「THE SECOND」は本当に地獄を味わってきたベテラン芸人にチャンスはあるのか?
#M-1グランプリ #THE SECOND #檜山豊
現在、日本にはお笑い芸人が競い合う大きな賞レースがいくつかある。
日本一の若手漫才師を決める「M-1グランプリ」。コント日本一を決める大会「キングオブコント」。女性芸人のナンバーワンを決める「女芸人№1決定戦 THE W」。一人芸で誰が一番面白いのかを決める「R-1グランプリ」。
そして2023年、新たな賞レースが産声を上げる。それはフジテレビが開催する、実力派漫才師たちに新たなチャンスを与えるコンテスト「THE SECOND~漫才トーナメント」(仮)だ。
漫才の大会といえば「M-1グランプリ」があるが、この新たな賞レースの最大の特長は、参加資格が「エントリー時点で結成16年以上」というもので、芸歴によってM-1グランプリに参加することが出来ない漫才師たちをターゲットにした大会となる。
すでにエントリーの受付は開始されており、2月から予選がスタートとなっている。今出ている情報をまとめると、先述したようにエントリー資格が「結成16年以上」、さらに「即席ユニット、アマチュア不可」という条件もあるので、プロとして同じコンビで16年以上漫才をしている芸人限定というは、他の大会に比べるとあきらかに門戸が狭い。
しかしこれだけしっかり実力のあるプロ中のプロ芸人以外は受け付けないというのは、生粋のお笑い好きからするとたまらない条件である。
そして各出場者のネタ時間は「6分」となっており、今ある既存の大会よりも長尺のネタを披露することが出来る。僕も漫才をやっていたのでわかるのだが、6分という時間は漫才本来の面白さを引き出すには最適の長さだ。既存の大会のように少し短い漫才だとアドリブを入れることが難しく、どうしてもコントのように一言一句決まっている漫才が多くなってしまうが、6分もあれば漫才の醍醐味であるアドリブを入れることが可能となる。
漫才師が舞台に登場してまず最初に行うのは、笑いやすい雰囲気にする為の空気作りをしながら、自分たちのキャラ紹介だ。ある程度コンビの自己紹介が済み自分たちのキャラを浸透させたら、お次はネタの本題に入る。笑いを取りながらネタの流れやシステムを説明していき、そして会場の空気感を読みながら、時にはアドリブを入れたりして、ネタに新鮮味を持たせて時間と共にネタのスピード感を加速させていく。緩い登り坂のような曲線から、オチに向かって笑いを急上昇させていき、会場のボルテージが上がり切ったところでオチ。一気にネタを収束させるのだ。そして爆笑の余韻と共に舞台袖にはけていくというのが、基本的な漫才の流れで、これを全てやろうとするとどうしても6分くらいはかかってしまうのだ。なのでこの大会の6分というネタ尺は、ずっとお客さんを笑わせる事も出来るが、失敗すると飽きられてしまうという、各々の実力がはっきりと現れる尺である。ある意味、漫才師の逃げ場を無くし、何の言い訳も出来なくする恐怖の時間とも言えるだろう。
参加資格、ネタの長さだけでも、今大会の見応えの凄さが伺える。
ちなみに大会のシステムは、まずは予選会を行い、本選トーナメントラウンドに出場する32組を決める。そして出場者たちが1対1で勝負する本選トーナメントラウンドを2回行い、5月に決勝進出したファイナリスト8組が一堂に会し、司会に東野幸治さんを迎えて、ゴールデンタイム、全国ネットで決勝トーナメントを生放送する。
とても面白そうで、かなり楽しみなのだが、すでに問題提起する声も上がっている。その問題とは「審査員は誰がやるのか?」というものだ。
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