山本裕典、誹謗中傷で「東スポとヤフーを訴える」の“先進性”
#山本裕典
俳優の山本裕典が、自身の記事を配信した東京スポーツと、配信先のヤフーを訴えたことが1月4日配信の「弁護士ドットコムニュース」にて報じられた。同記事によれば、山本は、東スポとヤフーがそれぞれ公開・配信した記事により「誹謗中傷を受け、自死まで考えた」とのこと。慰謝料など計220万円を求めて東京地裁に提訴したという。
山本が問題としているのは、2020年7月13日付の<大規模クラスター!山本裕典主演舞台 公演強行の罪『賠償請求されてもおかしくない』>という記事(現在は東スポもヤフーも削除済み)。2社はいずれも「名誉毀損にあたらない」として、請求棄却を求めているという。
山本は06年、『仮面ライダーカブト』にて俳優デビュー。その後バラエティ番組やドラマで順調に活躍するが、女性スキャンダルでたびたび週刊誌を賑わせた挙げ句、17年に所属事務所を解雇された。
それでも俳優として心機一転、再び活動していたところへ、20年5月、新型コロナウイルス感染拡大防止の自粛期間真っ最中にパチンコ店にいたことが「週刊女性PRIME」にすっぱ抜かれ、決まっていたドラマの主演を辞退していた。
東スポが指摘したのは、山本がコロナ陽性発覚前、主演を務めていた舞台『THE★JINRO―イケメン人狼アイドルは誰だ!!―』(6月30日~7月5日、東京・新宿シアターモリエール)でクラスターが発生したことがわかったが、そもそも公演前から体調不良の出演者がおり、主催者側がそれを把握していた可能性が高いということ。
また一部の出演者は終演後の握手にも応じていたらしい、という“舞台関係者”の話に加え、まとめとして「今回の件で山本裕典は業界の信用を失った」という“中堅プロダクション幹部”の話を紹介していた。
これがヤフーに配信されると、まだ東スポWEBの記事にコメント欄があった当時(現在はない)、そこには誹謗中傷が多数投稿された模様だ。山本は、このような記事は「虚偽」であり、クラスターの原因が山本にあるという印象を読者に与え、社会的評価を低下させるなどとしているという。
一連の流れを踏まえ、あるネットメディア編集者はこう見解を述べる。
「たしかに、山本さんの言いたいことはわかります。東スポは、<主演舞台 公演強行の罪~>という見出しにしてはいますが、記事の締めくくりに業界人の『山本さんが信用を失った』という話を持ってくることで、読後感として山本さんに責任があったのかも、という印象がいやでも残る。東スポとしては、あくまでも業界人の見方を紹介しているだけと、うまく逃げ道を作っている書き方ですね。
でも今回山本さんがもっとも言いたいのは、陳述書にあるという『多くの芸能人がメディアの記事、それが配信されるヤフーニュースに苦しめられている』という部分に尽きるでしょう。
タレントさんたちは常に週刊誌のスクープに晒され、これまでにも週刊誌を相手取った裁判は数多く行われてきましたが、今回も同様の構え、ということですね。ただ、“新しい”のはヤフーのようなポータルサイトや、それに紐づくコメント欄の責任の所在です。昨今、SNSに寄せられる誹謗中傷については多くの著名人が法的手段に出ることを表明するようになっており、実際に処罰が下るケースもある。
ヤフーは、昨年11月からコメント投稿には携帯電話番号の設定を必須にするなど、コメント欄の“健全化”に躍起になっていますが、どこまで効果があるのか。いっそコメント欄をなくせばいい話ですが、コメント欄によってサイトが活性化する側面があるので、やめられないのでしょうね」
つまり山本は、“ネットニュース相手にも、声をあげるぞ”という姿勢を示したということか。
なお、裁判ウォッチャーで知られる芸人・阿曽山大噴火によれば、昨年10月の本人尋問は「傍聴券32枚で傍聴希望者16人の定員割れ」だったという。また冒頭で触れた弁護士ドットコムニュースのヤフー配信についたコメント数は、4日公開後6日までに37という少なさだ。
小さな声だとしても、誰かがあげねば何も始まらないのは確か。判決は、今年3月に明らかになるという。
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