正月営業続けるイオン、ヨーカドー、デパート…批判を浴びても店を開ける現場の実態
#社会
国が先頭に立って働き方改革の旗を振り、そこにコロナ禍も加わって、徐々に改善される労働環境。「正月くらいは休んでもいいのでは?」という声は多く、丸井グループは先日、一部の店舗を除いて2023年の初売りを4日にすることを発表した。
「かつてはスーパーやデパートは、仕事初めの4日に初売りを行うのが当たり前。それゆえ年末に大量の食材や日常品を買い込むのがおなじみの光景でしたが、小売業界に衝撃が走ったのが1996年のダイエーの元日営業です。コンビニは当時、すでに24時間営業を行っており、客が次々と買い物をしている状況にしびれを切らし、元日営業を決断。他社も次々と追従しました。
しかしこういった傾向には批判の声も多く、スーパーのライフやサミットは22年の三が日を休業にしました。企業としては、社員の休養を確保して満足度を満たすことも理由にありますが、“正月から社員を働かせる会社”という悪しきイメージを持たれるのもイヤということ。小売業界は人手不足が続いており、正月営業をやめる動きが広がっています」(フリー記者)
上述の丸井の休業を伝える記事に対し、ネットには、
「良いことだと思います」
「年末年始くらいはゆっくり過ごせる環境があっても良いと思う」
「素晴らしい決断だと思います。昔はこれが普通だった」
といった声が寄せられており、コメントは好意的なものばかりだ。しかし一方では、イオンやイトーヨーカドーの一部、家電量販店などの多くの店舗が元日営業を継続しており、デパートも2日には営業を始めるところが多い。どうして“逆風”に晒されながら、それでも営業をやめないのか? 都内の某デパートで働くYさん(40代/女性)が語る。
「そんなの簡単ですよ。店を開ければ客が来て、むちゃくちゃに売れるからです。デパート業界は月別だと12月の売り上げが一番大きいですが、私が働いている店の場合、1日の売り上げは初売り日がトップ。コロナ前はオープン前に数千人の行列ができるのが当たり前でした。一番のお目当ては福袋ですが、みなさん財布の紐はユルユルで、躊躇なく高い物を買っていきます。お酒を飲んで来店する人も多いですしね。
現場ではもちろん不満の声もありますが、ベテランは割り切っていて、正月にむしろ積極的に出勤する人もいます。その分、別の時期にまとめて休みは取れますし、年末年始を外せば道路も電車も混まず、飛行機代やホテル代だって安くなりますから旅行も行きやすいですしね」(Yさん)
正月に働きたがる社員がいるとは驚きだが、事情を知れば納得できる話。ただしYさんの会社には正月手当の類は一切なく、基本的には「三が日の出勤は押し付け合い」だ、そうだ。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事