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フジ新番組『ぽかぽか』も『ラヴィット!』的大喜利を? 先行き不安な初回放送を徹底鑑賞

フジ新番組『ぽかぽか』も『ラヴィット!』的大喜利バラエティー? 神田愛花、ハライチへの負担が大きすぎるの画像1
『ぽかぽか』(フジテレビ系)

 フジテレビ系のお昼の帯番組『ぽかぽか』(毎週月曜~金曜、午前11時45分~午後2時45分)が1月9日にスタートした。視聴者からの支持を得られず、わずか9カ月で終了した前番組『ポップUP!』と変わって、前々番組の『バイキング』や往年の名番組『笑っていいとも!』などを手掛けたフジテレビのバラエティ班が制作する『ぽかぽか』だが、その内容はどうだったのだろうか──?

 ハライチと神田愛花アナをメインMCとして、曜日ごとのレギュラーが参加する『ぽかぽか』。初回では月曜レギュラーである伊集院光、白河れい、そして進行役の岸本理沙アナが登場した。

 番組は複数のコーナーで構成され、前半ではゲストを呼んでトークする「ぽかぽかトーク」のコーナーが展開。初回には、北川景子と山田裕貴が登場した。ある構成作家はこう話す。

「ハライチ岩井さんと神田アナがフリップにテーマを書いて、それについてトークするという流れがあったんですが、岩井さんと神田アナが大喜利のような感じでフリップを出していて、『ラヴィット!』(TBS系)に通ずるような、生放送バラエティのトレンドを感じました。

 ただ、『ラヴィット!』では毎日人気若手芸人が多数登場し、それぞれが大喜利を繰り広げていくのに対し、『ぽかぽか』での回答者は岩井さんと神田アナのみ。進行する澤部さんも含めて、3人の負担があまりにも大きいように見えました」

 その後、20歳を迎えたラッパーが母親に感謝のラップを披露するコーナーも行われた。

「いわゆる“素人参加”のコーナーで、まさに『笑っていいとも!』の空気を感じさせるものです。完全な素人ではなく、ラッパーとして活動している人を出したのは、出演してくれる素人を探す時間が足りなかったからでしょう。あるいは、完全な素人を生放送に出すリスクを考慮したのかもしれませんね。

 10日には、“暇すぎる人”が出てくるコーナーをやっていましたが、そこでも売れていない若手芸人や『ポップUP!』のMCだった山崎夕貴アナが出ていました。つまり、単純な素人に任せるのではなく、スタッフがおもしろいキャストを探さなければならないということでもあり、そのあたりはスタッフに対する負担が大きいかと思いますね」(同)

 その後、村重杏奈によるグルメロケや、菊地亜美と野呂佳代がゲストを呼んでトークするVTRなどのコーナーに突入する。

「VTRコーナーは、よくある情報番組と変わらないもの。3時間の生放送を埋めるには、こういったものは不可欠です。視聴者としてもいろいろ作業しつつ“ながら見”をしている時間帯でもあるし、こういう緊張感のないコーナーも重要なんですよね。ただ正直なところ、こういったVTRコーナーで視聴者の心を掴むのは不可能。インパクトがないので、流し見されて終わってしまいます」(同)

 朝のバラエティ番組として、ハードコアなお笑いファンからも支持されている『ラヴィット!』にも、同様のVTRコーナーはある。

「『ラヴィット!』の場合、ロケも基本的に若手芸人がメインということもあり、企画自体がユルくても、本人たちが積極的にボケていくので、それなりにおもしろくなる。さらにいえば、スタジオにはたくさん芸人がいるので、VTRを受けていろいろとイジってくれる。流し見されるような企画であっても、お笑いとしてレベルの高いものになるのが『ラヴィット!』です。

 でも現時点での『ぽかぽか』のVTRは“企画ありき”のもので、必ずしも大喜利的なパッケージになっていない。VTR出演者が芸人ではないということもあるんですが、VTRがスベってしまうと、そこで終わりになる可能性が高い。こういったVTRコーナーの場合、企画を考えて編集するスタッフへの依存度が高く、これを帯番組で毎日作っていくのは大変です」(同)

 番組の終盤には、地方局のローカル番組を紹介するコーナーが組み込まれており、サガテレビで放送されている『どぶろっくの一物』をそのまま放送。さらに、番組の最後には、4月から『ぽかぽか』の放送時間が3時間から2時間に短縮されるとまさかの発表がされた。

「本来、帯番組が編成されるのは4月期であり、『ぽかぽか』が1月スタートになったのは異例のこと。つまり、『ポップUP!』があまりに不評だったので、前倒しで『ぽかぽか』が始まったということでしょう。ほかの番組の編成も間に合っていなかったので、とりあえず『ポップUP!』の枠をそのまま引き継いで、3時間で放送したというのが実情でしょうね。地方局の番組をそのまま流したのも、3時間の枠を埋められなかったからに見える。まさに、突貫工事で始まった番組なので、いろいろと大変そうですよ……」(同)

 今後『ぽかぽか』が躍進していくには、MC陣とスタッフへの負担を減らすことが重要だという。

「『笑っていいとも!』でも『ラヴィット!』でもそうですが、基本的に曜日ごとにたくさんの芸人たちがレギュラー出演し、その人たちが毎回、大立ち回りをする。MCが黙っていても、番組は盛り上がるようなシステムになっているんです。

 さらにいえば、コーナーの企画が面白くなくても、芸人たちのフリートークや大喜利力で生放送が成立するような作りにもなっている。『ぽかぽか』の場合、前のめりな芸人がレギュラーにいるわけではなく、結局MC陣の3人が笑いを作っていかなければならない。これを毎日続けていたら、相当疲弊してしまうでしょう。それはスタッフも同様です。

 もちろん『ラヴィット!』との差別化を図る必要もあり、だからこそ若手芸人に依存する方法を選択しなかったという事情もあるのだと思います。それこそ『いいとも!』時代のような素人を巻き込んだコーナーなどは、『ぽかぽか』らしさにつながっていくでしょうし、可能性を感じます。でも、ほぼMC陣3人だけで、そういったコーナーを毎日回していくのはあまりにもハードすぎる。まあ、始まったばかりで手探り状態ではあるでしょうが、MC陣とスタッフへの負担を減らすことを考えていかないと、『ポップUP!』のように短命になってしまいかねません」(同)

 急きょ始まった感は拭えず、まだまだコンセプトが固まりきっていないようにも思える『ぽかぽか』。放送時間が2時間になる4月までは、生暖かい目で見守るべきなのかもしれない。

浜松貴憲(ライター)

1980年生まれ、東京都出身。大学卒業後、出版社に入社。その後、いくつかの出版社を渡り歩いた末に、現在はフリーライターとして、テレビ番組、お笑い、YouTubeなど、エンターテインメント全般について執筆している。

はままつたかのり

最終更新:2023/01/11 13:00
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