Kep1er、IVE、ナヨン…2022年K-POPダンス大総括! ブームのポイントをダンス講師がじっくり解説
#K-POP #TWICE
K-POPブームは2022年も続き、多くの曲がリリースされました。日本人メンバーが所属するグループも増えて、紅白歌合戦にTWICE(トゥワイス)、IVE(アイヴ)、LE SSERAFIM(ル・セラフィム)が出場するなど、さらに人気が増しています。
私はYouTubeで振り付けレクチャー動画を制作しているので、国内外問わず流行のダンスを追ってきましたが、ここ数年は特にK-POPの曲をウォッチすることが多かったです。そのなかで、K-POPアイドルたちのダンススキルの高さや曲のキャッチーさ、衣装のセンスなどにすっかり魅了され、いちファンとしてコンサートに行くまでになりました。
今回は、22年に流行したK-POPの振り付けを私独自の基準で3つ選んで、そのダンスを詳しく解説していきたいと思います! 選出基準はMVの再生回数やビルボードランキングなどの数字はもとより、各SNSへのコピーダンスの投稿とその流行など、ファンのみなさんの熱量なども考慮して判断しました。
「WA DA DA」(Kep1er)
22年1月にデビューしたKep1er(ケプラー)。「WA DA DA」は、デビューミニアルバム「FIRST IMPACT」に収録された話題曲です。MVは再生回数1.4億回超!(2023年1月1日現在、以下同)「WA DA DA DA~!」というインパクトのある歌詞で、公開直後から大流行しました。
曲は、ドンッドンッというビートがとても大きくてわかりやすい! そこに合わせて振り付けが作られているので、見ていて気持ちがいいですね。聞きとりやすいリズムに合わせてダンスをしているというのが、最近の流行る曲の定番です。
力強くかっこいい曲かと思えば、サビの途中【1:00】「Oh-oh, oh-oh,~」のあたりからは、可愛い雰囲気に。真似して踊るとき、カッコいいだけだと強すぎて難しい、可愛すぎるとぶりっこっぽくて恥ずかしい。そんなとき、「WA DA DA」はほどよくバランスが取れた「カッコ可愛い」曲だったと思います。
さっそく見ていきましょう! 【0:44】の「WA DA DA DA」は、韓国語で走るときの擬音を表すという説が有力なようです。日本語で言うと「タタタタ」みたいな感じでしょうか。一度聞いたら耳に残るキャッチーさが魅力ですね。踊るときは、最初の「DA」のときに右肩をあげて、肩のラインに角度をつけるのがポイント。肩とあごを近づけることで、カッコいい威圧感が出せます。
【0:45】インパクト大のサビ! 振り全体が前方向に打ちつけるアクセント+身体も前進してくるので、圧がすごいです! メンバーの息の合った動きで、画面越しに振動まで伝わってきそう。音に合わせて腹筋を収縮させる振り付けなので、細い体なのにみんなお腹の筋肉がバキバキです!
【0:53~】は、同じ振り付けを繰り返すことがよりよく印象に残る秘訣。ダンサーが踊る振り付けは、一度も同じ流れがなくて印象に残らないことが多いのですが、アイドルのダンスには統一感があります。この音のときは“これ”、このフレーズのときは“これ”というように、印象に残るパートが生まれます。踊る側としても、繰り返しが多いのはありがたい……!
一方で、【1:00~】「Oh-oh, oh-oh,」のパートでは、曲調が一気に変わり可愛いモードに。丸みを帯びたものは可愛い印象を与えることができますが、両手で作った〇のくるくるにおしりふりふりをMIXすることでさらにキュート!
ちなみに、同曲のMVはとにかく情報量が多い! どんどんシーンが切り変わり、息をつく間もないまま一気に駆け抜けます。曲調も衣装もセットもめまぐるしく変わっていき、目も耳も飽きません。ダンスは「ユニゾン(全員で動きをそろえる動き)」から各メンバーが別々の動きになるパートへの変化が多いのも、見ていて楽しいポイントです。
「LOVE DIVE」(IVE)
今年、紅白初出場となったIVEは、気品あふれる美しいダンスとビジュアルが魅力のグループ。MVの再生回数が1.8億超えの2ndシングル「LOVE DIVE」(22年3月発売)は、手の振りが多く、ファンからしても「頑張ったら踊れるかも!」という絶妙な難易度です。
歌詞のイメージに振り付けがぴったり合っているのも人気のポイント。ちなみに、韓国語の歌詞が多い曲なので、日本語訳を見ると、“そういうことか~”って、2度楽しめます。
【0:38】「Yeah, it’s so bad, it’s good」の歌詞は、“グッド”の手と“バッド”の手で歌詞を表現。顔の近くに手を持ってくることで、メンバーたちの抜群のビジュアルを引き立たせています。両手が少しバウンドするところも可愛い!
【0:40】「난 그 맘을 좀 봐야겠어(ナンク マムル ジョム パヤゲッソ)/私はその気持ちを確かめなきゃ」では、右手で頭・胸・肩と触るところ、右ひじを常に締めていて、細長いシルエットを作っているのが見えますか? 脇を締めるというのが、上品に見せるポイント!
【0:42】「Narcissistic」のあごの下に組んだ手がくるポーズでも同じ。もし脇を締めずに肘が外に開いていたら、「元気いっぱい!」という雰囲気になってしまいます。関節の位置ひとつだけで印象がガラっと変わるのが、ダンスの面白さです。
【0:43~0:45】「my god I love it」では右膝に注目。一度曲げて、上半身を回転させながら膝が内に入ってきます。右膝が曲がるときに重心を左へずらすことで、おしりの左側に女性らしいラインが現れます。一瞬、膝が外側にいきガニ股っぽくなっても、最終的には内側で終わることで女性らしい印象を引き立たせています。
【0:46~0:48】「서로를 비춘 밤(ソロル ピチュン パム )/お互いを照らす夜」、6人で息の揃ったダンスは、機械的な統一感があり見ていて気持ちいいですね。踊るなかで瞬時に平行や垂直などが綺麗に作れる人は、体をコントロールする能力が高い証しです。
このとき、手首を打ちつける振り付けがあります。「ポンポン」という、歌詞のメロディーじゃない音をとって踊ることで、見事に音を視覚化しています。
【0:53】「(넌 내게로 난 네게로)(ノン ネゲロ ナン ネゲロ)」、ペアになってウェーブをするところの和訳は「あなたは私に、私はあなたに」。歌詞に合わせた振り付けで、2人の関係が視覚的にわかりやすいですね。横向きなので、綺麗なウェーブが見やすいのも◎。
【0:55~0:57】は「숨 참고 (スムチャムコ)love dive」は、「息を止めてLOVE DIVE」の意味。息を止めるっていったら、私だったら鼻をつまんじゃうんですけど、IVEのメンバーだとこんなに上品に表現できるんですね。指先まで意識が通っていて美しいし、引きで見たときも体重のかけ方・左手の揃い方で上品さをアップさせています。女性らしさを見せるときは、体の曲線を見せるのがポイント。
この「love dive」のシーン。では、右手で“L”を、左手で“V”を作ってから、“V”を飛び込ませるような振り付けになっています。私には、“LOVE”のなかに2人(V)がダイブしていくように見えました。
最近のK-POPは、歌詞をイメージさせるジェスチャーみたいな振りが多いです。「DIVE」で私が思い浮かぶのはプールに頭から飛び込むようなイメージですが、IVEは手だけで表現できてしまう。動きがコンパクトなのが、しとやかさを際立たせるコツです。
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