『芸能人格付けチェック』激戦区の正月ゴールデン帯で高視聴率を獲れる本当の理由
#視聴率 #格付けチェック #アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~
放送作家の深田憲作です。
「企画倉庫」というサイトを運営している私が「あの企画はどこが面白いのか?」を分析し、「面白さの正体」を突き止めるための勉強の場としてこの連載をやらせてもらっています。
今回のテーマは「『芸能人格付けチェック』について」です。
『芸能人格付けチェック』は、テレビ朝日系列で定期的に放送されている特別番組。ダウンタウンの浜田雅功さんがMCで、出演者が高級品か安物かを見分けていくクイズバラエティです。2005年から毎年お正月に放送されており、毎回高視聴率を獲得。GACKTさんが連続正解を続けていることもネットで毎年話題になっており、正月の風物詩と言えるテレビ番組です。
この番組の企画を一行で説明するなら「高級品か安物かを見極める二択クイズ」。こうやって言葉にするとそれほど凄い企画には思えません。ではなぜそれが強豪ひしめく正月のゴールデンタイムで毎回高視聴率を獲得するのか? 考えてみました。
高視聴率を獲る要因として、まず大きいと思うのは「テレビを見ながら老若男女が一緒に予想できること」。これはクイズ番組全般に当てはまることではありますが、特に『芸能人格付けチェック』は、全ての問題が二択クイズで何を当てるのかが明確で明快。子どもでも年配者でも予想できるものばかりです。
私も毎年正月に親戚一同と一緒に見ますが、「これはAでしょ~」「いやBだな」と、大人と子どもが会話しながら楽しそうに予想しています。この「家族で一緒に見られる。そして会話が生まれる」というところが、YouTubeなどには負けないテレビの強み。『芸能人格付けチェック』は、幅広い年齢層の人たちがリビングに集まる正月にピッタリな番組なのだと思います。
そして、予想するクイズが全て「高級品か安物かを見極める」ことに統一されていることもポイントだと思います。普段から高級品に触れているであろう芸能人が不正解して悔しがる様は視聴者にとっては痛快。不正解するたびに「二流芸能人」「三流芸能人」「映す価値無し」といった具合に格が下がっていく仕掛けも楽しい。出演者からは、芸能人のプライドを賭けてクイズに挑んでいる空気が伝わってくるため、正解した時の芸能人は心底嬉しそうで、不正解した時は心底悔しそうに見えます。「仕事としてクイズに取り組んでいる」という空気感はありません。
出演者の喜怒哀楽を表現するうえで、選択肢として選んだ部屋に入り、正解発表で正解の部屋にMCの浜田さんが入るという演出もよく出来ているなと思います。予想した選択肢で空間を分けることによって、同じ予想をした者同士の仲間意識が芽生え、正解発表前に不安を共有したり、正解発表後に喜びや悔しさを分かち合う空間が出来上がっています。
クイズ番組で視聴者が興味を持って見るのは当然ながら「クイズの問題とその正解を発表する時」。出演者はクイズを予想する時間も楽しいと思いますが、視聴者にとっては他人がクイズを予想している時間というのは退屈なものです。だからこそ、多くのクイズ番組は「予想タイム」「出演者の回答が出てから正解を発表するまでの時間」「正解発表してから次のクイズの出題までの時間」をコンパクトに編集し、より多くのクイズ問題を出題していくことで視聴者を飽きさせないようにします。
しかし、『芸能人格付けチェック』はクイズ以外の部分でも視聴者が楽しめる要素がふんだんに詰まっています。今回の正月の放送も4時間の尺で出題されたクイズはたったの6問。6問のクイズで4時間も視聴者を楽しませ続けるというのは驚異的です。
また、この番組でミシュラン店の寿司とくら寿司の寿司を見極められない芸能人を見ることで視聴者は「別に高級店に行かなくてもいいんだ」「所詮たいした違いはないんだ」という安心感も潜在的に持つことが出来ている気がします。とにかく、何から何まで素晴らしい番組だなと思います。それでは今日はこの辺で。
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