒的にさや香が上回っています。昨年のM-1グランプリの注目ポイントは、さや香の1本目のネタ、そしてヨネダ2000もウエストランドの漫才と同じぐらいの再生数になっています。これはなぜか?
もともと、M-1グランプリは準優勝に注目が集まってしまうことが時々あります。それは、準優勝は優勝ではない分、応援しがいがあるという人間の心理なのかもしれません。いい闘いをしたからこその応援心なのかもしれません。
過去の大会で準優勝が目立った年を挙げてみると、こんな感じになります。2003年の優勝はフットボールアワー、準優勝は笑い飯。2004年は優勝アンタッチャブル、準優勝南海キャンディーズ。2008年は優勝NON STYLE、準優勝オードリー。2010は優勝笑い飯、準優勝スリムクラブ。2016年は優勝銀シャリ、準優勝和牛。2020年は優勝マヂカルラブリー、準優勝おいでやすこが。
なぜか準優勝者が優勝よりも評判が高くなってしまうことがあるのが、M-1グランプリの特徴でもあります。当然、優勝者も十分な評価と仕事の増加はありますが、売れるなら準優勝の方がおいしいとまで言われることも少なくありません。近年のM-1グランプリは決勝に進出すればもれなく多くの番組に出られる傾向がありますが、ここで優勝のウエストランドを差し置いてさや香が圧倒的に売れるとは考えづらい。
そして、ウエストランドを応援しづらい理由として、現代の漫才としての形とは程遠く、毒を言い続けることに対して視聴者がまだついていけてないということもあるかもしれません。そのぐらい意外な表現での優勝でもありました。一般の視聴者の中には「応援していいの?」と周りをうかがいながら、応援する芸人を選ぶ人もいます。プロの芸人がラジオなどで褒めたりするのを聞いて、納得して応援し始める人もいます。
これから時間とともに世間は慣れてくるはずなので、間違いなく結果的に応援されることにはなると思います。ただ、心理としては準優勝のさや香に「来年こそ優勝してね」という気持ちになってしまったことはあります。さや香は若さと清潔感からも、多くの人に応援されることは間違いないです。近い将来、和牛やオズワルドのようなM-1グランプリ常連になり、超人気者になるかもしれません。
そして、今年のウエストランドは応援されなければされないほど、芸風としてやりやすくなり、より仕事を取ってきやすくなります。ウエストランドは卑屈な漫才師という芸人で、相方がミスをすればそれがしゃべるネタになり、タイタンがキュウを応援すれば、それがしゃべるネタになります。そういう意味では、存分にさや香、ヨネダ2000を応援することをおすすめします。
M-1グランプリ2022のウエストランドはとてもおもしろかった。等身大のキャラクターを最大限まで引き出し、現代の笑いのタイプと逆に進んでいた中で優勝したのが素晴らしかった。そして、普段あまり漫才に参加されてない河本太の扱いも申し分なかった。また、普段漫才で感情のまったくない河本太の感情が優勝とともに爆発し、涙があふれてきたのも、最高のものを見た気持ちにさせてくれました。2022年のM-1優勝は、ウエストランドのほかはありえないとすら思わせてくれました。
『M-1』というフィールドで、ウエストランドの“悪口”漫才に私たちが笑ったものは
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