『アバター』大丈夫? やっぱり『2』は鬼門! 大ヒット作の大失敗続編たち
#しばりやトーマス
『スピード2』失敗は『ダイ・ハード3』のせい!?
キアヌ・リーブス主演で大ヒットした映画の続編『スピード2』は前作の5倍以上の予算をかけたものの、全世界興行でなんとか利益を出せたズッコケ作。日本では前作の半分以下の数字に終わった。
失敗した最大の理由は主演のキアヌが続投せず、ジェイソン・パトリックに交代したから。ジェイソンはあの淀川長治先生も「モダン・セクシー」と評したぐらいの野性味溢れる男前だが、スマートなイケメンのキアヌとはタイプが違うので、比較すると名前のとおりパッとしない感じが残念。
キアヌが降板した理由は、脚本に納得できなかったからだという。この映画の脚本にはもう一本の「失敗した続編映画」の影響がある――『ダイ・ハード3』という映画の。
『ダイ・ハード3』は客船がテロリストにシージャックされるというストーリーで、同時期に製作されていたセガールの『沈黙の戦艦』にプロットが似ているため、シージャックネタは不採用になり、この原案は『スピード2』に流用されることになった。『ダイ・ハード3』はそんな経緯から脚本が二転三転し、序盤のサイモン・セッズというなぞなぞ遊びは面白いが、後半に至るほどテンションがダダ下がり、シリーズ通してのレギュラーキャラも登場せず、作風が変わりすぎて以降、ダイ・ハードはどんどん無茶苦茶な話になり、つまらなくなっていった。
駄作の脚本を原案にしたところで、名作になるわけがなかった。
前作は止まることができないバスの中でのサスペンスから、爆走する地下鉄のクライマックスというタイトル通りのスピード感溢れる展開がワクワクさせてくれたが、豪華客船を舞台にしたところでスピード感が削がれてしまった。
体内の毒素を出すため、ヒルを自らの身体に貼り付けるという狂気の男を演じたウィレム・デフォーは良かったが、彼の部屋にノートパソコンがあるだけで怪しまれるというのは強引すぎない? 1997年の映画よ。パソコン、別に珍しくないでしょ!
ジェイソンは恋人のサンドラ・ブロックに求婚するかどうかをチマチマ迷っているウジウジ君で、船内のモタモタする展開と相まってイライラさせられる。大体パトリックという名前なんだからパッと告白しろ! パッと!
クライマックスの湾岸住宅に客船が突っ込むスペクタクルシーンは前作のラストを上回る出来で、その後、逃げた犯人をジェットスキーで追いかける段になり、ようやくハイスピードな展開に!この映画、後半だけはそこそこ面白い。しかし興行では苦戦した上、翌年のゴールデン・ラズベリー賞には8部門ノミネートし、ワーストリメイク、続編賞の栄誉(?)に輝いた。
こうしてみると、失敗する続編映画のパターンは決まってますね。製作前の段階でトラブルが起き、前作の良かったところを全部ナシにしたり、スケールダウン、パワーダウンさせる。役者を交代させたり、登場させなかったりして、固定ファンを突き放す。
ヒット作の続編なんだから、ほうっておいても客は観に来るさ、って大甘ですよ。ポンポさんも言ってるでしょ、大勢の人に喜んでもらえるのがいい続編映画だって。大勢の人、この続編じゃ喜ばないよ!
とはいえ、筆者はこの手の「誰が観るんだこの映画」的なダメ続編が大好きなので『プレデター2』や『ブレア・ウィッチ2』、『ミッション・インポッシブル2』、『ハロウィンⅡ』とか、観ちゃうんだなあ。みなさんも見て頂戴!
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