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2022年のホラー映画を丸ごと振り返る!清水崇監督インタビュー<前編>

『ミッドサマー』のA24作品は質が高いは常識―清水崇推薦のホラー

『女神の継承』『呪詛』に続け!注目の日本のホラー

『ミッドサマー』のA24作品は質が高いは常識―清水崇推薦のホラーの画像3
写真|宇佐美 亮

ーー『女神の継承』と『呪詛』はどちらもフェイクドキュメンタリーで、本当にあった出来事なのかと錯覚させる、映画としてのパワーがありますよね。

清水 「フェイクドキュメンタリーはいい加減やり尽くされているよなあ」と思っていた矢先に、こういうのが出てくると、「まだまだ力がある人がいる」「やればできるじゃん」と思いますね。日本のフェイクドキュメンタリーでは、何と言っても白石晃士監督でしょうね

ーー白石晃士監督作は今年、『オカルトの森 THE MOVIE』が公開されていましたね。

清水 『オカルトの森 THE MOVIE』はおふざけをいれて、単なるホラーと称されることをかわしたような感じもありましたけど、面白かったですね。怖いかと言われれば怖くはないですけど、ああいう楽しみ方ができる作品もあったほうがいいです。白石監督のフェイクドキュメンタリー映画は、やっぱり『オカルト』のようなコメディ要素もありの方向性になっていくのでしょうけど、それはそれで楽しいですから。

 でも『女神の継承』や『呪詛』を観ると「あなたならもっとできるはず!」とも思うんです。実際、フェイクドキュメンタリーなら白石監督に敵う人はいなと思いますし、そういう系統の企画の話が上がると「いやいやそれは絶対に俺じゃないですよ、白石監督の方が絶対に向いています」と思うし、実際にそう言っています。

ーー2022年の日本映画では『きさらぎ駅』も話題になっていましたね。

清水 『きさらぎ駅』は面白かったですね! 特に画調と色合いに「ここまで好き勝手やったんだ」「ここまでやっちゃっても成立するんだ」っていう衝撃がありました。でも、それが現実とは違う異世界にマッチしていました。

清水 実は僕のところにも前々から「きさらぎ駅のネタでできないか」と何度も提案があったんです。人気のある都市伝説なのですが、僕は「いやいや、あれだけで映画になると思います?」ってサラッと流しちゃったんですけど、永江二朗監督はよくぞ、脚色し膨らませていましたね。

 永江監督は『きさらぎ駅』の前にも、2020年に『真・鮫島事件』を手がけていて、室内の画面という制約の中で、よく80分の映画を成立させたと感心しました。おそらく、日本のホラー映画で最初に、コロナ禍なのでマスクをしているという実状況を描いた作品でしょう。主演の武田玲奈さんをはじめ、演技がしっかりできる俳優が揃っていました。永江監督はその後のスマホで撮った短編も、よくできていましたね。

ーー『N号棟』はいかがでしたか?

清水 『N号棟』は団地を舞台にした『ミッドサマー』的な内容で、僕は好きでしたね。かなり支離滅裂でめちゃくちゃな話なんですが、画の魅せ方と演じ手の芝居で持っていっている。『成れの果て』も良かった萩原みのりさんと、筒井真理子さんも素晴らしかった。あれだけ無茶な設定を形にできたのは、俳優陣の力も大きいですね。

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