木村拓哉と明石家さんまの普通なようで普通じゃない会話を分析―『さんタク』の驚異
#木村拓哉 #明石家さんま #馬鹿よ貴方は 新道竜巳
『さんタク』は毎年元日に放送される2時間の特番。今年で21回目になる。明石家さんまと木村拓哉のお二人が、スタジオにぽつんと並んだ椅子2つに座り、雑談から始まる。
木村拓哉の「寒いですね」と誰もが口にする、本来は取れ高のまったくない世間話から始まる。しかし、木村拓哉がスターすぎるがゆえに、受け取る側は鮮度を感じてしまう。意外にあまり聞いたことのない木村拓哉の「寒いですね」に聞き応えを感じてしまい、引き込まれてしまう。
昨年どうだったかの話をされ、お互い売れっ子のため、飛び出してくる発言に注目してしまう。普通なようで普通じゃない2人の会話。テレビを買っただけの話が出ても、普通の人だったら何でもない話が、明石家さんまのテレビを買った話は気になってしまう。
「ちなみに明石家さんまさん家のテレビって何インチですか」という木村拓哉の質問にどんどん展開して、サボテンが昔流行っていた話などになる。また、木村拓哉の立ち振る舞いが絶妙で、イメージを一切崩さない。自然体かつどんな人にも物怖じせず、自分の世界観がしっかりある。明石家さんまと話すときは一見ズケズケと話し、失礼な感じもあるが、随所にリスペクトがあり、俺達ひょうきん族世代でブラックデビルのファンだったことを告げたりする。
非常に品のある立ち振る舞いの中、明石家さんまを引き立たせ、自分は出しゃばらず聞き役になる。この2人の要点を抑えたトークが自然で面白く、ずっと聞けてしまう。
「去年のさんタクは12回見た、サッカーのシーンはね」という明石家さんまの自分好きすぎる部分も安定していた。話が横道に逸れ、宮迫博之が芸能界を「ホップステップドロップした」と談笑する。木村拓哉が「ぎふ信長まつり」に参加した時、人口が40万人のところ96万人オーバーしたという異常な集客力があった話。スタジオにコーヒーを出す人も、21年間同じ人が出演しており今年も緊張して手が震えるところを明石家さんまがイジった。何度会っても緊張してしまうのが、明石家さんまと木村拓哉というスターであることがうかがえた。
奄美大島に別荘を買うかどうかの話になり、現地に向かう。木村拓哉が運転する車に明石家さんまが乗って目的地に向かう絵が、とても見応えがあった。すれ違った運転手は8度見してしまうかもしれない。そういう意味では、スターは日常生活もままならないなと思ってしまう。
スーパーで食材を買って外で焼きそばを作るシーンがあり、普通の行為も木村拓哉がやるととんでもない取れ高になってしまう。一般の心理としては「木村拓哉が焼きそば食べるんだ」という部分もあるが、それどころか、その焼きそばを木村拓哉が作るシーンに目が離せない。麺をほぐすときに木村拓哉が「本当は水じゃなくてビールでやるとうまいんだよね」と独特な料理方法を言っていた。
そして、明石家さんまが元気すぎる。バーベキューの後ゴルフをやり、サーフィンにまで挑戦し、現地の子供と交流する。明石家さんまは今年67歳だ。「将来何をやるの?」という質問に、現地の子供が「何にもやらない」と答え、明石家さんまの「正解。将来何にもやらない、一番良い人生かも」という言葉に、何かすごくいろいろ考えさせられてしまった。番組終盤、奄美大島の透き通った海に、映画を見ているような不思議な感動を持ってしまう。今年も多くの番組で活躍するお二人の姿を見逃せない。
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