『Number』『笑い神』お笑い本が出版ラッシュ、強まる「笑いは語るもの」傾向
#M-1グランプリ #関西バラエティ番組事件簿
ウエストランドのネタは芸人のリアルな声なのか
賞レースのシーズンにあわせたような、お笑い関連書の出版ラッシュ。その背景には、近年のお笑いはファンをふくめて「語るもの」「知るもの」という傾向が強まっている部分があるのではないか。
『M-1 アナザーストーリー』(テレビ朝日系)が象徴であるように、芸人たちの裏側にある「熱」「想い」を観る者も共有したいと思えるコンテンツに、お笑いがなったと言える。その点では『Number』による「お笑いをスポーツとしてとらえる」という着眼点は絶妙だったのかもしれない。
一見、真反対で遠くの位置にあると思えた「笑い」と「感動/涙」が、実は近距離で背中合わせに存在していることを多くの人が知った。また、そのおもしろさに気づいたのだ。
それは、お笑いがいかにドラマチックであるかにフォーカスをあてた『M-1』の功績である。いや、もしかすると純粋に「笑えるもの」だったものに「感動」というバイアスを加えたことにおいて、罪であるのかもしれない。
『M-1グランプリ2022』で優勝したウエストランドは、ネタのなかで「『アナザーストーリー』がウザい。いらないんだよ。泣きながらお母さんに電話するな」「お笑いに分析は必要ないから」と叫んだが、これは芸人のリアルな声であるように感じられた。
ただ、賞レースのシーズンにあわせたように次々と「批評本」「紹介本」が発刊される流れをみると、いろんな意味でお笑いは「後戻り」ができなくなったように感じられる。
ポジティブに考えるなら、こういったムーブメントに後押しされて、日本のお笑いが独自の進展をみせる可能性があるということ。
しかし、「裏側」が知られることで笑えるものも笑えなくなる可能性はある。(たとえば笑い飯はそういったことから、裏側は「見せたくない」と語っていた)。それでもお笑い関連の書籍類はこれからさらに、芸人のそういった「触れられたくない部分」まで手を伸ばそうとするだろう。
それを良しとするかどうか、芸人はもちろんのことお笑いファンの意見も分かれるところだろう。
2022年お笑いファンの胸を熱くさせた「根建のシビック」と「友保のどん兵衛」
2022年も数えきれないほどたくさんの面白いバラエティ番組が放送され、数々の名シーンが誕生した。その中でも僕が「2022年のテレビバラエティを代表する作品」だと強く思...サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事