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日本が貿易、16カ月連続赤字で貿易赤字国に転落、23年に黒字化厳しく

日本が貿易、16カ月連続赤字で貿易赤字国に転落、23年に黒字化厳しくの画像1

 日本が貿易赤字国に転落している。財務省が12月15日に発表した11月の貿易統計速報によると、16カ月連続の貿易赤字となった。年間の貿易赤字額は18兆5000億円を超えた。日本は貿易黒字国に復帰することができるのだろうか。

 11月の貿易統計速報によると輸出額は前年同月比20.0%増の8兆8375億円、輸入額は同30.3%増の10兆8649億円となり、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2兆274億円の赤字だった。貿易赤字額は11月としてはこれまで最大だった13年11月を上回り、比較可能な1979年以降で最大の赤字となった。

 貿易収支は21年8月に6634億円の赤字に転落して以降、赤字が続いている。特に、22年に入って5月以降は毎月1兆円以上の赤字が継続しており、21年の年間貿易赤字額が1兆423億円だったのに対して、22年は11月までに累計で18兆5123億円の赤字となっている。(表1)

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 貿易赤字拡大の背景には、輸入全体の30%弱を占める鉱物性燃料の価格上昇がある。11月速報でも、原油および粗油は前年同月比69.7%、石炭は同106.8%、液化天然ガスは同51.9%も輸入額が増加している。

 21年1月以降の輸入貿易指数(15年=100)を見ると、輸入数量はほぼ横ばいでありながら、輸入金額が大きく上昇していることがわかる。特に、21年7月から輸入金額が増加し始め、同年12月からは輸入金額は大きく増加している。これは、輸入数量が横ばいであるにもかかわらず、価格上昇によって輸入額が大幅に増加していることを表している。(表2)

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 価格上昇に加えて、為替円安の進行が輸入額を押し上げる容易にもなっている。貿易統計のベースとなる税関長公示レートの平均値で見ると、21年1月に1ドル=103円半ばだった為替レートは、同年10月には1ドル=111円台半ばと約8円も円安が進行した。その後も急激な円安が続き、22年11月には1ドル=146円半ばまで円安が進んだ。21年10月から1年で約35円、21年1月からの約2年で43円も円安が進行したことになる。

 これに伴い、21年1月には90.4だった輸入価格指数(2015年=100)も、21年4月に100を上回り、22年7月には154.3と150を上回り、10月には164.7まで上昇した。(表3)

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 貿易立国を誇り、貿易黒字を続けてきた日本が貿易赤字に転落したことは、日本の経済力、国力という点からは大きな意味を持つ。果たして、日本は貿易黒字国に復帰できるのだろうか。

 現状では、22年が貿易赤字年となることは間違いない。ただ、すでに為替円安の動きに歯止めがかかり、為替レートが徐々に円高方向に振れていることや、原油や天然ガスの価格がピークアウトしていることから、どうやら貿易赤字の拡大にも歯止めがかかりそうな状況だ。

 しかし、貿易黒字への復帰には懸念材料がある。11月速報で輸出金額は21カ月連続で増加となったものの、輸出数量は2カ月連続で減少となった。21年1月からの輸出貿易指数(2015年=100)を見ると、価格指数は緩やかに上昇を続けており、価格上昇に伴って輸出金額は増加を続けているものの、輸出数量指数は21年12月の142.3を直近のピークに22年1月には87.3と大幅に下落し、その後も上昇できずに底這った状況が続いている。(表4)

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 従って、為替円安やエネルギー価格の上昇に歯止めがかかっていても、貿易黒字への復帰には輸出数量が回復していくことが必要となろう。だが、ここのところ米国を中心に景気減速懸念が強まっており、23年に日本が貿易黒字に復帰するのは厳しい状況になりそうだ。

 

 

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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最終更新:2023/01/07 21:00
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