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『くりぃむナンタラ』新日本プロレスクイズが“間違えたら即引退ルール”で描いた大河ドラマ

「オンエアまで後藤洋央紀はベルトを獲ってるかもしれない!」という暴論

 おそらく、あえてなのだろう。女性回答者に狙い撃ちで昭和のプロレス問題を出題し、不正解にさせるのが今回の流れのようだ。

 再び、小池の番に出題されたのはやはり昭和の問題。「1987年、ビッグバン・ベイダーを招聘したビートたけし率いるプロレス軍団の名称は?」だった。

「……国際軍団?」(小池)

 頑張っている。令和ファンなのに、国際軍団が出てきただけで偉い。でも、国際軍団はラッシャーはラッシャーでも「ラッシャー板前」ではなく「ラッシャー木村」のほうである。この問いの正解は、「たけしプロレス軍団(TPG)」だった。

 TPGを知らないということは、今の新日で確固たる地位を築いた邪道外道が何者かも、彼女はよくわかっていないのだろう。実は、邪外の2人はTPG出身だ。プロレスは歴史を辿ると面白い。

 そう考えると、新日の50年の歴史をすべてフォローしているユリオカと有田は別格。昭和プロレス好きなら第3世代あたりでジャンルから離れただろうし、今のプロレスにハマる世代はメチャクチャだった昭和の新日に興味を抱きにくいかもしれない。

 今回のクイズ企画は、令和世代代表・小池がキーマンだった。ハイライトは、全員が回答する一問多答クイズ。「歴代IWGPヘビー級チャンピオンを答えよ」という問いで、一人ひとりが歴代チャンピオンを挙げていく形式だ。

「オカダ・カズチカ」(有田)、「アントニオ猪木」(勝俣)、「ブロック・レスナー」(坂井)、「橋本真也」(米川)、「サルマン・ハシミコフ」(ユリオカ)と、順調にみんなが答えていくなか、最後に順番が回ってきたのはやっぱり小池だった。

 いや、『ネプリーグ』(フジテレビ系)みたいに、年長者が若手に簡単な答えを残してあげればいいのに、容赦なく勝俣が「アントニオ猪木」を消費したあたりから嫌な予感はした。

「(小声で)後藤洋央紀……」(小池)

 ここで筆者は最高に笑った。1番ダメな答えを発する小池。かつて、オカダから「何回も挑戦して、何回も獲れない“恥男”」と揶揄された、ベルトを獲れないでおなじみの殿。わざわざ後藤をチョイスして間違える小池からの、センスあふれるアンサーだ。もちろん、結果は不正解。ある意味、彼女はプロレスを理解しているし、これはもう獲ってない後藤が悪い。というか、流れ弾が当たった後藤が可哀想に思えてきた。

「でも、オンエアまで獲ってるかもしれないじゃん!」(勝俣)

 いや、獲らない。メチャクチャな難癖をつけだす勝俣。しかし、このイチャモンはなぜか認められ、小池は再び回答権を得た。

「いきます。飯伏幸太選手!」(小池)

 また、際どい選手の名前を……。なんて名前を出すのだろう? 無知を強みに、完全にシュートを仕掛けている小池。もはや、前田日明にさえ褒められそうなトンパチぶりである。

折り鶴兄弟の横で「橋本真也」と答える大河ドラマ

 今回のクイズ企画は、みんなで力を合わせて50問連続正解すればクリアというルールだった。

 大仁田ばりに6回も復活を果たし、ついに49問正解までたどりついたメンバーたち。最後の50問目で回答権が巡ってきたのは、やはり小池だった。この人は完全にオチ要員なのか? 彼女にPKの5人目は荷が重いと思うのだけれど……。

 ラスト問題の内容は、以下である。

――アントニオ猪木の引退試合の対戦相手は?

小池 「……(小声で)橋本真也」

 この瞬間、回答者全員の目が一斉に死ぬ始末だ。正解は、「ドン・フライ」である。これにて、全員の引退が決定! いや、間違えるにしろ、せめて小川直也だろうに……。

 というか、「即引退」という企画の最終問題を「橋本真也」で間違えるあたり、もはやこれは大河ドラマだ。しかも、橋本のために折り鶴を集めた少年・米川Pが小池の横にいるという構図もロマンありすぎだし、当時を知るファンからすると鳥肌ものだ。いい仕事をした小池のために、今度は我々が鶴を折ってあげたくなる。

 答えられなかったらファンを即引退のはずが、そのたびに無茶な理由をこじつけ、結果的に大仁田の“辞める辞める詐欺”をイジっていたのも面白かった。まさに、それもプロレスである。

 ちなみに、『ナンタラ』の地上波放送が終わると、動画配信サービスTELASAのほうで激ムズ問題ばかりのリベンジ編が配信されていた今回。いや、そっちのほうが絶対面白そうじゃん! せめて、ABEMAでやってよ!! 「長渕ファン王決定戦」みたいに難しい問題だらけのクイズ企画を、深夜帯でもいいので放送してもらいたいものである。

 芸能界で次第に力を持ってきている有田が、いよいよ手当たり次第に自らの番組へプロレスを持ち込んできている感。ブシロードとテレ朝からの企業案件という気もするが、それにしても力技だ。お酒を飲みながら見るには、最高の番組だった。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2023/01/02 13:00
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