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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 『エンドロールのつづき』とインド映画のこれから
パン・ナリン監督インタビュー

ほぼ実話!『エンドロールのつづき』が描いた過去と現在、そしてインド映画のこれから

インド映画市場の“新たな始まり”

 パン・ナリン監督の言うように、インドの映画市場は自国の作品が強い傾向にある。22年に公開されたインド映画の公開初週の興行収入としては『RRR』が4200万ドル、『K.G.F.チャプター2』が4000万ドルという成績を叩き出している。ハリウッド大作『ソー:ラブ&サンダー』や『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が1250~1270万ドル、『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』が1700万ドルなので、約2~3倍の数字だ。ただ、数年前に比べても、国外の作品も少しずつインド映画の成績に近づいてきている。

 マーベル映画ファンがそれなりにいて、なおかつ映画料金も圧倒的に高い日本での『ソー:ラブ&サンダー』の興行収入は1190万ドル程度。人口の違いも大きいが、インドと日本の映画市場規模の違いを感じずにはいられない。ハリウッドが今後、インド市場を重視しようとするのも自然な流れだろう。

 本作でとても印象に残ったのが、大量のフィルムや映写機が工場でリサイクルされていく様子が映し出されているシーン。このシークエンスにはセリフもなく、まるで隕石が衝突して世界が終わるかのような演出がされている。「ひとつの世界の終わりは、また新たな世界の始まり」というように、意識を切り替えることで前に進むことも大切だ、というメッセージにも思えた。まさに、インド映画業界の現在のように。

 パン・ナリン監督は生粋の映画マニアということで、随所にさまざまな作品のオマージュが張り巡らされていたり、多くの懐かしいインド映画のシーンが使用されていたりなど、映画好きであれば、そういったオマージュや懐かしい映像を観るのも楽しい作品だといえるだろう。

 

『エンドロールのつづき』は1月20日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネリーブル池袋ほか全国にて公開。

バフィー吉川(映画ライター・インド映画研究家)

毎週10本以上の新作映画を鑑賞する映画評論家・映画ライター。映画サイト「Buffys Movie & Money!」を運営するほか、ウェブメディアで映画コラム執筆中。NHK『ABUソングフェスティバル』選曲・VTR監修。著書に『発掘!未公開映画研究所』(つむぎ書房/2021年)。

Twitter:@MovieBuffys

Buffys Movie & Money!

ばふぃーよしかわ

最終更新:2023/02/24 11:39
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