トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『座王新春SP』で最高に輝いたアルピー平子

『座王 新春SP』で最高に輝いたアルピー平子、「平子り」を超えてバチバチ勝負

『座王 新春SP』で最高に輝いたアルピー平子、「平子り」を超えてバチバチ勝負の画像1
番組公式サイト」より

アルピー・平子がジャイアントキリング!

 連日続いた年始特番のなかでも、もっとも見ごたえがあったと言えたのが、2023年1月2日に放送されたカンテレ(関西テレビ)制作『笑いの総合格闘技!千原ジュニアの座王 新春SP』だろう。

 2017年10月より始まった同番組は、出演芸人たちがイス取りゲームをおこない、座れなかった芸人がイスに書かれたお題と相手を見て、ネタバトルを挑むというもの。お題は「大喜利」「モノマネ」など定番ものから、マネキンに口づけをしながらボケる「キス」や、深々と頭を下げる理由で笑いをとる「土下座」といったトリッキーな内容まで揃っている。芸人たちが頭を振り絞ってネタを繰り出すところが観ていておもしろい。

 関西で放送されているレギュラー放送の『座王』で強さを誇っているのが、「座王の鬼」の異名をとる西田幸治(笑い飯)、100勝以上している芸人に与えられる「ゴールドビブス」を所持するR藤本や堂前透(ロングコートダディ)だ。全国放送された過去の『新春SP』(その年、最初の座王が決まる回でもある)でも、2019年・2021年・2022年は西田、2020年はR藤本が優勝。今回も彼らが本命視されるのは当然だった。

 しかし、『ワールドカップ』の日本代表のようにジャイアントキリングを成し遂げたのが平子祐希(アルコ&ピース)である。平子は「座王を獲って『ポップUP!』(フジテレビ系)を復活させる」と、放送が終了したばかりのレギュラー出演番組のタイトルを挙げて息巻き、そのまま座王の座を手に入れたのだ。

「平子り」ではなく、平子のバチバチな勝負が見られる『座王』

 平子は自身の初戦、イスに座れなかった。そこで指名したのが、誰もがいきなりの対戦は避けるであろう「座王の鬼」。「正月、いっぱつ鬼退治としゃれこみましょうや」と挑発する平子に対して、西田は「おせち感覚でいただくとしますか」と軽くいなした。

 ただ振り返れば、2022年3月25日放送回でも両者は番組史上初の6連続ドローという接戦を演じ、MCの千原ジュニアから「敗者なき戦い」と評されたほど(勝者は西田)。西田相手に大番狂わせを繰り広げてもおかしくはなかった。

 ちなみに2022年3月25日放送回には、『M-1グランプリ2010』王者の笑い飯の西田ほか、『キングオブコント2021』準優勝の男性ブランコ、『R-1グランプリ』の2021年・2022年準優勝のZAZYなど近年の賞レースで結果を残した若手が揃っていた。アルコ&ピースも『THE MANZAI 2012』3位、『キングオブコント2013』7位など実績を残しているが、近年の『M-1』『キングオブコント』は未参加や準決勝敗退が続いている。そのせいか平子のなかには期するものがあったようで、「一ネタ、一ネタが賞レースの決勝だと思って挑めよ」と気合十分の「平子り」(痛いことや自分を格好良く見せるなどの吹かす芸風)を見せていた。しかし西田との6連続ドローは、「平子り」という芸風に収まらない名勝負だった。

 2022年1月2日放送『新春SP』でも平子は、同回審査員の松本人志(ダウンタウン)に対してメンチを切りながら喧嘩を売る一言を吐きつける「メンチ対決」で、粗品(霜降り明星)とベストバウトを披露していた。

 他番組では、「平子り」は吹かすという芸風にとどまる。でも、こと『座王』においてはその「平子り」が単なる「平子り」では終わらない。そのキャラクターが、『座王』のネタ勝負のなかでは存分に生きるのだ。平子は、お笑いシーンではすでに自分のポジションを確立し、「平子り」というある意味、安定した芸風でウケが狙える。ただ『座王』は、そういった「芸風」ではなく、バチバチの「ネタ勝負」でやり合う平子が見ることができる。現在では稀有な番組の一つなのである。

12
ページ上部へ戻る

配給映画